カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

プノンペン上水道公社 バケン浄水場第2期完工式典 第3期も起工式

2024年07月03日 | 経済
 6月25日、プノンペン上水道公社は、プノンペンに上水を供給するバケン浄水場(第2期)の完工式典を開催しました。式典には、オウン・ポン・モニロット副首相兼経済財政大臣他多数が参加しました。
 バケン浄水場の第1期は、2023年6月に完成しています。処理能力は19万5000立方メートル/日、総工費は2億4700万ドル(約390億円)です。第2期は、今年3月から試験運転を開始しており、同じく19万5000立方メートル/日の処理能力で、総工費は1億4820万ドル(約240億円)です。共に、フランス開発庁(AFD)、欧州投資銀行(EIB)、EU等からの支援を受けて建設されました。設計と建設はフランス企業ビンチ・コンストラクション・グランズ・プロジェクツ(VGGP)が受注しています。
 プノンペン上水道公社(PPWSA)の既存施設の現在の処理能力は、プンプレック浄水場(15万立方メートル/日)、チュロイチョンワ浄水場(13万立方メートル/日)、チャムカーモン浄水場(5万2000立方メートル/日)、ニロート浄水場(26万立方メートル/日)、バケン浄水場(第1期:19万5000立方メートル/日)、バケン浄水場(第2期:19万5000立方メートル/日)等で、合計約98万2000立方メートルです。
 同日に、バケン浄水場第3期の起工式も開催されました。第3期の工事の設計・建設契約は、4月にフランスのビンチ・コンストラクション・グランズ・プロジェクツ社と調印済です。契約金額は、1億330万ドル(約162億円)で、2027年の完工を目指すとしています。第3期浄水場の処理能力は19万5000立方メートル/日で、総工費は2億4700万ドルと見込まれ、そのうち2億500万ドルはフランス開発庁の低利融資で賄う計画です。
 プノンペンの人口増加と不動産開発の急速な進展で、2023年前半の乾期にはプノンペン郊外で水不足の状況となり、給水車も出動していました。ようやくバケン浄水場第1期、更に第2期が完成し一息つくことができた状況です。しかし、プノンペンの都市化は予想以上のスピードで進んでおり、上水需給のひっ迫が懸念される状況です。第3次マスタープラン(2016年~2030年)では、当初は合計100万立方メートル/日の供給能力を目指していましたが、予想以上の需要の伸びで現在は180万立方メートル/日に目標が引き上げられています。
 日本の息の長い支援で「プノンペンの奇跡」とまで言われたプノンペンの上水事業が今後ともしっかりとプノンペンの人々の生活を支えていくことが期待されます。
(写真は、AKPより)

プノンペン上水道公社の発表(英文です)
https://csx.com.kh/company/announce/viewPost.do?MNCD=5040&postId=2014



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カンボジアとシンガポール 金融透明性回廊イニシアティブを開始

2024年07月02日 | 経済
 6月18日、シンガポールにおいて、カンボジア国立銀行(NBC)のチア・スレイ総裁とシンガポール金融管理局(MAS)のレオン・シン・チョン副専務理事は、カンボジアとシンガポール間の金融透明性回廊イニシアティブの開始を発表しました。記念式典には、シンガポール訪問中のフン・マネット首相、シンガポールのローレンス・ウォン首相も臨席しました。
 このイニシアティブは、両国間の貿易や越境金融サービスを促進するため、デジタルインフラを整備していくことを目的としています。
 具体的には、カンボジア・シンガポールの加盟金融機関の間で中小企業の信用情報等の情報交換を促進するデジタルインフラを整備するとしています。また、金融機関が中小企業に貿易信用を供与する際に、中小企業がマネーロンダリング規制を遵守しているか等の審査を支援することにより、紛争等のリスクを低減することが可能になるとしています。
 このイニシアティブの下で、例えばカンボジアの中小企業が輸出者でシンガポールの中小企業が輸入者となる場合、両方の企業の信用情報等を両国の金融機関等が提供することにより、確実な貿易取引を確保したり、適切な貿易信用を供与できる等のメリットがあるとしています。
 シンガポールの企業から見ると、カンボジアの中小企業の信頼性は高いものとは言えないというのが実情と見られます。そうした中で、金融機関による信用情報等で、カンボジアの中小企業の信用力を補強できるのは大きな意義があるものと見られます。両国間でこうした地道な中小企業支援の努力が続けられていくことが期待されます。
(写真は、記念式典の様子。NBCのフェイスブックより)

