カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2017年07月31日 | 一般
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IMF IV条協議ミッション2017

2017年07月31日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。7月12日から来訪したIMF調査団とカンボジア政府との協議結果について、7月25日にIMFから発表がありました(なお、詳細なレポートは、通常2ヶ月ほどで発表されます)。
 IMFは、カンボジアが、2017年、2018年ともに7%前後の高成長を維持すると予測しています。民間投資の伸びが若干弱まるものの、政府支出、建設、観光等により成長が続くとしています。経常収支の赤字の縮小が続き、2016年にはGDP比8.8%となりました。この赤字は、海外直接投資等により埋め合わされて、2017年6月末には外貨準備は79億ドルにまで拡大しています。
 IMFは今回の協議で、金融リスク管理、財政健全化、包括的成長を維持するための構造改革について議論しました。金融リスクについては、民間銀行からの貸出しが伸びており、GDP比で70%を超えてきていることに懸念があるものの、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)が金融機関の健全性維持のための規制を導入・拡充していることを評価しています。財政健全化については、これまでの慎重な政策により財政赤字を抑制し、公的債務も大きくないことを評価しています。税収が2016年にGDP比15%に達したことも評価し、継続的な努力に期待しています。また、財政支出を、今後とも生産性の高い開発事業に集中させることが必要と指摘しています。
 カンボジアの課題としては、国際競争力の強化と産業多様化を挙げています。そのために、電力コストの引下げ、人造り、インフラ整備、法規制と透明性の強化が必要であると指摘しました。また、産業課発政策の確実な実施により、中小企業の振興と、国際的サプライチェーンへの統合が必要としています。この他、金融市場開発、自国通貨(リエル)使用促進、金融理解の促進等による金融包括の進展等を重要なポイントとして挙げています。

IMFの新聞発表(英文です)
http://www.imf.org/en/News/Articles/2017/07/25/pr17297-cambodia-imf-staff-completes-2017-article-iv-visit?cid=em-COM-123-35669


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プノンペンで秋田の味 のりこカフェ

2017年07月30日 | 生活環境
 プノンペン南部、ロシアンマーケット近くに「のりこカフェ」が開店しています。店内はシンプルですが、秋田県をPRする秋田犬のポスターがたくさん貼ってあって、秋田ムードを盛り上げています。お店のコンセプトは、「私たちは、日本の秋田から来て、プノンペンにカフェを開業します。秋田の食文化を伝えるために。そして、カンボジアと秋田の友好のために。」ということです。メニューは、きりたんぽやガッコ(お漬物)等、秋田らしいものも楽しめます。メニュー数は、まだ多くありませんが、和風のカレーライスやドライカレー等の新メニューも続々の様です。秋田の日本酒も楽しむことができます。ビールが1.2ドルというのもうれしい価格設定です。秋田から来られた明るい店長さんが頑張られています。お試しください。

のりこカフェ
No.241F, St.454
https://noricocafe.wordpress.com/
https://www.facebook.com/NoricoCafeAkita/

きりたんぽに甘辛みそがよく合う「みそたんぽ」


お酒のおつまみにばっちりの「がっこ」。こういうものが好いんです。


おまけ。秋田内陸縦貫鉄道、阿仁マタギ駅付近。2017年4月筆者撮影。



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サッカーAFC U-23選手権予選 カンボジアで開催 日本代表とも対戦

