カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

日本 有権者情報サーバーや焼却炉を支援 無償資金協力

2025年01月31日 | 経済
 1月23日、プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本大使と、プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣との間で、有権者情報保管サーバー関連機材(サイバーセキュリティ対策機材を含む)を供与するための7億5000万円の無償資金協力に関する書簡の署名・交換が行われました。
 カンボジアでは、有権者情報を保管する機材が老朽化しており、公正な選挙実施に向けた課題の一つとなっています。また、サイバー攻撃の規模や影響は年々拡大しており、重要情報防護を目的としたサイバーセキュリティ対策の強化が急務になっています。今回の事業は、カンボジア政府に対し、日本企業製品の有権者情報保管サーバー関連機材(サイバーセキュリティ対策機材を含む)を供与することにより、民主主義の根幹をなす選挙事務運営の正確な実施に貢献するとともにサイバーセキュリティ能力の向上を図るものです。
 また、1月22日には、小型医療廃棄物焼却炉の引き渡し式も実施されました。この事業は、無償資金協力で2022年に4億3600万円を供与したものです。カンボジアの病院では、医療廃棄物管理が徹底されていなかったり、焼却炉や廃棄物用滅菌装置が老朽化等により完全な状態で稼働していなかったりしています。この対策として、29か所の公的医療施設において、感染性廃棄物処理設備(焼却炉等)の整備を行ってきたものです。
 日本は、様々な事業で、カンボジアを支援しています。日本からの支援を活用しつつ、カンボジアが地道な努力を継続していくことが期待されます。

外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01663.html


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IMF IV条協議報告書2024  経済回復も不動産の不況長引く

2025年01月30日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2024年9月17日から30日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、1月27日にIMFから発表がありました。
 カンボジア経済は、緩やかに回復しているとしています。GDP成長率は、2022年5.1%、2023年5.0%から、2024年5.5%、2025年は5.8%に達すると予測しています。ただ、回復はまだら模様であると指摘しています。成長は、衣料品輸出の回復と農産物輸出の高成長に牽引されています。観光は回復傾向にはあるものの、シェムリアップ等の主要観光地は伸び悩んでおり、観光収入の回復が遅れています。建設・不動産セクターは不況が長引き、不良債権の増加をもたらしていると指摘しています。
 物価上昇率は、変動はあるものの落ち着きを示しており、2022年5.3%から、2023年2.1%、2024年0.4%、2025年2.1%となると見ています。財政については、新型コロナ対策の現金支援等によって、財政赤字が拡大しましたが、2021年の赤字(対GDP比)は5.2%にとどまり、2022年0.3%、2023年2.8%、2024年3.0%、2025年2.4%と落ち着いてくると見ています。
 国際収支は、経常収支の赤字(対GDP比)が2021年29.6%まで拡大したものの、2022年19.0%の後、2023年は1.3%の黒字となりました。2024年は1.8%の赤字となりますが、2025年も2.5%と問題ないレベルとなると予測しています。2024年末の外貨準備は207.53億ドルと輸入の6.6カ月分、2025年末も230.64億ドル(同6.9か月分)という十分なレベルになると予測しています。2024年の公的債務返済比率は1.3%であり、対外債務の状況について「低リスク(青信号)」に分類しています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、衣料品及び農産物の輸出及び観光改善に牽引されたカンボジア経済の継続的な回復を評価しました。しかし、カンボジアが後発開発途上国から卒業することへの対策の必要性を指摘しました。また、建設・不動産セクターの不況と不良債権の増加に対する留意と、不動産セクターの監督の強化を提言しました。
 また、中期的な課題として、経済の多様化を促進し、競争力を向上させるための構造改革の重要性を強調しました。具体的には、人的資本の強化、インフラへの投資、ビジネス環境の改善、気候変動への対策、再生可能エネルギーの促進等の必要性を指摘しています。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。
(写真は、不動産開発が目立つプノンペン南部)

IMFの発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2025/01/27/pr-25017-cambodia-imf-executive-board-concludes-2024-article-iv-consultation-with-cambodia?cid=em-COM-123-49636


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外務省海外在留邦人数調査統計2024年10月現在 カンボジアは減少続く