カンボジア国立銀行の発表(英文です)
https://www.nbc.gov.kh/english/news_and_events/news_info.php?id=781


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世界銀行 カンボジアの経済成長と強靭化を支援

2024年07月01日 | 経済
 6月20日、世界銀行の理事会は、カンボジアの長期的な経済成長と強靭化を促進する取り組みを支援するため、2億7500万ドル(約435億円)の融資を承認しました。対象は、第2次カンボジア成長・強靭化開発政策融資事業(Second Cambodia Growth and Resilience Development Policy Financing Project)で、資金は世界銀行グループの国際開発協会(IDA)の途上国向け低金利基金から拠出されます。2022年に承認されたカンボジア成長・強靭化開発政策融資事業(2億7400万ドル)の第2次事業となります
 世界銀行では、カンボジアの構造的課題として、生産性の伸びの鈍化、不十分な人的資本形成、民間企業の参入時の障壁等があると分析しています。また、カンボジア経済は、特定の製品や特定国に偏った輸出市場等の要因で、外的ショックに弱い構造であるとしています。カンボジアは、気候変動の影響、特に洪水や干ばつに対しても非常に脆弱と見ています。
 今回の事業の目的は、これらの課題に対応するため、民間セクターの競争公正化による成長の促進(企業の参入・退出・競争の公正化)、財政の強靭化(年金の適正化、資本支出や官民パートナーシップに伴う財政リスクの軽減、国債発行能力の強化)、社会・環境面の強靭化(社会保障の制度化、災害対策、省エネ等)を目指すものとなっています。
 世界銀行は、これらの目的のためにカンボジアに様々な改革を求めています。カンボジア政府が地道に対応していくことが期待されます。
(写真は、世界銀行カンボジアのフェイスブックより)

世界銀行の発表(英文です)
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2024/06/20/new-financing-to-support-cambodia-s-economic-growth-and-resilience


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カンボジア日本人会 のど自慢大会2024

2024年06月30日 | 経済
 6月23日、プノンペンのCJCCにて「第6回プノンペンのど自慢日本人大会」が開催されました。のど自慢大会には20組が出場し、レベルの高い熱唱が続きました。会場には数多くの応援団・観客が詰めかけ、ステージと客席の一体感があって大変な盛り上がりでした。優勝は、「ずるい女(シャ乱Q)」を歌われた大工さんでした。素晴らしい歌声でした。この他にも会場賞等の様々な賞があり、協賛企業の方々からの商品も授与されました。また、ゲストとして招待されたヒロヒデさん、DJ. MOTOさんも大いに会場を盛り上げてくれました。なお、のど自慢の模様は、ユーチューブでもリアルタイムで公開されました。
 カンボジア在住の日本人の方々が、こうしたイベントや集まりで懇親するのは、大変良いことですし、とても楽しく感じます。ご苦労頂いた関係者の方々に感謝したいと思います。日本人会では、今後も様々なイベントがありますので、ぜひご参加ください。

