カンボジア経済

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投資環境視察ミッション その4 シアヌークビル付近のインフラ

2019年12月26日 | 経済
 シアヌークビルには、シェムリアップからのフライトで到着しましたが、シアヌークビル空港はきれいに再整備されていました(写真上)。中国の地方都市との直行便も増えて、利用客数は大幅に増加しています。
 プノンペンとシアヌークビルを結ぶ国道4号線は、交通量の急増で渋滞が目立つようになっています。世界銀行の支援で来年以降、整備工事が行われる予定です。渋滞を抜本的に解決するためのプノンペン~シアヌークビル高速道路は、中国企業によるBOTで今年着工され、今回のミッションでは、数カ所で工事が進められているのを見ることができました。総工費22億ドルの大工事であり、きちんとした品質で工事が進められることを願ってやみません。
 シアヌークビルとプノンペンを結ぶ鉄道南線は、民間会社のロイヤル鉄道によって運営されています。現在、コンテナ列車が毎日2往復しているとのことです。輸送量は全体の7%程度に留まっており、スピードアップ等の改善が必要なものと見られます。
 カンボジアの唯一の深海港であるシアヌークビル港では、コンテナの取扱量が急速に伸びており、今年は60万TEUに達する見込みです。現在の設備では、70万TEUが限度のため、コンテナターミナルの隣にある倉庫を取り払ってコンテナターミナル化する計画です。更に、日本からの円借款によって、沖合を埋め立てて新コンテナターミナルを建設する事業が始まっており、来年から工事が始まる予定です。
 シアヌークビル港の北に位置するスタンハウには、石炭火力発電団地が形成されています。マレーシア系のCELは、これまで100MWでしたが、東芝プラントが建設してきた150MWの増設がほぼ完成しています。また、中国系のCIIDGでは、これまで405MWでしたが、更に350MW×2基の増設を行う計画です。電力需要の増大に対応して、スタンハウとプノンペンを結ぶ送電線も建設中でした。一部の区間は、カンボジア初の50万ボルトの超高圧送電線となる計画です。
 ただ、シアヌークビル市内では、中国系カジノやホテル、マンション等の建設が無秩序に建設されており、工事用車両との通行等で道路インフラが激しく劣化していました。このため、補修工事が全市で行われており、渋滞が更にひどいものとなっています。また、上水や下水処理の拡充も待った無しです。カンボジア政府では、これらの都市インフラの整備にも予算を充てているようですが、更なる拡充が期待されます。
 なお、今回のミッションは、みずほ銀行が企画・実施したものです。カンボジア総合研究所では、こうしたミッションへのご協力も実施しております。

国道4号線。路面の悪化と渋滞が目立ちます。


プノンペン~シアヌークビル高速道路の建設現場


シアヌークビル港。日本の円借款で整備された多目的ターミナルからコンテナターミナルが臨まれます。


プノンペンとシアヌークビルを結ぶ鉄道南線。列車数も増えていますが、まだまだ改善が必要と見られます。


シアヌークビル郊外の石炭火力発電所。東芝プラントが建設した増設部分が出来上がり、真新しい煙突が目立っていました。


発電所とプノンペンを結ぶ送電線がちょうど工事中でした。



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