2025年01月29日 | 経済
 1月20日、外務省は、「海外在留邦人数調査統計2024年10月現在」の結果を発表しました。この統計は、在外公館が2024年10月1日現在で、それぞれの管轄区域内に在留する邦人数を推計したものです。2024年10月1日現在の推計で、我が国の領土外に在留する邦人の総数は129万3097人で、前年(129万3565人)とほぼ同数となりました。
 国(地域)別では、「米国」に海外在留邦人全体の32.0%(41万3380人)、「オーストラリア」に8.1%(10万4141人)、「中国」に7.5%(9万7538人)がそれぞれ在留していて、これら3か国で全体の約48%を占めています。4位以降は、「カナダ」(6.0%,7万7294人)、「タイ」(5.4%,7万421人)、「英国」(5.0%,6万4066人)、「ブラジル」(3.6%,4万6577人)、「ドイツ」(3.4%,4万3513人)、「韓国」(3.3%,4万3064人)、「フランス」(2.9%,3万7056人)の順となっていて、これら10か国で全体の約77%を占めています。
 2024年のカンボジアの在留邦人は、31位3012人となりました。前年は、30位3215人でしたので、6.3%の減少となりました。これまでの推移を見てみると、2012年1479 人(前年比23.2%増)、2013年1793人(21.2%増)、2014年2270人(26.6%増)、2015年2492人(9.8%増)、2016年3049人(22.4%増)、2017年3518人(15.4%増)、2018年3934人(11.8%増)、2019年4216人(7.2%増)、2020年5057人(19.9%増)と毎年大幅増加が続いてきていました。しかし、2021年27位4502人、2022年29位3363人、2023年30位3215人と減少に転じています。それでも2009年には889人しかいませんでしたので、2024年までの15年間で3倍以上になっています。
(写真は、2024年10月の日本人会盆踊り大会)

外務省のサイト
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html


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AMRO 地域経済見通し2025年1月 貿易摩擦の激化を懸念

2025年01月28日 | 経済
 1月21日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し四半期改訂版」(Quarterly Update of the ASEAN+3 Regional Economic Outlook)を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 AMROは、今回の見通しで2024年~2025年の加盟13カ国のGDP成長率見込みについては、前回(10月)予測をほぼ維持しました。ASEAN+3では、2024年4.2%(前回10月予測4.2%)、2025年4.2%(同4.4%)、ASEAN10か国では、2024年5.0%(同4.7%)、2025年4.8%(同4.9%)と見ています。カンボジアについてもほぼ同じで、2024年5.7%(同5.6%)、2025年5.8%(同5.9%)としています。ASEAN主要国については、2025年は引き続き堅調であるとして、ベトナム6.5%、フィリピン6.3%、インドネシア5.1%、マレーシア4.7%、タイ3.1%、シンガポール2.7%等と予測しています。
 2025年の物価上昇率予測は、ASEAN8カ国(ミャンマーとラオスを除く)については2.2%(前回2.4%)へ引き下げました。カンボジアについては1.5%(同2.3%)に引き下げています。
 AMROでは、2025年については、成長は主に内需が牽引し、堅調な外需が引き続き支えとなるとしています。主なリスクとしては、米国新政権の保護主義政策、米国と欧州の急激な成長減速、中国の経済成長の鈍化、金融引締めによる金利上昇、世界的な一次産品価格と輸送費の急騰等をあげています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施しています。
(写真は、プノンペンのロシアンマーケット)

AMROの新聞発表(英文です)
https://amro-asia.org/asean3-economies-to-sustain-growth-at-4.2-in-2025-despite-rising-headwinds-from-escalating-trade-tensions