プノンペンのど自慢日本人大会のフェイスブック
https://web.facebook.com/nodojimanpp/

カンボジア日本人会のフェイスブック
https://www.facebook.com/Jacambodia/


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フン・マネット首相 行政改革アクションプランを発表

2024年06月27日 | 経済
 6月12日、国家行政改革委員会で議長を務めたフン・マネット首相は、行政改革アクションプランを発表しました。
 首相は、「行政改革は、2050年までに高所得国入りを目指すカンボジアのビジョンを達成するための前提条件であり、基本戦略である五角形閃絡の重要な要素である」と述べ、改革を進めていく意欲を示しました。また、行政改革は、成果に繋がる、活力ある強靭な行政システムを構築するために最も不可欠な基盤であるとして、アクションプランに沿って重点施策を実施していくことの意義を強調しました。
 具体的には、すべての政府省庁とその他の国家機関に対し、各組織の役割をより明確に定義し、人員配置や昇進を見直し、効率化を図る方法を検討させるとしています。更に、様々な業務のワークフローを整理し、組織ごとに説明責任を明確化するとしています。首相は、こうした改革の結果として、組織の統廃合にも踏み込むとの姿勢を示しました。
 カンボジア政府はこれまでも非効率な政府組織の改善を目指して改革を行ってきていますが、大きな成果があったとは言いにくい状況です。また、日本でも同様ですが、政府組織の改革は、既得権益層の反発や、縦割りの構造等でなかなか進まないことも多いものと見られます。こうした中で、首相直轄で行政改革を進める意義は大きいものがあると見られます。今後の展開が期待されます。
(写真は、AKPより)



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アジア開発銀行総裁 カンボジア訪問 首相と会談 新事務所開設

2024年06月26日 | 経済
 6月12日、アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁はカンボジアを訪問し、フン・マネット首相と会談しました。浅川総裁は、フン・マネット首相に対し、ADBのカンボジア新事務所の開設について報告し、カンボジア国民の生活向上に向けたADBとカンボジア政府の強固なパートナーシップへの強いコミットメントを示すものであると強調しました。
 浅川総裁は、ADBが最近策定した国別パートナーシップ戦略(2024年~2028年)に沿ってカンボジアへの支援を継続すると述べました。戦略の3本柱は、民間主導の経済多角化の促進、人的開発の推進、気候変動への耐性強化としています。
 これに対し、フン・マネット首相は、カンボジアにおけるADBの新事務所開設に祝意を表しました。また、人々の生活水準を向上させ、2050年までに高所得国になるというカンボジアのビジョンの達成を目指すと説明しました。更に、持続可能で強靭な経済成長を確保するために、新たなイニシアティブや改革プログラムを進めているカンボジアを引き続き支援するとのADBのコミットメントに感謝を表しました。
 同日に、プノンペン北部のヴァタナックタワーに開設した新事務所で記念式典が開催されました。式典には、オウン・ポン・モニロット経済財政大臣、チア・スレイ・カンボジア国立銀行総裁等が参加しました。
 アジア開発銀行は、カンボジアにとって、中国に次ぐ第2位の援助機関です。カンボジアの開発戦略に沿った国別パートナーシップ戦略に沿ってアジア開発銀行が、カンボジアへの支援を継続していくと表明したことは、大きな意義があるものと見られます。
(写真は、新事務所開設式典。ADBの発表より)

アジア開発銀行の発表(英文です)
https://www.adb.org/news/adb-inaugurates-new-office-cambodia

ブログ「カンボジア経済」2024年6月12日「アジア開発銀行 対カンボジア・パートナーシップ戦略2024-2028」
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/4eadef224723e1e495be2008e5e74921


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公的債務統計報告書2024年第1四半期 債務状況は問題なし

2024年06月25日 | 経済
 6月12日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第22号を公表しました。2024年3月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
 2024年3月末の公的対外債務残高は、110億ドル(約1兆7380億円)と2023年12月末の111億8552万ドルから1.7%の減少となっています。国別では、中国が最大で39億9945万ドル(全体の36.4%)、以下、アジア開発銀行23億5480万ドル(21.4%)、世界銀行13億2886万ドル(12.1%)、日本12億1283万ドル(11.0%)、韓国5億6991万ドル(5.2%)等となっています。
 債務持続性分析を見てみると、2024年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は19.0%(基準値40%)、同対輸出比率29.1%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)1.8%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 新型コロナ対策や世界的インフレで多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しむ途上国も見られます。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。既に、スリランカが破たんし、パキスタンやラオス等も厳しい状況です。しかし、カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/documents-category/publication/public-debt-bulletin/