2017年07月29日 | 社会・風土
7月19日~23日に、サッカーAFC U-23選手権予選がカンボジアで開催されました。カンボジアでは、カンボジア、日本、フィリピン、中国が参加するグループJの6試合が行われました。
 カンボジアは、初戦は強敵の中国との雨中の試合でしたが、耐えに耐えて0対0で引き分けに持ち込みました(写真上)。第2戦は、格上の日本代表を相当に苦しめたものの、2対0で敗れました。第3戦は、フィリピンとの試合で、ペナルティキックが決まらない等の不運がありましたが、1対0で勝利しました。カンボジア代表が出る試合には、プノンペンのオリンピックスタジアムに数万人の観客が集まり、カンボジア代表への応援も他チームを圧倒するものがありました。
 日本代表は、東京オリンピックに備えるという観点から、あえて20歳以下のメンバーで勝負しました。初戦のフィリピンには8対0、カンボジアに2対0と勝ち進みましたが、最終戦は引き分けでも良いとの考えが頭に浮かんだのか消極的なゲーム運びとなってしまい、中国に1対2で敗れました。グループJで2位となったものの、何とか本選出場に結びつきました。
 カンボジア代表は、1勝1敗1引き分けで、3位となり本選進出はかないませんでした。体格や技術でまだまだのところもありますが、やる気溢れる溌溂としたプレーで、今後の育成が期待されます。また、中国等と異なり、礼儀正しく、ルールやマナーをきちんと守る点も高く評価されます。また、こうした国際試合がカンボジアで開催可能となってきたことも、素晴らしいことだと思います。

日本サッカー協会の日本代表のサイト
http://www.jfa.jp/national_team/news/00014323/


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ベトナムのチョン書記長 カンボジアを公式訪問

2017年07月28日 | 経済
 7月20日から22日、ベトナムのグエン・フ・チョン共産党書記長は、国賓としてカンボジアを公式訪問しました。今回の訪問は、両国の外交関係樹立50周年を記念する一環であり、書記長は、シハモニ国王陛下やフン・セン首相等の多数の要人と会談しました。チョン書記長とカンボジアのフン・セン首相は、カンボジアとベトナムの友好と全面的な協力関係の強化に関する共同声明を発表しました。共同声明は、50年にわたる両国関係を評価し、今後の更なる発展に向けた方策等に触れています。
 両国の首脳は、2025年までに両国の貿易額を50億ドル(約5600億円)に増大させる目標に合意しました。また、チョン書記長は、カンボジア国会の事務棟建設事業に2500万ドル(約28億円)の支援を表明しました。
 両首脳立会いの下で、国境付近での災害救助に関する議定書、カンボジア・ベトナム経済連携に関する共同枠組協定、発電開発・送電線接続・電力融通に関する覚書、通信に関する覚書も調印されました。
 カンボジアとベトナムの関係は、微妙なものも含んでいますが、南部経済回廊を通じて経済的には連結性を高めており、友好関係の持続は両国にとって重要なものとなっています。
(写真はAKPより)

カンボジアとベトナムの友好と協力の強化に関する共同声明(英文です)
https://www.mfaic.gov.kh/site/detail/11721


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世界銀行 2021年までにカンボジアに5億4000万ドル支援へ

2017年07月27日 | 経済
 7月18日に、新たに世界銀行のカンボジア・ミャンマー・ラオス担当に任命されたエレン・ゴールドスタイン氏とオウン・ポン・モニロット経済財政大臣が会談しました。カンボジア経済財政省によりますと、この席上で、世界銀行は、2018年から2021年に総額5億4000万ドル(約605億円)をカンボジア向けに支援したいと述べたとのことです。
 世界銀行側は、カンボジアの近年の成長を評価するとともに、貧困層にも裨益する包括的成長を引き続き支援したいとしています。また、カンボジア政府の四辺形戦略と産業開発政策に従って優先順序を決めていきたいとしました。
 モニロット大臣は、世界銀行の支援は、カンボジアの開発に大きく貢献すると評価しました。また、成長と貧困削減に資する多くのプロジェクトに役立つとしています。更に、今回の支援表明は、世界銀行がカンボジアを強く信頼していることの表れであると述べています。
 世界銀行は、カンボジア政府が事業を実施する際の住民移転等に問題があるとして、一時支援を凍結していました。他方、このままでは、中国等の支援によって、環境や社会面への配慮が十分なされないまま多くの事業が実施されてしまうことに懸念を有しているものと見られます。世界銀行には「ご意見番」としての役割も期待したいところです。
(写真はAKPより)