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カンボジアの車両新規登録台数41万台 2024年

2025年01月27日 | 経済
 公共事業運輸省によりますと、2024年に登録された車両数は41万3067台でした。内訳は、二輪車が35万3603台、乗用車が5万4692台、大型車が5841台でした。2023年比では、二輪車と乗用車の登録台数は増加したが、大型車は14%減少したとしています。
 カンボジアでは、国内で複数の自動車組立工場が稼働し始めているため、2024年はカンボジアの自動車輸入台数が縮小したと見られています。カンボジアでは、フォード、トヨタ等の自動車の組立工場が既に4工場稼働しており、更に2か所が計画中とのことです。
 また、2024年の電気自動車新規登録台数は、2253台でした。2023年は313台でしたので大幅に増加しました。カンボジア政府は、2024年7月に電気自動車開発国家政策2024年~2030年(National Policy on Electric Vehicle (EV) Development 2024-2030)を発表しています。2030年までに電気自動車の登録台数を77万台以上に増やすことを目指すとしています。目標の77万台の主力は電動バイク72万台で、この他、乗用車2万5000台、大型車5000台、トゥクトゥク2万台等となっています。
 2024年6月末現在で、カンボジアで登録されている電気自動車は、乗用車1614台、トゥクトゥク440台、二輪車914台の合計2968台となっています。メーカー別では、中国の比亜迪(BYD)が658台、米国のテスラが186台等です。電気自動車用の充電施設数は18カ所が稼働しているとしています。
(写真は、プノンペンのノロドム通り。走っている車の大半は中古車と見られます。)


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カンボジアからの輸出 大幅増加 2024年

2025年01月24日 | 経済
 カンボジア経済財政省の関税消費税総局の発表によりますと、2024年(1月~12月)のカンボジアからの輸出は、対前年比15.7%増の261億9860万ドル(約4兆610億円)でした。輸入は、18.0%増の285億4535万ドル(約4兆4250億円)でした。
 輸出先を国別にみると、1位は米国で対前年比11.4%増の99億1618万ドル(約1兆5370億円)で、全体の37.9%を占めています。2位はベトナムで21.6%増の36億1555万ドル(シェア13.8%)、3位中国18.4%増17億5012万ドル(シェア6.7%)、4位日本19.8%増14億870万ドル(シェア5.4%)、5位カナダ27.6%増11億990万ドル(シェア4.2%)となっています。輸入は、第1位は中国で対前年比24.6%増の134億3925万ドル(シェア47.1%)、2位ベトナム15.4%増41億6969万ドル(シェア14.6%)、3位タイ18.9%増34億4332万ドル(シェア12.1%)、4位インドネシア1.4%増10億867万ドル(シェア3.5%)、5位シンガポール7.8%減7億9893万ドル(シェア2.8%)となっています。
 品目別輸出では、縫製品が第1位で対前年比24.4%増の97億9209万ドル(シェア37.4%)、2位旅行用品20.4%増20億5544万ドル(シェア7.8%)、3位穀物11.0%増19億4089万ドル(シェア7.4%)、4位電気部品39.9%減18億8029万ドル(シェア7.2%)、5位履物23.1%増16億8076万ドル(シェア6.4%)等となっています。品目別輸入は、1位石油製品13.6%増38億4786万ドル(シェア13.5%)、2位縫製原料18.6%増30億8109万ドル(シェア10.8%)、3位電気機器23.7%増19億5075万ドル(シェア6.8%)、4位機械32.6%増17億3279万ドル(シェア6.1%)、5位車輛28.3%増17億1732万ドル(シェア6.0%)等です。
 品目別輸出で、従来の主力輸出品である縫製品・履物・旅行用品が大きく増加したことが注目されます。他方、日系企業等が製造・輸出している電気部品は大幅減少となっています。また、品目別輸入では、石油製品の輸入金額が増加していること、縫製品の輸出が好調のため縫製原料の輸入が増加していること等が注目されます。
 カンボジアの輸出産業は、新型コロナの影響から予想よりも早く回復してきました。しかし、2023年は主要輸出先の米国・欧州の景気減速等の影響で、逆風を受けました。2024年は縫製品等の従来の主力品目の輸出が大きく回復したことが目立ちますが、輸出品目の多様化と輸出競争力の強化が引き続き重要な課題であると見られます。
(写真は、日本が支援して整備が進められてきたシアヌークビル港)