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カンボジア 2024年5月の物価上昇率

2024年06月24日 | 経済
 国家統計庁から発表された2024年5月の消費者物価上昇率(対前年同月比)は、1.1%でした。物価上昇率は、2012年以降、安定的に推移しており、2018年1月以降は概ね3%未満で推移していました。2021年9月からは久しぶりの大幅上昇となっていましたが、2022年7月以降は低下傾向となっていました。2023年7月以降、若干の上昇に転じていましたが、今年に入り低下傾向にありました(2019年1月1.6%、2月2.4%、3月2.3%、4月2.6%、5月2.3%、6月1.6%、7月2.2%、8月3.1%、9月1.7%、10月1.3%、11月1.8%、12月3.1%、2020年1月3.6%、2月2.7%、3月2.8%、4月1.9%、5月2.4%、6月3.2%、7月3.1%、8月2.0%、9月2.9%、10月3.7%、11月3.7%、12月2.9%、2021年1月2.6%、2月1.7%、3月2.1%、4月2.7%、5月3.0%、6月2.7%、7月3.3%、8月3.4%、9月5.9%、10月6.8%、11月7.9%、12月6.7%、2022年1月4.1%、2月6.3%、3月7.2%、4月7.3%、5月7.2%、6月7.8%、7月5.4%、8月4.9%、9月4.4%、10月3.6%、11月3.2%、12月2.9%、2023年1月3.0%、2月2.2%、3月0.7%、4月1.1%、5月0.5%、6月0.0%、7月1.9%、8月3.2%、9月3.8%、10月3.9%、11月2.7%、12月2.7%、2024年1月マイナス0.5%、2月マイナス0.3%、3月0.0%、4月0.5%)。なお、4月と比べると5月は0.8%の上昇でした。
 ガソリン価格は、政府による価格メカニズムにより国際価格に概ね連動して動いています。4月の4500エル/リットルから、5月は4200リエル/リットルに下落しました。ディーゼルは、4月の4271リエル/リットルから、5月は4076リエル/リットルに下落しました。国際原油価格(ニューヨーク市場のWTI)は、ロシアのウクライナ侵略の影響を受けて急激に上昇し2022年3月初めに130ドル台にまで上昇した後、足元は80ドル前後で推移しています。カンボジアはガソリン類を全量輸入に頼っているため、カンボジアのガソリン価格も国際価格に連動しています。2023年中盤に上昇した後、最近落ち着いてきています。
 国際機関は、2024年のカンボジアの物価上昇率については安定的と予測しています。アジア開発銀行は2.0%、世界銀行は2.8%、IMFは2.3%、AMROは2.5%と予測しています。
(写真は、活気のあるプノンペンのセントラルマーケット)  



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世界銀行 カンボジア経済アップデート2024春 不動産不況に懸念

2024年06月21日 | 経済
 6月6日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2024年6月:輸出回復と貿易のシフト」を発表しました。
 カンボジアの成長率予測については、2020年のマイナス3.1%から、2021年3.0%、2022年5.2%、2023年5.4%、2024年5.8%(前回11月予測5.8%)、2025年6.1%(同6.1%)、2026年6.4%へ回復すると予測しています。高成長は、縫製品等の輸出回復や、観光の回復に支えられているとしています。他方、不動産は厳しい状況が続いており、貸付の伸び悩みや不良債権の増加にも繋がっていると懸念を示しています。
 物価上昇率は、2023年2.8%(同3.0%)、2024年2.8%(同2.8%)、2025年2.7%(同2.7%)、2026年3.0%と予測しています。ロシアのウクライナ侵攻等で2021年6月に対前年同月比7.8%まで上昇した物価上昇率は、2024年3月には0%にまで落ち着いてきています。
 対外収支は、石油輸入価格上昇も一服し、輸出も健闘していることから、経常収支(対GDP比)は、それまでの赤字から2023年に1.7%の黒字に転換しました。2024年2.7%、2025年2.6%、2026年1.6%と黒字が続くと予測しています。財政については、新型コロナ対策で歳出が増加したことから、赤字(対GDP比)は、2021年7.2%にまで上昇しましたが、2023年5.3%、2024年5.5%、2025年4.4%、2026年4.2%へと落ち着いてくると予測しています。
 カンボジア経済のリスクとしては、不動産不況とそれに伴う不良債権の増加等による金融への影響等をあげています。対応する政策としては、銀行監督の強化、財政余力の確保、ビジネス環境の改善、人材開発、物流・電力等のインフラ拡充を提言しています。
 なお、「将来の成長に向けた教育の拡充」と題する調査報告も含まれています。