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JICA 国道1号線の7月中の改修完了を発表  12年かけて完工

2017年07月26日 | 経済
 7月20日、国際協力機構(JICA)は、2005年から12年間も取り組んできた国道1号線の整備が7月中に完工すると、ニュースレターで発表しました。国道1号線は、プノンペンからメコン河を渡り、ベトナム・ホーチミン市へとつながる南部経済回廊の大動脈です。この事業は、プノンペン都心部からメコン河の「つばさ橋」に至る計56kmの区間で、道路の改修や橋の掛け替えを実施したもので、工事費の援助額(日本政府の無償資金協力)は約94億円でした。今回、完工したのは最後の工事区間の第4期工事で、モニボン橋を始点とする4キロの区間です。この区間だけは、片側2車線となっています。
 56kmの区間の全線整備に12年間もかかってしまったのは残念なことです。日本の援助は「遅い」「逐次投入」と言われてしまうかもしれません。また、最終区間だけでも片側2車線化できたことは良かったのですが、残りの区間はつばさ橋も含めて片側1車線であり、5~10年で容量の不足に直面することも危惧されますので、計画中のプノンペン~ホーチミン間高速道路の早期具体化が期待されます。中国や韓国の援助のように質が低くて1年で損傷するような道路は困りますので、日本の援助には「質の高いインフラ」をキーワードに、「迅速化」も含めたたゆまぬ改善が望まれます。
(写真は工事中の最終区間)


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既存の鉄道を活用してプノンペン空港線を開設へ

2017年07月25日 | 経済
 スン・チャントル公共事業運輸大臣は、既存の鉄道を活用して、プノンペン駅とプノンペン空港を連結する鉄道が2018年4月にも開業することに期待を表明しました。プノンペン駅から、鉄道は西に延びており、約9キロの地点でシアヌークビルに向かう南線と、タイ国境のポイペトに向かう北線に分岐します。その手前で、プノンペン駅から約7キロのポーチェントン駅付近から分岐する新線約1.5キロを建設して、プノンペン空港まで連結する計画です。分岐した後の新線は、105K通りを、道路と鉄道の併用軌道(路面電車のような感じ)で進み、国道4号線を平面交差して空港に向かうものと見られます。完成すれば、プノンペン駅から空港までは、20分程度となる見込みです。
 建設工事は既に開始されており、約250メートルが完成しています。ロイヤル鉄道は、メキシコの車両製造業者に車両4両も発注済とのことです。100人乗りの車両は、1両約100万ドル(約1億1000万円)としています。
 鉄道沿線に住み着いている住人との問題がまだ完全に解決していないとの情報もありますが、空港までの新線建設に必要な費用は数億円程度と見られ、大変コストパフォーマンスに優れた案件と言えます。また、既存の鉄道を活用して、プノンペン駅とプノンペン経済特区間に通勤列車を運行する案件もあります。既存の鉄道の活用等、道路以外の交通インフラの整備は、プノンペンの渋滞対策に重要な役割を果たすものと期待されます。
(写真は、プノンペン駅。シアヌークビル行の旅客列車)

新線の分岐付近のニュース映像(クメール語です)
https://www.facebook.com/freshnewsasia/videos/774942286010898/


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2017年07月24日 | 一般
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カンボジアで価格のリエル建てを義務付け 懸念も