関税消費税総局の統計のサイト(英文です)
https://stats.customs.gov.kh/en


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カンボジアのトゥクトゥクに投資 MUSUBI

2025年01月23日 | 経済
 1月17日、シンガポールを拠点にライドシェア事業や暗号資産関連サービス事業を展開するMVLグループの日本法人JMVLは、車両リース事業をブロックチェーン上で管理する新プラットフォーム「MUSUBI」の提供を開始したと発表しました。
 MUSUBIの特徴は、日本の投資家が、非代替性トークンを活用してカンボジアの電動トゥクトゥクのオーナーとなることです。トゥクトゥクは、カンボジアの運用会社ONiONを通じて、ライドシェアサービス「TADA」のドライバーに貸し出されます。電動トゥクトゥクの価格は4700ドルであり、カンボジアのドライバーにとっては年収分以上に相当する金額となりますが、MUSUBIによるリース方式により、初期費用なしでの利用が可能となります。他方、日本の投資家もリース料金による収益が見込めるとしています。
 2024年11月から開始した電動トゥクトゥク18台分の販売は、2024年中に完売したとしています。JMVLは引き続き、日本国内の法人を対象として同種のリース投資商品を販売するとのことです。
 新たな技術によって、日本の投資家とカンボジアのトゥクトゥクを結びつけるアイデアは、投資家の興味を惹くものだと見られます。一般の日本の投資家にとって、カンボジアは「遠い」国であり、フィンテックによってその距離を一気に縮める事業は、大きな意義があるものと見られます。
(写真は、JVMLの発表より)

JVMLの発表
https://jp.mvlchain.io/MVLNotice_jp/?bmode=view&idx=142801907&back_url=&t=board&page=


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2024年交通事故件数は減少も 飲酒運転取り締まり強化

2025年01月22日 | 経済
 国家交通安全委員会によりますと、交通事故件数は、2021年2670件、2022年2976件から、2023年3317件、2024年2844件(対前年比14%減)となっています。死亡者数は、2021年1497人、2022年1709人、2023年1590人、2024年1509人(同5%減)となっています。負傷者数は、2021年3615人、2022年4026人、2023年4515人、2024年3720人(同18%減)となりました。なお、届出されていない事故や死傷も多数あると見られます。
 新型コロナの影響で交通量が減ったことと、2020年5月から交通違反罰則金を大幅に引き上げる等の交通法規の厳格化がなされたこと等から、2020年~2021年は交通事故が減少していました。2022年~2023年は再び増加に転じましたが、2024年は減少しています。
 交通事故の主な原因としては、速度違反(1156件、40.6%)、通行権不履行(649件、23%)、不適切な車線変更(268件、9.4%)、無謀な方向転換(221件、8%)等でした。その他の要因としては、追い越し(215件、7.6%)、車両不具合(114件、4%)、飲酒運転(105件、3.7%)等が挙げられています。また、オートバイの死亡事故、特にヘルメット不着用の死亡事故が目立つと指摘されています。
 日本国内における2024年中の交通事故による死者数は2663人です。車の台数等を考えると、カンボジアでは日本と比較して約100倍も死亡事故が発生していると言われます。
 交通事故は、カンボジアにとって重大な問題となりつつあります。カンボジア政府も取り組みを進めており、フン・マネット首相は、2024年1月23日にカンボジアの交通事故で大きな原因となっている飲酒運転の取り締まり強化・アルコール飲料の広告規制強化等を表明しています。また、富裕層に有利と言われ、国民の怨嗟を招いている交通事故関連裁判についても迅速化を図る方針です。この他、交通事故を起こした違反者の資産差し押さえ等も強化するとしています。
 カンボジアでは、交通安全教育や交通インフラにおける安全対策等によって、交通事故を減らしていく努力が引き続き必要とみられます。また、海外からの支援についても、今のところ交通安全対策は重点となっているとは言い難いところがあるため、ドナー各国や国際機関にその重要性を訴えていく努力も必要と見られます。特に、交通事故死亡者数を大幅に減らしてきた日本のノウハウをカンボジアで活かす機会も十分にあるものと見られます。
(写真は、プノンペンポスト紙より)


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台湾の永豊銀行 マイクロファイナンスのアムレットを買収

2025年01月21日 | 経済
 1月15日、マイクロファイナンス大手のアムレットは、同社の株式の80%を台湾の永豊金融控股(シノパック・ホールディングス)傘下の永豊銀行(Bank SinoPac)が取得したと発表しました。取得金額は、約5億5000万ドル(約850億円)とのことです。
 今回の買収は、ルクセンブルグ系のAdvansが保有していた全ての株式を永豊銀行が取得したもので、同行がアムレットの筆頭株主となります。なお、開発金融機関であるオランダ開発金融公庫(FMO)と国際金融公社(IFC)は、それぞれ10%ずつの株式を保持しており、少なくとも2年間、移行期間を支える予定としています。その後、永豊銀行がアムレットの全株式を取得する計画とのことです。
 永豊銀行は、「ダイナミックな経済と若くて活気に満ちた人口を抱えるカンボジアは、信じられないほどの可能性を提供しており、われわれはその成長ストーリーの一部になることを切望している。」としています。
 カンボジアの金融業界は、長引く不動産不況の影響を受けて、不良債権の増加や貸付の伸び悩み、利益率の低下等に直面しつつあります。外資による買収によって体力を強化し、今後の反転に備えることは、大きな意義があるものと見られます。
(写真は、アムレットの本店)