世界銀行の発表(英文です)
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2024/06/06/cambodia-s-goods-exports-services-boosting-economic-activity-world-bank-report-says


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カンボジアの医療発展に向けて 弘前大学医学部附属病院が協定

2024年06月20日 | 経済
 新聞報道によりますと、6月6日、弘前大学医学部附属病院は、カンボジア脳神経外科学会、東南アジアを中心に病院運営や医療提供などを展開するKitahara Medical Strategies International (KMSI)と、カンボジアの医療発展に向けて相互交流に関する協定を締結しました。協定では、カンボジアの脳神経外科医らのスキル向上を図るための人材派遣や、高度医療に関する教育プログラムの策定、臨床留学などを展開するとしています。
 カンボジアは、1970年代の内戦以降、医師を含む医療従事者が激減しており、その教育体制、医療・衛生環境もいまだ不十分な状況です。国内の医師6550人のうち、脳神経外科医は35人と少なく、国際水準に達していないと見られます。
 弘前大病院は、2023年、国際連携推進を図るため体制整備に着手しました。今年に入りKMSIの協力で、脳神経外科の斉藤敦志教授を中心とするチームがカンボジアで技術指導などを行ってきました。
 弘前大病院で行われた協定締結式で、カンボジア脳神経外科学会のシム会長は「教育プログラム、(同病院での)短期、長期の交換留学といった支援を受けながら、脳神経外科医の技術向上、国の医療発展につなげていきたい」と期待を寄せました。KMSIの代表として出席した北原国際病院の林祥史院長は「時間がかかる教育には多くの人たちの力が必要。より高度な医療が求められているカンボジアでの教育活動に、一丸となって取り組んでいく」と話しました。
 弘前大病院の袴田病院長は「現地のニーズに合った医療技術、教育などを提供し、カンボジアの人々の健康、幸せにつなげていきたい。さらに両国の医師のスキルアップに貢献していく」と国際的医療貢献を拡大する展望を示しました。
(写真は、弘前大病院。同病院のサイトより)



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MIRARTH Agri Tech カシューナッツ加工工場の竣工式

2024年06月19日 | 経済
 MIRARTHホールディングスは、グループ会社であるMIRARTH Agri Tech Co., Ltd.(カンボジア現地法人)によるコンポントム州工場の増設工事が完了し、6月4日にカンボジア現地にてカシューナッツ加工工場「MIRARTH Cashew Nuts Factory Kampong Thom」の竣工式を開催したと発表しました。式典には、植野篤志日本大使、カンボジア農林水産省政務長官、コンポントム州副知事他多数が参加しました。
 今回完成した工場には、スチーマー・殻取り機・選別機・ロースター・真空包装システムなどカシューナッツ工場の機械化に向け様々な食品加工機械を導入し、増設後は原材料ベースで1日に約8トンの原料加工が可能になるとのことです。生カシュ―ナッツについては、カンボジア農業協同組合やプランテーションから仕入れ、今年は1200トン相当の加工を想定しています。本工場で二次加工まで行い食用ナッツの付加価値を高め、カンボジア産カシューナッツとして欧州・日本などへ輸出する計画です。
 搾油後の殻残渣とカシューナッツ農園で大量発生している間伐材を活用したバイオマス燃料化については、ヨーロッパの技術を活用したガス化発電、発電規模に合わせたボイラー発電等を検討しているとしています。
 同社では、「カシューナッツバリューチェーンの構築と更なる生産規模の拡大(次フェーズ:2万トン想定)に向け、地域に根ざした工場運営に取り組んでまいります。」としています。
(写真は、MIRARTHホールディングスの発表より)