2017年07月24日 | 経済
 新聞報道等によりますと、カンボジア商業省は、7月19日に、商品やサービスの価格表示に自国通貨リエルの表記を義務付ける政令を公布し、即日適用したとのことです。カンボジア経済は高度にドル化されており、市中流通通貨の8割以上、預金の9割以上が米ドルとなっています。このため、一般の商店や飲食店では価格がドル建てのところが多いのが現状で、リエルは市場等での少額の取引や地方部での取引等で使用されています。
 カンボジア政府では、中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)を中心に、脱ドル化を緩やかに進めてきています。2017年3月末の現金通貨(リエル)は、6兆8351億リエル(約171億ドル:約1930億円)となっています。2013年にも今回と同様の価格のリエル建て化を求める動きもありましたが、実施状況はお寒い状況でした。
 こうした現状で、リエル建ての価格表記を厳格に義務付けた場合、ドル建てで契約を締結している企業に混乱を招く可能性もあり、短期間での実施には懸念があります。不動産等の高額取引や賃貸料等はドル建て表記がほとんどであり、既存の契約との兼ね合いも考慮する必要もあるため、簡単には転換が進まないのではないかとも考えられます。
 脱ドル化は、大変に難しい政策の一つであり、少しでも無理をすると外資の流出や市場の混乱、自国通貨の暴落等を招くことは、他国での前例が示しているところです。カンボジア政府には、関係者とのコミュニケーションを十分に取った上での慎重な対応が求められます。
(写真はプノンペンのガソリンスタンド。ガソリンやタクシー代はリエル建て化している。)


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明るい定食屋さん 彩の国

2017年07月23日 | 生活環境
 プノンペン中心部バンケンコンにある定食屋さん「彩の国」です。場所は、デ・キャッスルの真向かい(北側)です。店内は、明るい雰囲気で、何となく大きなマンションのリビング・ダイニングといった雰囲気です。プロジェクターテレビで、日本の民放も見れます。メニューは、定食や丼もの、ラーメンまでいろいろです。天ぷら「長州」ともコラボしていて、天ぷらや大きなエビの天ぷらの乗った天丼等もあります。おつまみもいろいろあります。生ビールが1杯1ドル(約110円)というのもうれしいです。ランチタイムに行って、エビフライ定食を頼みましたが、エビフライが4本も付いていて6.5ドルとお得でした。お客さんは、日本の方が多いようです。ランチタイムは、盛況でした。お試しください。

彩の国
#45, St. 288
https://www.facebook.com/sai.no.kuni.45.288/

エビフライ定食。美味しかったです。


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ENJJ特別勉強会 カンボジア内戦前の日本の協力

2017年07月22日 | 経済
 カンボジアでは、日本大使館(Embassy of Japan)、NGO、JICA、カンボジア日本人商工会(JBAC)が集まって、オールジャパンでの協力を行っていくための協議会があります。4者の頭文字をとって、ENJJと呼ばれています。
 7月17日に、日本がカンボジア内戦前の1960年代に協力した「プレクトノットダム建設事業」をテーマとして、様々な発表がありました。会場には、50名以上が集まり、質疑応答も熱心に行われました。
 まず、広島大学の友次晋介准教授より「プレクトノットダム計画と日本主導の多国間援助 カンボジアをめぐる冷戦・開発・メコン河流域諸国間関係」について説明がありました。次に、静岡大学の藤本穣彦准教授より「プレクトノット川流域システム 未完のプロジェクトから地域の未来を考える」と題して報告がありました。最後に、実際にプレクトノットダム建設事業の施工に従事されたCAMCAL社の神崎紘邇相談役より、建設当時のお話等を伺いました。プレクトノットダムは、建設途中でのカンボジア内戦激化により未完となっていますが、大変効果の大きい事業であることが説明されました。また、内戦になっても現地で完成を目指して努力されていた諸先輩のご尽力について伺い、大変感銘を受けました。
 ENJJは、カンボジアで活躍されている各方面の方々の生の声が聞ける貴重な会議であり、今後も引き続き活発な活動が期待されます。