アムレットの発表(英文です)
https://www.amret.com.kh/en/blog/amret-sinopac

ブログカンボジア経済2024年5月16日「台湾の永豊 マイクロファイナンス大手のアムレットを買収へ」
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/73c0b13e9e02e72107bd25e8dbf6c2cc


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中央銀行 暗号資産に関する省令を公布 ビットコインは禁止

2025年01月20日 | 経済
 12月26日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、暗号資産取引に関する省令を公布しました。商業銀行やサービスプロバイダーに対し、担保を有する安定した暗号通貨等の取引に関するサービスを認可できるとした一方、ビットコイン等の変動の激しい暗号資産の取引は禁止しました。
 省令によりますと、暗号資産は二つのグループに分類されます。グループ1は、現実の資産に裏付けられたトークン化された伝統的資産(債券や株式等)や、資産に価値を連動させる仕組みを持つステーブルコイン等です。グループ2は、無担保の暗号通貨(ビットコイン等)や高リスク資産です。商業銀行やサービスプロバイダーは、中央銀行の認可を受けた場合、グループ1については取引を規制の範囲内で取り扱うことが認められます。しかし、グループ2については、一切の取引が禁止されています。
 カンボジアでは、金融リテラシーが高いとは言えない状況であり、ビットコインのような価格変動が激しい金融商品について十分な理解もないままに取引してしまい大きな損害を被る例もある模様です。インターネットを使って国外のサービスプロバイダー等を経由した取引もかなりの金額となっているという情報も出ています。中央銀行の適切な規制と金融教育の推進が期待されます。
(写真は、カンボジア国立銀行のチア・スレイ総裁。AKPより)

カンボジア国立銀行の省令(英文仮訳)
https://www.nbc.gov.kh/download_files/legislation/prakas_eng/20241226_PrakasonCryptoassetactivities-Eng.pdf



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中央銀行 金融研究所を創設 学生寮も併設

2025年01月17日 | 経済
 12月26日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、金融研究所(Institute for Banking Studies: IBS)が正式に設立されたことを記念する式典を開催しました。式典には、カンボジア国立銀行のチア・スレイ総裁、ハン・チュオン・ナロン教育大臣等300名が参加しました。
 金融研究所は、1994年にカンボジア国立銀行が設立した銀行研究センターを格上げして創設されたものです。今般、新規の施設と学生寮も完成しています。金融研究所は、銀行経営、金融、経済学の専攻の学士号と準学士号を目指す学生を教育する機関となります。
 研究所の複合施設には、地方出身の学生のために学生寮が新設されました。これまでに、金融研究センターは、3175人(うち女性1997人)の準学士号の学生を訓練してきました。卒業生のほとんどは金融業界に就職しているとのことで、金融業界にとっても重要な機関となっているものと見られます。
 カンボジアは、遅れた国と見られがちですが、預金や送金等の銀行取引のデジタル化は、日本よりも進んでいると言っても過言ではありません。今後のフィンテック振興のためにも、こうした研究機関が果たす役割は重要なものがあると見られます。中央銀行や教育省等の継続的な取り組みが期待されます。
(写真は、カンボジア国立銀行の発表より)

カンボジア国立銀行の発表(英文です)
https://www.nbc.gov.kh/english/news_and_events/news_info.php?id=836