MIRARTHホールディングスの発表
https://mirarth.co.jp/pdf/news/press_20240605.pdf


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カンポット港 第1期完成 完成式典開催

2024年06月18日 | 経済
 6月6日、カンポット州で建設が進められていたカンポット港の第1期の完成式典が開催されました。式典には、フン・マネット首相、ペン・ポニア公共事業運輸大臣他多数が参加しました。
 新港の開発は、民間のカンポット・ロジスティクス・アンド・ポート社によって、民間資金を活用して実施されています。工事は、中国港湾工程 (China Harbour Engineering Company)が請け負っています。
 第1期では、長さ450メートル・幅60メートルのバース、コンテナヤード(面積5万5000平方メートル)、倉庫(8800平方メートル)、検査棟、管理棟等が建設されました。コンテナクレーンはまだ導入されておらず、3基のガントリークレーンが設置されています。1万トン級(666TEUクラス)の船舶が入港可能としています。第1期の総工費は1億5000万ドル(約230億円)としています。
 工事は、今後第2期・第3期と実施される予定で、最終的には水深13メートル、2万トン級の船舶まで対応可能となるとのことです。当初計画では、港湾は、水深15メートルで10万トン級のコンテナ船が入港可能となるとしていました。また、当初計画では、港湾に隣接して、600ヘクタールが埋め立てられ、コンテナヤード、経済特区、石油コンビナート、ロジスティクスセンター、観光施設等が建設されるとしていました。総コストは、15億ドル(約2300億円)としています。
 この港湾の周辺の海域は水深が浅いところが広がっており、埋め立てには好都合ですが、港湾にとっては、バースだけでなく、水深が深い沖合まで長距離の水路を掘削する必要があります。更に、大型船が通行可能な水深の水路を維持するため、継続的な浚渫が必要となる等、コスト的に不利な状況が予想されます。水深で有利なシアヌークビル港では、日本の支援で新たな大型コンテナバース(5万トン級)の建設が進められており、今後の両港の関係がどのように調整されていくのかが注目されます。
(写真は、クメールタイムズ紙より)


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地方評議会選挙2024 与党人民党が圧勝

2024年06月17日 | 経済
 6月4日、カンボジア国家選挙管理委員会(NEC)は、5月26日に投票が行われた地方選挙(都・州・市・郡・区の評議会議員選挙)の結果を発表しました。選挙結果は、野党不在の中で、与党のカンボジア人民党がほぼ9割の議席を獲得して圧勝しました。
 今回の地方選挙(都・州・市・郡・区の評議会議員選挙)は、コミューン、サンカット(地区、町)の評議会議員合計1万1622人による間接選挙です。
 プノンペン都と各州の評議会選挙では、5党が559議席を争い、カンボジア人民党504議席、クメール意志党47議席、国民の力党8議席となりました。フンシンペック党(民族統一戦線)、クメール国家統一党は議席を獲得できませんでした。
 市・郡・区の選挙は、5党が3641議席を争いました。党別の獲得議席数は、カンボジア人民党3257、クメール意志党312、国民の力党69、フンシンペック党2、クメール国家統一党1でした。
 今回投票したコミューン、サンカット(地区、町)の評議会議員については、2022年6月に選挙が行われましたが、8割以上が与党・人民党系でした。このため、今回の選挙結果は、投票前から与党圧勝が予想されていました。
 最近の分類では。カンボジアは選挙型権威主義国となるようですが、選挙を実施することは、民主主義に最低限必要なことと言えます。フン・マネット首相の下で、自由・公正な選挙に向けた努力がなされていくかが注目されます。
(写真は、プノンペンポスト紙より)



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駐カンボジア大使に汪報道官 中国 カンボジアへの影響力拡大を図る

