恋愛大河ドラマ……それはそれで面白い
母を斬殺された悲しみ、社会の理不尽さの中でも前向きに生きるヒロイン・まひろ
・母が目の前で虫けらのように殺され、その犯人の権力者・藤原兼家の次男・道兼は何の咎めも受けない
・まひろは利発であったが、女性ということで社会的に身を成すことができない
・散楽などを通じて道長と知り合うが、母を殺した男の弟という因縁や身分の違い
・父・藤原為時は真面目で博学だが、世渡り下手で無官が長い
【ここまでのざっくりとした感想】
・直秀(散楽一座の座員、義賊)で主要人物になるかと思ったが、役人に殺害され、あっさり退場。まひろと道長の仲を取り持っただけだった。まひろに散楽などの脚本に興味を持たせる役割もあったが。
・「藤原」姓が多すぎて、人物の判別把握が困難
・段田安則が上司だったら嫌だなあ
で、20話はミステリー色が強かった
花山法皇と知らずに矢を射った藤原伊周・隆家の処分が緩いことに不満を感じた詮子(吉田羊)の策略
①詮子が「断罪せよ」と道長に訴えるが、温情も必要だとやんわり拒否する道長。思案する詮子。
②詮子が病に臥せっているのを倫子(黒木華)から聞いた道長が見舞う。その際、「できた妻だが、倫子はいささか口が軽いのぉ」と漏らす詮子
③詮子の周囲に“悪しき気を感じると、倫子が屋敷の探索を命じ、呪詛を発見する
④呪詛の件を知った道長は、姉の狂言だと悟り、この件については内密にするよう告げ、倫子に一任する
⑤藤原実資(ロバート秋山)が帝に「伊周が道長と詮子に呪詛を掛けた」と捜査報告
➅伊周が「呪詛に関しては潔白だ」と道長に訴える
⑦道長は、伊周の妹の中宮・定子(高畑充希)を帝に引き合わせ、情に訴える
⑧帝の恩情により、伊周と隆家は地方に任官(左遷)に決まる
………呪詛・病床に伏せるのは詮子の狂言で、「倫子は口が軽い」という言葉などから、その意図《大事(おおごと)にせよ》を察した倫子が協力
気になったのは、倫子が詮子の狂言に気づいたのはいつなのか?
まず、倫子が大きな動きを見せたのが、「悪しき気が漂っておる。調べよ」と屋敷を調べさせた時。
このシーン、私は《この時代の人は、そういう超常的な霊感を持っているのか。安倍晴明も幅を利かせているし》と感心したが、いや、霊的センスはなくとも、そういう呪詛的なモノを信じていたので、呪いを掛けられている可能性を感じたのかもしれない。とにかく、詮子の身を案じての行動だと思った。
しかし、後々の事の運びを考えると、呪詛札自体も詮子が仕込んだ狂言だということを察し、詮子の考えを忖度して協力したと考えるのが妥当である。その行為は、道長の意に反しても、道長の政敵を排除しておきたかったのだろう。「詮子に協力」と書いたが、詮子の企みを利用したと考えた方が良いのかもしれない。
倫子の心内を推察できるカット(シーン)が二つある。
②の場面の最後に、倫子が心配げに詮子を見やるが、その最後に、僅かに訝しさを示す表情をしていた。
④の直前、詮子が倫子の差し出す薬を拒んだ。その薬を女御に下げさせた時、ふと考え、詮子の方に顔を向けた。
……②でわずかに疑問を持ち、④で確信し行動に移したのだろう。詮子の言った「倫子は口が軽い」という言葉も確信の度を深めたのだろう。
全く趣き違うが、熱闘風呂でのダチョウ倶楽部の上島さんの「押すなよ」というお約束コントを思い出してしまった。
倫子たちが発見した呪詛札を見て、詮子が恐れ慄いていたが、これは視聴者用のフェイク。でも、ない方が良いような気がする。
【ストーリー】
為時(岸谷五朗)が淡路守に任命され、惟規(高杉真宙)、いと(信川清順)も大喜び。しかしまひろ(吉高由里子)は、宋の言葉を解する父は越前守の方が適任だと考え…。
一方内裏では、花山院(本郷奏多)の牛車に矢を放った一件で、一条天皇(塩野瑛久)が伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)に厳しい処分を命じた。さらに、定子(高畑充希)は兄弟の不祥事により、内裏を出ることを命じられる。絶望のふちに立った定子は…
