私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

この傑作は永久保存版である

2016年02月10日 | 「いと をかし」なものたち

             これはミロの作品ではない。ピカソでもない。
             ヒロ画伯 2才の時の作品である。

             彼がこれを描いている姿を見たことはない。
             ある日、突如として現れたのだ。
               「これは誰が描いたの?」
               「ぼくらよ」
               「何 描いたの?」
               「*△□○☆ャ….」
             何か言っているが、さっぱりわからない。
              ♪「ミラクル戦士 ジライヤ-」♪とTVに合わせて
               「チノノノォ-チヤ-」と歌っていた頃のこと。
             彼はまだむずかしいことが言えないのであった。

               「お絵描きは ここにしちゃダメだよ!」
               「ウン」
             ヒロ画伯は素直にうなづいた。



             これもある日突然現れた。
               「ハハァ-ン」
             あの時、「ウン」と答えたのに わかっていなかったのか。
             わかってはいるが、その場限りの返事だったのか….
               「ヒロクン これはなぁ-に?」
               「どこえも どあらよ」
             ヒロ画伯は何もなかったかのように、のたもうたのであった。

             しかし、その意外な答えがおかしくて、怒る気を失ってしまった。
             この小さな頭で わずか2年しか生きていない彼が、
             何を感じて、何を考えたのか….

             壁一面がドアなのか、描かれているのはノブだけだ。
             もし、ここに『どこでもドア』があったなら、彼はどうしたかったのだろうか?
             姉たちにいじわるされた時、親にしかられた時、このドアの向こうに行きたかった
             のだろうか?
             実際のところは、本物のドアを開けて外に避難して行ったのだが….
             本当のところは知る由もない。

             この落書きを見るたびに、小さい彼の姿と、その会話を思い出して、
             過ぎ去った日々を愛しく思うのである。

2014-03-23

* * *

2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第三回目です。
2016-02-10


コメント (12)
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