これはミロの作品ではない。ピカソでもない。
ヒロ画伯 2才の時の作品である。
彼がこれを描いている姿を見たことはない。
ある日、突如として現れたのだ。
「これは誰が描いたの?」
「ぼくらよ」
「何 描いたの?」
「*△□○☆ャ….」
何か言っているが、さっぱりわからない。
♪「ミラクル戦士 ジライヤ-」♪とTVに合わせて
「チノノノォ-チヤ-」と歌っていた頃のこと。
彼はまだむずかしいことが言えないのであった。
「お絵描きは ここにしちゃダメだよ!」
「ウン」
ヒロ画伯は素直にうなづいた。
これもある日突然現れた。
「ハハァ-ン」
あの時、「ウン」と答えたのに わかっていなかったのか。
わかってはいるが、その場限りの返事だったのか….
「ヒロクン これはなぁ-に?」
「どこえも どあらよ」
ヒロ画伯は何もなかったかのように、のたもうたのであった。
しかし、その意外な答えがおかしくて、怒る気を失ってしまった。
この小さな頭で わずか2年しか生きていない彼が、
何を感じて、何を考えたのか….
壁一面がドアなのか、描かれているのはノブだけだ。
もし、ここに『どこでもドア』があったなら、彼はどうしたかったのだろうか?
姉たちにいじわるされた時、親にしかられた時、このドアの向こうに行きたかった
のだろうか?
実際のところは、本物のドアを開けて外に避難して行ったのだが….
本当のところは知る由もない。
この落書きを見るたびに、小さい彼の姿と、その会話を思い出して、
過ぎ去った日々を愛しく思うのである。
2014-03-23
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2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第三回目です。
2016-02-10
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2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第三回目です。
2016-02-10