昔、私が中学生の頃、家には黒猫がいた。
その黒猫は、艶やかでビロードのようにきれいで、そして美人だった。
~ ~
この黒猫は、私の目の前に不思議な現われ方をした。
ある日、学校から帰ってくると押入れの中で物音がするので開けてみた。
すると、ぽとりと床に舞い降りてきたのである。
「えーっ!なんでこんなところに猫が、、?」一瞬訳が分からなかった。
しばらくして、「ははーん!お父さんだな!」「絶対そうだ!」
そう確信して父の帰りを待った。
帰った父に「この猫どうしたの?押入れの中に入ってたんだけど」と聞くと
すると「自分で入ったんでしょ」と真面目顔で答えた。
「そんな訳ないでしょ!どこも閉まってて勝手に入れないんだよ」
「第一、押入れの戸を猫は閉められないでしょ!」
「お父さんが連れて来て入れたんじゃないの?」そう問い詰めると
「お父さんは知らない!その猫が勝手に入ったんだ」とあっちを向いて答えた。
その怪しいこと怪しいこと、、
~ ~
結局、その猫が何故押入れに入っていたかと言う疑問はそれまでとし
父が連れて来たんだろうと言う疑惑も不問に付し
なんとなく、そのまま家の猫として飼うことになったのである。
それにしても、こんなにきれいな猫が捨て猫のはずはないだろう。
どこかで見かけて、気に入って譲り受けてきたのに違いないのである。
猫好きの父がこの猫を手に入れて、ホクホク顔で連れ帰った様子が目に浮かぶようであった。
そして父がそれで幸せなら、それで家族も皆幸せなんだと思って
父のそのかわいい作戦を成功させてあげたという次第なのである。
2015-02-09
* * *
2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第5回目です。
2016-02-12
その黒猫は、艶やかでビロードのようにきれいで、そして美人だった。
~ ~
この黒猫は、私の目の前に不思議な現われ方をした。
ある日、学校から帰ってくると押入れの中で物音がするので開けてみた。
すると、ぽとりと床に舞い降りてきたのである。
「えーっ!なんでこんなところに猫が、、?」一瞬訳が分からなかった。
しばらくして、「ははーん!お父さんだな!」「絶対そうだ!」
そう確信して父の帰りを待った。
帰った父に「この猫どうしたの?押入れの中に入ってたんだけど」と聞くと
すると「自分で入ったんでしょ」と真面目顔で答えた。
「そんな訳ないでしょ!どこも閉まってて勝手に入れないんだよ」
「第一、押入れの戸を猫は閉められないでしょ!」
「お父さんが連れて来て入れたんじゃないの?」そう問い詰めると
「お父さんは知らない!その猫が勝手に入ったんだ」とあっちを向いて答えた。
その怪しいこと怪しいこと、、
~ ~
結局、その猫が何故押入れに入っていたかと言う疑問はそれまでとし
父が連れて来たんだろうと言う疑惑も不問に付し
なんとなく、そのまま家の猫として飼うことになったのである。
それにしても、こんなにきれいな猫が捨て猫のはずはないだろう。
どこかで見かけて、気に入って譲り受けてきたのに違いないのである。
猫好きの父がこの猫を手に入れて、ホクホク顔で連れ帰った様子が目に浮かぶようであった。
そして父がそれで幸せなら、それで家族も皆幸せなんだと思って
父のそのかわいい作戦を成功させてあげたという次第なのである。
2015-02-09
* * *
2月8日から始まった思い出深い記事再掲載の第5回目です。
2016-02-12