2024年06月14日 | 経済
 報道によりますと、中国が外務省報道官を4年近く務めた汪文斌(Wang Wenbin)氏をカンボジア大使に起用する模様です。汪氏は、チュニジア大使を経て2020年から副報道局長を務めていました。米欧や日本への厳しい言動で「戦狼(せんろう)外交官」とも呼ばれていました。報道官ポストは、秦剛前外相や李肇星元外相も務めた同省の花形ポストの一つです。
 中国がカンボジアへ汪氏を派遣するのは、カンボジアへの影響力拡大を図るためと見られます。カンボジアでは中国の広域経済圏構想「一帯一路」に基づく事業が進められています。カンボジア政府は5月28日、首都プノンペンを走る幹線道路に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の名前を冠し「習近平大通り」と名付けています。また、プノンペンからタイ湾に至る全長180キロメートルのフナン・テチョ運河の建設計画にも中国は携わっています。
 軍事面では、今年5月に合同演習演習「ゴールデンドラゴン」を実施しています。6回目となる今回は両国の艦船部隊を初めて投入し、カンボジア南部のリアム海軍基地への中国軍進出疑惑を招いています。
 他方、米国は、カンボジアへの中国軍進出を強く警戒し、カンボジアに何度もくぎを刺しています。6月4日にオースティン米国防長官は、プノンペンでカンボジアのフン・マネット首相と会談しました。防衛分野で米国とカンボジアの協力強化を確認した一方で、中国艦船のリアム基地の長期停泊に懸念を表明した模様です。
 花形の報道官ポストから、小国であるカンボジア大使への異動は、汪氏本人にとって出世とは言えないところもあるかと思われます。他方、カンボジア政府や駐カンボジア中国大使館から見ると、「大物大使」が着任することとなります。「親中国」とも呼ばれるカンボジアですが、一般国民の対中国感情は決して良いものではありません。小国であるカンボジアは、あざとい外交も行いますが、主権や面子に傷をつけられることには敏感です。新大使が「戦狼」を衣の下に隠していけるかどうかが注目されます。
(写真は、中国との合同軍事演習。AKPより)


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米国防長官 カンボジアを訪問 中国軍進出疑惑等の懸念など伝達へ

2024年06月13日 | 経済
 6月4日、米国のロイド・オースティン国防長官は、カンボジアを訪問しました。フン・マネット首相、フン・セン上院議長(前首相)、ティア・セイハ国防相らと相次いで会談しました。オースティン国防長官のカンボジア訪問は2022年11月以来で、今回が2回目とのことです。
 オースティン国防長官は、フン・マネット首相との会談で「防衛分野など多くの分野でカンボジアと協力関係を構築する用意がある」と述べました。フン・マネット首相は、テロや人身売買、麻薬密売の撲滅を含めた防衛協力の拡大に期待感を示したとのことです。一方、国防長官は、カンボジア南部のリアム海軍基地を巡り、中国艦船による長期停泊に懸念を表明した模様です。
 リアム海軍基地は中国の支援による拡張工事が進められています。米国は、中国軍による基地の利用や基地への中国軍の進出を強く警戒し、カンボジア側に何度もくぎを刺しています。カンボジア政府は、憲法が外国軍の駐留を認めていないと疑惑否定を続けています。そうした中でカンボジアと中国は5月中下旬に合同軍事演習「ゴールデンドラゴン2024」を実施しました。演習には、リアム海軍基地での長期停泊が指摘される2隻の中国艦船も参加しており、更なる疑惑を招いています。
 他方、オースティン国防長官は、両国関係の改善、協力強化のために努力するとの考えも表明しています。関係改善の一環として、米陸軍士官学校(ウエストポイント)がカンボジア人留学生受け入れを再開する計画を明らかにしました。同校は2017年以降、カンボジア人留学生の受け入れを停止しています。フン・マネット首相は、同校の卒業生であり、今後の関係改善が期待されます。
 小国であるカンボジアは、米中冷戦の狭間で綱渡り外交を続けています。日本は、カンボジアが中国に傾き過ぎないように、様々なチャンネルを通じて粘り強く働きかけを続けています。こうした日本の我慢の外交は、大きな意義があるものと見られます。
(写真は、AKPより)



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