英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第56期王位戦 第5局 (2015年8月26日、27日)

2015-11-07 17:22:50 | 将棋
 王座戦の記事が滞っています。もう少しお待ちください。

 『将棋世界』を仕事の合間を縫って読んでいますが、まだ11月号(先月1日発売)を読んでいます。ようやく棋戦情報のコーナーにたどり着きました(ほぼ全体の8割)。
 根気がなくなり、一気に読むことが困難になっています。そういう場合は、翌日に読むことになるのですが、栞を挟んだページから、少し前に遡らないと内容が分かりません。そうすると、前日に読み進んだところで終了なって日もあります。
 まあ、そういう訳で、ほぼ1か月かかってしまいますが、ちょうど良いとも言えます。ところが、棋力と気力の衰えからか、読むスピードが時のスピードについていけなくなってきています。

 実は、読むのが捗らない理由がもう一つあって、それは私が疑り深い性格です。書いてある内容に納得がいかず、局面を検討するのですが、ほとんどが私の勘違いです。

 しかし、どうしても納得できない局面も出てきます。
 それが、王位戦の第5局。
 角換わり腰掛け銀で、先手の広瀬八段の新構想が功を奏し局面をリード。後手の羽生王位の玉頭に襲い掛かり、誰もが寄せが決まったと思った局面が、実は、寄っておらず、広瀬八段がやむなく予定変更、形勢不明に。

 そして、問題の局面。

 実戦では、図から広瀬八段の▲9六香に対し、強引に角を手駒にする△5二飛が好手で、羽生名人が勝利し、防衛を決めた。


 広瀬八段は、分岐図で▲9六香と▲2五金△同桂▲8六歩を考えたそうだ。
 分岐図から▲2五金△同桂▲8六歩は、以下△同歩▲7七玉△7八銀不成▲8六玉△8四歩▲同馬△9三金で難解だそうだ。

 この2手の他に、立会人の桐山九段が▲7七玉を感想戦で指摘している。

以下は『将棋世界』11月号の雲井宏氏の観戦記
「残り3分の広瀬は時間を使わず▲9六香を選んだ。その瞬間この夏の王位戦の勝負が決した。結論から言えばここは▲7七玉なら広瀬の勝ちで、第3局に続いて終盤で嵐が吹き荒れるところだった」
 第3局に続いて終盤で嵐が吹き荒れるところだった……正直、ムッとする表記だ。


 ≪本当に、▲7七玉で先手の勝ちなのか?≫
 観戦記やネット中継の解説によると(青字は引用した変化)、以下△5六金(変化図2)(▲同歩は△2六竜▲同金△7八金以下詰み)

 以下、▲7五歩△同歩▲8五角成△8二飛▲8四桂△2六竜▲同金△7六金(変化図3-1)▲同馬△同歩▲同玉△6七角▲7五玉△6六金▲同玉△8五角成▲2三歩(変化図3-2)

 以下、△2三同桂▲2四歩△8四馬▲同馬△同飛▲2三歩成△同金▲7二飛(変化図4-1)と王手された時に、後手の対応が悩ましい。


 この王手に歩以外の合駒をしてしまうと先手玉の詰めろが解けてしまうので、△3二歩と合駒すると、▲3一銀△同玉▲4二金△2一玉▲7一飛成△1二玉▲2四桂△同金▲1三金△同玉▲1一竜△1二桂▲3一角△2三玉▲2二竜△3四玉▲3九香(変化図4-2)の時に歩合いができず、詰んでしまうそうだ。



 羽生王位も「▲7七玉と上がられていれば負けでしたね」と感想戦で認めているので反論し難いが、▲7七玉に△5六金は不自然に感じる
 ▲5六同歩なら詰むが、▲7五歩△同歩▲8五角成と進めては、先手玉の上部が厚くなり後手の攻めが細くなっている。しかも、龍当たり、金当たりが残っていて忙しい。また、その後の変化も一本道ではないように思える。


 ▲7七玉に、△5七と(変化図6)はなかったか?

 後手の構図は、以下▲5七同銀△6五龍▲6六歩△6二龍▲同馬△同飛(変化図7)。
 主張点の龍と“と金”を消してしまう損な取引に思われるが、先手の馬を消すことで後手玉の危険度を軽減するとともに先手玉の厚みをなくしていること。先手の2六と3七の2枚の金をぼかした存在にしていること。△5九角の王手金取りが残っていること……など、後手が指せる局面ではないだろうか。
 ただ、この順は先手が素直に応じ過ぎで、△5七とに対し、▲2三歩と一旦叩いて後手玉を乱し、△同金に▲8六歩(変化図8)と玉の逃走路を開くと

もう訳の分からない局面である。

 △6七金▲8七玉△7八銀不成(△8二飛)で寄ればいいが、今一つハッキリしない。後手が良いと思うのだが、先手の馬と角の存在が意外に大きい。後手玉の危険度もよくわからない。2五の龍の扱いも悩ましい。変化図8から△5二金▲6一馬△3二銀と強引に角を手にする手も考えられる……
 まあ、とにかく、観戦記などが言うような「結論から言えばここは▲7七玉なら広瀬の勝ち」という局面とは言い切れないのである。


 そんなわけで将棋世界の読解やブログ記事が停滞してしまったのです。
コメント
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