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国道2号線改修へ 韓国支援

2017年07月21日 | 経済
 新聞報道等によりますと、公共事業運輸省は、プノンペンからタケオを経てベトナム国境に至る国道2号線のうち、プノンペン郊外とタケオを結ぶ区間等について改修・拡幅工事を行うことを決定しました。韓国の対外経済協力基金からの資金協力を得て実施されます。国道2号線は、プノンペンとカンボジア南部を繋ぐ重要路線であり、近年交通量が急増してきています。元々は、日本のPKO部隊により整備された国道ですが、整備後20年以上を経てさすがに老朽化も目立ってきていました。
 改修・拡幅の対象となるのは、プノンペンの南にあるタクマオからタケオ州のトラムカック(Tramkak)間57kmと、タケオ近くで国道2号線と国道3号線を連結する国道22号線の9kmとなります。総工費は、5600万ドル(約62億7000万円)で、韓国の対外経済協力基金の支援に加え、カンボジア政府も850万ドル(約9億5000万円)を負担します。
 なお、韓国の支援で2011年に整備が完了した国道3号線は、早くも老朽化が目立ってきており、改修・拡幅のための準備調査が実施されることとなっています。韓国や中国が支援した道路については、品質に問題がある場合も多く、完成して短期間で路面状況が悪化して維持管理費用が多額に上る例も散見されます。日本としては、「品質の高いインフラ」をキーワードにして、簡単には損傷せず、維持管理費用が低く抑えられるような道路や橋梁の建設を支援していくことが望まれます。
(写真は、最近の国道2号線)

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カンボジア政府 民間発電所からの電力購入契約に政府保証

2017年07月20日 | 経済
 7月10日、カンボジア国会は、カンボジア電力公社(EDC)による民間発電所からの電力購入等に関する政府保証の付与について承認する議決を行いました。また、7月18日、上院もこれを追認する議決を行いました。政府保証の対象となるのは、シアヌークビル郊外のスタンハウにカンボジアンエネルギー2株式会社(CDL2)が建設中の150MWの石炭火力発電所からの電力購入契約と、アレックス株式会社が建設しているコッコン州のストゥン・タタイ水力発電所からプンペンまでの220キロメートルの230KV送電線の送電契約となります。カンボジア電力公社は、この両事業者への支払義務を負っていますが、万一の場合に備え、政府保証を付与するものです。また、政治的リスク等により事業実施を中止することになった場合、完成した設備を政府が買い取るという保証も付与されます。この政府保証により、民間企業側はリスクを低減することが可能となり、資金調達等において有利な条件を獲得しやすくなる効果があるものと見られます。なお、送電線については、現在計画されている230KVからさらに高圧で効率的な500KVへ変更する可能性も認めるとしています。
 民活インフラ事業に対する政府保証の付与については、民間が負うべきリスクと政府が負うべきリスクのバランスをとることが、資金調達コストやリスク分担の観点から重要なポイントとなります。資金調達コストは、将来の電力料金決定に大きくかかわる点であることから、本来的には低金利の円借款(0.01%/年)等を活用すべきですが、民活で実施する場合であっても、政府側がバランスのとれたリスク負担を行うことで少しでもコストを低減することが重要と見られます。
(写真は、スタンハウのCDLの石炭火力発電所)


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ローワーセサン第2水力発電所 間もなく稼働へ

2017年07月19日 | 経済
 カンボジア北東部ストゥントレン州で建設されていたローワーセサン第二ダム・水力発電所がほぼ完成し、湛水を開始しました。このダムの総工費は約8億1600万ドル(約920億円)で、中国ハイドロランチャン国際エネルギーが51%、カンボジアの財閥ロイヤル・グループが39%、ベトナム電力グループ(EVN)が10%を出資する合弁事業体が、期間45年(うち運営40年間)のBOT方式(Built Operate Transfer)で請け負っています。2017年10月にまず50MW程度の発電を開始し、2018年には全機稼働して400MWとなる予定としています。発電された電力は、カンボジア電力公社(EDC)に、6.95セント/kwhで売り渡すこととなっています。なお、ダムにより水没する農地等の面積は、3万6000ヘクタールとなりますが、一部では住民移転が完了していないとの情報もあります。
 カンボジアでは、シアヌークビル近郊の石炭火力発電所と、カンボジア南西部のコッコン州・プルサット州等の水力発電所が次々と完成しており、電力は量的には充足しつつあります。地方部での電力の安定供給、電力の質の向上とともに、電力料金の引き下げが重要な課題となっており、カンボジア政府の積極的な対応が期待されます。


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