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カンボジア 2024年12月の物価上昇率

2025年01月16日 | 経済
 国家統計庁から発表された2024年12月の消費者物価上昇率(対前年同月比)は、3.0%でした。物価上昇率は、2012年以降、安定的に推移しており、2018年1月以降は概ね3%未満で推移していました。2021年9月からは久しぶりの大幅上昇となっていましたが、2022年7月以降は低下傾向となっていました。2023年7月以降、若干の上昇に転じていましたが、今年に入り低い水準で推移しています(2019年1月1.6%、2月2.4%、3月2.3%、4月2.6%、5月2.3%、6月1.6%、7月2.2%、8月3.1%、9月1.7%、10月1.3%、11月1.8%、12月3.1%、2020年1月3.6%、2月2.7%、3月2.8%、4月1.9%、5月2.4%、6月3.2%、7月3.1%、8月2.0%、9月2.9%、10月3.7%、11月3.7%、12月2.9%、2021年1月2.6%、2月1.7%、3月2.1%、4月2.7%、5月3.0%、6月2.7%、7月3.3%、8月3.4%、9月5.9%、10月6.8%、11月7.9%、12月6.7%、2022年1月4.1%、2月6.3%、3月7.2%、4月7.3%、5月7.2%、6月7.8%、7月5.4%、8月4.9%、9月4.4%、10月3.6%、11月3.2%、12月2.9%、2023年1月3.0%、2月2.2%、3月0.7%、4月1.1%、5月0.5%、6月0.0%、7月1.9%、8月3.2%、9月3.8%、10月3.9%、11月2.7%、12月2.7%、2024年1月マイナス0.5%、2月マイナス0.3%、3月0.0%、4月0.5%、5月1.1%、6月0.7%、7月0.6%、8月0.3%、9月0.8%、10月1.5%、11月2.0%)。なお、11月と比べると12月は0.7%の上昇でした。また、2024年の年間平均上昇率(暫定)は、0.8%となっています。
 ガソリン価格は、政府による価格メカニズムにより国際価格に概ね連動して動いています。11月の3950エル/リットルから、12月は3950リエル/リットルと横ばいでした。ディーゼルは、11月の3832リエル/リットルから、12月は3826リエル/リットルに下落しました。国際原油価格(ニューヨーク市場のWTI)は、ロシアのウクライナ侵略の影響を受けて急激に上昇し2022年3月初めに130ドル台にまで上昇した後、足元は70ドル台で推移しています。カンボジアはガソリン類を全量輸入に頼っているため、カンボジアのガソリン価格も国際価格に連動しています。2023年中盤に上昇した後、最近落ち着いてきています。
 国際機関は、2025年のカンボジアの物価上昇率については安定的と予測しています。アジア開発銀行は2.5%、世界銀行は2.2%、IMFは2.1%、AMROは2.3%と予測しています。
(写真は、プノンペン南東部の高層ビル群)  


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加藤財務大臣兼金融担当大臣のカンボジア訪問

2025年01月15日 | 経済
 1月7日~10日に、加藤財務大臣兼金融担当大臣はベトナム(ハノイ、ホーチミン)及びカンボジア(プノンペン)を訪問しました。カンボジアでは、フン・マネット首相を表敬するとともに、オーン・ポンモニラット副首相兼経済財政大臣、ボンセイ・ビソット副首相兼閣僚評議会担当大臣と面会し、二国間の開発協力等について意見交換を実施しました。
 会談では、円借款を通じたインフラ整備や同国から日本への技能実習生に対する支援、同国の経済成長における中小企業の振興の重要性について確認したほか、両国間の更なる経済・金融協力等の発展について意見交換を行いました。
 さらに、大臣は、現地日系企業関係者との意見交換を実施し、同国における事業環境等について議論を行いました。また、日本が円借款を供与してきたニロート浄水場の視察等を行いました。
 カンボジアは、アジアで最も親日的な国と言われます。日本もカンボジアとの友好関係を維持・拡充するために外交攻勢をかけており、2024年は外務大臣、防衛大臣他多数の高官がカンボジアを訪問しました。親中派と言われるカンボジアですが、日本に対する信頼感は高いものがあり、日本が様々なチャンネルを活用してカンボジアが中国に傾き過ぎないように努力することには大きな意義があるものと見られます。
(写真は、フン・マネット首相への表敬訪問。AKPより)

日本の財務省の発表
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/dialogue/20250110.html


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シアヌークビル港 2024年のコンテナ取扱い100万TEU達成

