英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015世界陸上雑感 その3 ~中継への不満~

2015-09-09 22:51:35 | スポーツ
1.メインキャスター・織田裕二&中井美穂コンビ
 世界陸上が日本テレビからTBSに移った1997年第6回アテネ大会から連続10回、このコンビが務めている。2年おき(第1回から第3回までは4年間隔)なので、10回で20年(期間としては18年)なので、もはや“世界陸上の顔”である。(4回連続ぐらいから、≪動かせないかも≫という雰囲気になった気がする)
 織田裕二に関しては、賛否両論で、特に初期は否定派が多かった。実際、テンションだけ高くて、暴走気味だった。それでも、視聴者が慣れてきたこともあるが、長時間、しかも、9日間、テンションを保ち続けるのはなかなかできない。
 各競技のツボも心得ており、選手の経歴なども周知している。時に、的外れなことも言ったり(今回で言うと「4×400mリレーの走順はあまり関係ない」と言っていたが、これは大きな誤り)、ひとり悦に入る様が疑問に感じられることはある。
 中井美穂に関しては、当初、「織田裕二を操縦できるのは彼女しかいない」という評価が高かった。織田裕二のハイテンションに対して、それに動ぜず進行するのは彼女の業である。ただ、最近はおざなり的相づちが目立ち、そろそろ交代の時期に来ているのかもしれない。
 でも、正直言って、私にとって、メインキャスターはどうでもよい。録画したものを見るので、メインキャスターの部分は早送りしてしまうからだ。しかし、今回、気のせいかもしれないが、彼らの出番が多く、中継が寸断されてしまっているように感じた。まあ、増田明美氏のようなどうでもいい情報ではないので、「良し」としたいが、メインキャスターの部分をもっと減らして、中継時間を増やしてほしいのである(その理由は、以後の項で)。

2.フィールド競技の決勝の中継が短い
 フィールド競技(跳躍、投てき種目)の予選はかなり時間、中継したが、決勝は注目選手や最終試技の残り3選手ぐらいしか中継がないことが殆どだった。
 これは、協議のタイムスケジュールが主因であろう。予選は日中行い、地上波で中継する夜間、決勝・準決勝が行われている。気温の関係もあるが、テレビ中継の都合(視聴率)が大きい。トラック種目(短距離~長距離等)、跳躍種目、投てき種目の決勝が次から次に行われ、間延びがなく面白い。
 しかし、必然的に、中継があちこちに飛び、各種目をじっくり観ることはもちろん、各種目をすべて観ることは不可能となる。
 予選は午後のBS中継で紹介される。「予選で良い跳躍、良い投てきをした選手たちが、決勝で更に激烈な争いをするだろう」という期待が高まるが、決勝は先述したとおりで、“尻すぼみ感”が大きい。
 特に、高跳びや棒高跳びは、メダルが決定する直前から中継されるが、皆限界の高さになっており、その緊張感は面白いが、限界の高さなので、失敗試技が多くなる。高跳び特有のふわりとした浮遊感、バーをクリアする爽快感が感じられる成功跳躍が見られないのは、残念で仕方がない。
 「最初の高さを軽々と綺麗にクリアしていく→徐々に失敗し脱落していく選手が多い中、それでも綺麗にバーを飛び越えていく→有力選手も四苦八苦しながらクリアし、究極の高さでの勝負になる」……それらすべてを観て、高跳びを堪能できるのである。

 同じことが、長距離種目にも言える。最初の1000m中継して、他の種目を中継、3000mを経過して中継に戻ると、勝負は既に佳境(日本選手は脱落済み)に突入、トップグループも絞られているという状況。非常に残念だ。

 システム上、現状の中継体制は仕方がないのかもしれない。それならば、余計な?メインキャスターの割り込みを減らして、正味の中継時間を増やしてほしい。さらに、午後のBS中継で、じっくり再中継してほしい。

3.インタビューについて
 過去において、世界陸上のインタビューは酷いものだった。その顕著な例が「2007年世界陸上大阪大会での山縣苑子氏のインタビュー」
 徐々に改善されてきているように思う。それでも、確かに無神経な質問や言葉はなくなったが、レース展開の思惑や、勝負のポイント(勝因、敗因)を突っ込んで質問しない(できない)のことに、不満を感じる。
 今大会で、印象に残ったのは、男子200m準決勝での藤光、高瀬両選手に対するインタビューだ。

--お疲れ様でした。いかがでしたか、今日のレースは?--
藤光選手「そうですね~準決が終わって、タイム的には自己ベストを出せば残れる結果だったので、ま、そこを出し切れなかったのが、ま、とても悔しいですね」
--高瀬選手、いかがですか?--
高瀬選手「ま、やっぱり、ファイナルに全然引っかからないような走りだったので……もっとやっぱり、自分の力をつけなきゃいけないのかなっていう、そういうレースでした」
--お疲れ様でした。ありがとうございました--


 “形式的に聞いただけ”というインタビューだ。
 CM明け後だったので、藤光選手、高瀬選手はずっと待たされていたのだろうか?
 もしかしたら、CMの間、スタジオの織田裕二とやり取りしていたのかもしれないが、レース後の疲労と決勝に残れなかった悔しさを押さえて待たされていたのだとしたら、非常に失礼なインタビューだったのではないだろうか?
おそらくスタジオのキャスターと話をするためのイヤホーン(現代風な名称は知りません)だと思うが、はめる意味はなかった。
 「いかがでしたか?」と聞くだけならだれでもできる。藤光選手らの言葉を聞いて話を広げなければ、インタビュアーの意味はない。それに、聞くだけ聞いて、何も返さないというのは、失礼千万!
 終わった後の、≪それだけか?≫というような二人の表情だった。

4.ヒーローをつくりたいのだろうけれど……
 世界陸上だけでなく、スポーツ中継をする際、テレビ局はヒーローをつくりたがる。
 高校野球では清宮選手、バレーボールでは古賀選手、そして、世界陸上ではサニブラウン選手。もちろん、皆、若くて才能があり、スポットを浴びるに値する素晴らしい選手だ。
 しかし、テレビ局の思惑…≪ヒーローがいれば、視聴率が取れる≫…があるように感じてしまう。サニブラウン選手は世界ユース陸上競技選手権大会で、100mで10秒28、200mで20秒34と共に大会記録で優勝し、2冠を達成した逸材であるが、おなじ200mの藤光選手、高瀬選手もタイムでは負けていない(上回っている)。
 なのに、スポットの当て方が全く違っていた。
 スポーツ中継は選手の活躍を伝えるのではなく、その競技(試合・ゲーム)の面白さを伝えるのが主でなければならない。それこそが、その競技の真の人気を得る一番の手段である。
コメント (3)
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