脚本:大石静
母を斬殺された悲しみ、社会の理不尽さの中でも前向きに生きるヒロイン・まひろ
・母が目の前で虫けらのように殺され、その犯人の権力者・藤原兼家の次男・道兼は何の咎めも受けない
・まひろは利発であったが、女性ということで社会的に身を成すことができない
・散楽などを通じて道長と知り合うが、母を殺した男の弟という因縁や身分の違い
・父・藤原為時は真面目で博学だが、世渡り下手で無官が長い
【ここまでのざっくりとした感想】
・直秀(散楽一座の座員、義賊)で主要人物になるかと思ったが、役人に殺害され、あっさり退場。まひろと道長の仲を取り持っただけだった。まひろに散楽などの脚本に興味を持たせる役割もあったが。
・「藤原」姓が多すぎて、人物の判別把握が困難
・段田安則が上司だったら嫌だなあ
で、20話はミステリー色が強かった
花山法皇と知らずに矢を射った藤原伊周・隆家の処分が緩いことに不満を感じた詮子(吉田羊)の策略
①詮子が「断罪せよ」と道長に訴えるが、温情も必要だとやんわり拒否する道長。思案する詮子。
②詮子が病に臥せっているのを倫子(黒木華)から聞いた道長が見舞う。その際、「できた妻だが、倫子はいささか口が軽いのぉ」と漏らす詮子
③詮子の周囲に“悪しき気を感じると、倫子が屋敷の探索を命じ、呪詛を発見する
④呪詛の件を知った道長は、姉の狂言だと悟り、この件については内密にするよう告げ、倫子に一任する
⑤藤原実資(ロバート秋山)が帝に「伊周が道長と詮子に呪詛を掛けた」と捜査報告
➅伊周が「呪詛に関しては潔白だ」と道長に訴える
⑦道長は、伊周の妹の中宮・定子(高畑充希)を帝に引き合わせ、情に訴える
⑧帝の恩情により、伊周と隆家は地方に任官(左遷)に決まる
………呪詛・病床に伏せるのは詮子の狂言で、「倫子は口が軽い」という言葉などから、その意図《大事(おおごと)にせよ》を察した倫子が協力
気になったのは、倫子が詮子の狂言に気づいたのはいつなのか?
まず、倫子が大きな動きを見せたのが、「悪しき気が漂っておる。調べよ」と屋敷を調べさせた時。
このシーン、私は《この時代の人は、そういう超常的な霊感を持っているのか。安倍晴明も幅を利かせているし》と感心したが、いや、霊的センスはなくとも、そういう呪詛的なモノを信じていたので、呪いを掛けられている可能性を感じたのかもしれない。とにかく、詮子の身を案じての行動だと思った。
しかし、後々の事の運びを考えると、呪詛札自体も詮子が仕込んだ狂言だということを察し、詮子の考えを忖度して協力したと考えるのが妥当である。その行為は、道長の意に反しても、道長の政敵を排除しておきたかったのだろう。「詮子に協力」と書いたが、詮子の企みを利用したと考えた方が良いのかもしれない。
倫子の心内を推察できるカット(シーン)が二つある。
②の場面の最後に、倫子が心配げに詮子を見やるが、その最後に、僅かに訝しさを示す表情をしていた。
④の直前、詮子が倫子の差し出す薬を拒んだ。その薬を女御に下げさせた時、ふと考え、詮子の方に顔を向けた。
……②でわずかに疑問を持ち、④で確信し行動に移したのだろう。詮子の言った「倫子は口が軽い」という言葉も確信の度を深めたのだろう。
全く趣き違うが、熱闘風呂でのダチョウ倶楽部の上島さんの「押すなよ」というお約束コントを思い出してしまった。
倫子たちが発見した呪詛札を見て、詮子が恐れ慄いていたが、これは視聴者用のフェイク。でも、ない方が良いような気がする。
【ストーリー】
為時(岸谷五朗)が淡路守に任命され、惟規(高杉真宙)、いと(信川清順)も大喜び。しかしまひろ(吉高由里子)は、宋の言葉を解する父は越前守の方が適任だと考え…。
一方内裏では、花山院(本郷奏多)の牛車に矢を放った一件で、一条天皇(塩野瑛久)が伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)に厳しい処分を命じた。さらに、定子(高畑充希)は兄弟の不祥事により、内裏を出ることを命じられる。絶望のふちに立った定子は…
脚本:大石静