2025年01月14日 | 経済
 12月21日、シアヌークビル港の2024年1月からのコンテナ取扱量が100万TEUに達したことを記念する式典が開催されました。年間取扱量が100万TEUに達したのは初めてのことです。
 カンボジア唯一の大水深港であるシアヌークビル港の整備・拡充には、長年に渡り日本が協力してきました。2024年9月には、日本からの円借款を活用して工事が進められていたシアヌークビル港の既存コンテナターミナルの拡張工事が完工しました。シアヌークビル港の既存のコンテナバースを253メートル延長し、コンテナターミナルを拡張したものです。
 完成前は、約70万TEU/年の取扱能力を有したシアヌークビル港ですが、2023年には取扱量が約80万TEUとなっていました。取扱能力がほぼ限界に達しつつあるため、今回の拡張工事が行われたもので、拡張によって100万TEU/年に能力が拡大しました。
 日本は、これまでも多額の円借款や無償資金協力で、シアヌークビル港の整備に協力してきました。現在の港の沖合を埋め立てて建設する新コンテナターミナルについても、第1フェーズ向けに2017年8月に235億200万円の円借款を供与したのに続き、2022年8月に第2・第3フェーズ向けに413億8800万円の円借款を供与して、その建設を支援しています。
 日本の円借款を活用して現在工事中の新コンテナターミナル第1期は、350メートルのコンテナバースを有し、取扱能力は145万TEUとなる予定で、2026年の完工を目指しています。その後も第2期・第3期の工事が実施される計画となっています。
 シアヌークビル近郊のリアム海軍基地には中国海軍の艦艇が常駐する等、米国等を刺激する状況も続いています。カンボジアで最も重要なコンテナ港であるシアヌークビル港は、日本の継続的な支援によって、特定国の影響下に置かれないようにしていくことも重要な課題となっているものと見られます。
(写真は、シアヌークビル港湾公社のフェイスブックより)

シアヌークビル港湾公社のフェイスブック(クメール語と英語)
https://web.facebook.com/pas.gov.kh/posts/pfbid0rBWs3nATtMByzxHJRqP2camxe9aJCZdwxrQqhnufVY6DszXyZzVE3yCYxhscU2Kcl


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カンボジアの電力事情2024  電力需要の増大続く

2025年01月13日 | 経済
 カンボジア電力庁(Electricity Authority of Cambodia: EAC)は、2024年年次報告書「カンボジア電力開発の概要」を発表しています。
 2024年末の設備容量は、2023年末の3977MWから9.9%増の4372MWに増加しました。年間電力供給量(近隣国からの輸入電力含む)は、2023年の1万6804GWhから、2024年は15.6%増加して1万9419GWhに達しました。2020年~2021年は新型コロナの影響で伸び率が落ち着きましたが、2022年以降は再び需要が急増しています。15年前の2010年と比較すると、2024年の設備容量は約8倍に、電力供給量も約8倍に急増しています。2025年の電力供給量の予測は、前年比18.9%増の2万3089GWhに達する見込みです。
 2024年の電力供給の内訳は、国内での発電量が91.9%、ベトナム、タイ、ラオスからの輸入電力が8.1%となっています。国内の内訳は、石炭火力49.8%、水力41.0%、太陽光発電6.0%、石油火力2.8%、バイオマス0.4%となっています。輸入電力の比率が一時は60%にも達していましたが、国内での発電所整備が進み、輸入電力の比率は大幅に低下しました。
 送電線も整備が進み、115KV・230KV・500KVの基幹送電線は総延長3891kmに達しています。建設中・計画中(2029年まで)の送電線は1311kmとなっており、地方電化の促進と電力供給の安定化・効率化が期待されます。
 全国送電網と接続している村落数は、1万4048村で、全体の99.2%となっています。世帯ベースでは、378万世帯中360万世帯が電化されており、電化率は95.2%(2023年94.0%)となっています。
 2019年の計画停電に懲りて、カンボジアでは発電所建設が進められ、送電網の整備も進められています。発電所の完成までには数年を要することもあり、引き続き発電所・送電線等の拡充努力を地道に続けていくことが必要と見られます。また、カンボジア政府も脱炭素を目指して、石炭火力発電所の新規開発は行わない方針を決定しており、太陽光発電等の持続可能型エネルギーの活用を図る必要があるものと見られます。
(写真は、シアヌークビル郊外のスタンハウで2022年に稼働した中国系の700MWの石炭火力発電所)

カンボジア電力庁のサイト(英文です)
https://eac.gov.kh/site/index?lang=en


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