英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season13 第16話 「鮎川教授最後の授業・解決篇」

2015-02-19 22:11:27 | ドラマ・映画
鮎川教授の狂人じみた行動の裏には、まったく逆の真意が秘められていた………
 ………サスペンスとしては面白いが、右京の追及理論や教授の行為の意義としては落第点の内容だった(しかも、追試を受ける権利もないほどの出来)


 その理由を述べる前に、まず、
鮎川教授の問いかけ「なぜ人を殺してはいけないのか?」についての
右京の解答

“なぜ人を殺してはいけないのか?”その問いに明確に答えることは不可能です。
 しかし、“人を殺せば罰を受ける”…それは極めて明快なルールです。
 人が人として生きるために定めた万人が等しく従うべきルールである」


えっ!、明確に答えるのは不可能!?刑事がそんな試合放棄的姿勢でいいの?
まあ、教授の評価によれば、
「“何故”という問いの意義、“殺してはいけない人とは何か?”“殺すとはどういうことか?”“いけないとはどういうことか?”、そして、法的正義と法的責任まで考察し、短時間でよくまとめあげた力作だと思う」
と言わしめるほど素晴らしい答案だったらしい。(社女史の答案も負けず劣らず素晴らしいものだったらしい)

 で、結局、“法を遵守し、法を犯せば罰せられなければならない”というこれまでも論議を呼んだ右京の根本理念を押し出した。


 事件
 享、米沢、伊丹らの必死の捜索も間一髪間に合わず、引き金を引こうとした教授を、黎子が護身用で持っていた銃で撃ち殺してしまった……正当防衛か。
 しかし、教授の凶行の真意は、黎子は教授の実の娘で、黎子の母にお腹の子ども(黎子)を下ろすよう強要し、更に母を捨て不幸にしたことの贖罪で、黎子に正当防衛という形で復讐を遂げさせようとしたのだった。(「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いかけは、黎子の罪の意識を軽減させるためであった)

 誰もが正当防衛だと判断したが、右京は教授と黎子の関係、そして、教授の真意に気づき、解明した。さらに、発砲時の黎子の殺意の有無を問題視した。

右京の追及
「 あなたは
A.ここで撃たなければ殺されると思って、引き金を引いたのでしょうか?
B.ここで撃てば殺せると思って、引き金を引いたのでしょうか?


 同じ行為でも意味合いは全く違ってきます
前者は正当防衛
後者はまさしく、殺人
 」


 右京の言葉に、黎子は「殺意があった」と認めた………しかし

右京が提示したAとBは並立する事象ではない
Aと相対する事象は「ここで撃たなくても殺されない」
ではないだろうか。

この点については、享が指摘している。
「相手が撃たないとわかっていればまだしも、黎子さんは鮎川教授の計画を知らなかった。つまり、実際に銃口を向けられたその瞬間、まさに自分が殺されると思って反撃したわけですよね」

 「抵抗しなければ自己または他人が殺される(危害を受ける)状況やそう判断される時に、相手に危害を与えて防衛する場合に正当防衛が成立する」と考えられる。
 この場合、“殺意”の有無が第一ではない。むしろ問題視されないのではないだろうか。相手の行為を反撃して阻止しないと身の危険にさらされ、殺意に近い決意が必要なはずだ。
 Bの「ここで撃てば殺せる」という意思が問題になるのは、防衛のための反撃を行うに足る状況でない場合であろう。この場合、殺意がなければ「過剰防衛」で、殺意があれば「殺人」と判断される。


 右京が、まるでAとBが2者択一の並立事象として取り上げたことは、論理が破綻していたのではないだろうか。


右京の信念は支持したい。
「人は犯した罪と向き合う必要があります。
 有耶無耶のままであってはいけません。
 しっかりと罪の意識を持つことで、その後の人生が大きく変わるはずですから」


しかし、今回の右京の追及は強要に近かった。
これについては、社女史が指摘した。
「あれは、一種の暗示だったと思います。
 引き金を引いた瞬間の彼女の殺意です。
 おそらくその瞬間、彼女の頭の中は空白だった。
 つまり、“彼女自身、殺意があったかなかったかは分からない”
 というのが、本当のところだったのではないでしょうか?

 彼女は杉下さんの追及で、“その瞬間に殺意があった”と気づいた
 という気になってしまったのではないでしょうか?


「僕は、彼女の心の真実に迫っただけですがねえ」
と弁明したが、決めつけ気味の黎子追及時の論調であった。
 その点については、右京の言葉から読み取れる。
「復讐の為に鮎川教授に近づき、実行には移せなかったものの、常に殺意を抱いていた。肌身離さず拳銃を持っていたのですから」

 護身用の拳銃を持っていたのは、今回の緊急時、万が一に備えて携帯したとも考えられる。


 今回の右京の強引さは、社美彌子の存在価値を高める意図によるものだったのかもしれない。



 さらに、今回、疑問に感じたのは
 教授の行為が浅はかだったこと
彼女が復讐心を抱いていたとしても、正当防衛を装いその思いを遂げさせることが彼女の幸せになるのかは疑問であるし、そんなことより、彼女に自分の罪を懺悔し、遅まきながらでもより良い親子関係を築くべきであろう。
 それに、復讐を遂げさせたとして、黎子が正当防衛であっても「実の父を殺害した」という心の傷を負わせるのはどうかと思う。
 黎子も教授を恨んでいたとしても、殺害するほどの復讐心を持っていたのだろうか?


【些細な疑問】
 犯行現場の鮎川別邸が、なぜ、黎子名義になっていたのだろうか?


【ストーリー】番組サイトより
 右京(水谷豊)と美彌子(仲間由紀恵)が、大学時代の恩師・鮎川(清水綋治)に監禁されていることを知った享(成宮寛貴)たちは、必死に行方を追っていたが、いまだに場所を特定できずにいた。いっぽう、悦子(真飛聖)は、享との間に子供を授かったことを峯秋(石坂浩二)に告げるが、そこで思わぬ事態が! その頃、右京は、一同を解放しようとしたことで、同じように監禁されてしまった家政婦の黎子(石野真子)から、鮎川と出会ったきっかけを聞いていた。黎子いわく、2人の間に恋愛感情はなく、鮎川からの要望で家政婦として働くようになったという。 そうこうするうち、再び地下室に鮎川が現れ、時間切れを告げる。彼は一同を監禁した後、「なぜ人を殺してはいけないのか」という命題を突きつけ、満足のいく回答が得られなかった場合、誰かを撃ち殺すと宣言していたのだ。「僕の中に眠っていた悪魔が目を覚ました」という鮎川。右京は、享が助けに来てくれることを信じ、大きな賭けに出るのだった。

監禁された右京と美彌子に、恩師の暴走を止める術はあるのか?
相棒の窮地に奔走する享の救いの手は届くのか?
人々の思いが交錯する中、意外な真実が明らかになる!

ゲスト:石野真子 清水綋治

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治

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2 コメント

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ざ~んね~ん (かみしろ)
2015-02-21 04:27:52
殆ど同じ感想でした。
教授の計画が巧妙であっただけに
「法学の教授だった人間がそんな短絡的で・・・・」

正当防衛ですが、防衛する側が比較的優位で余裕があれば相手のダメージをコントロールしてなど考えることもできるでしょうが、猟銃相手に、どう見ても.22short程度が限界の小型銃では急所を狙って殺そうとしなければ、たちまち反撃を受けることは明確です。
素人にはそんなことを考える余裕もないのは当然でしょうし。
教授も、あそこまでやって確実に殺されようと考えていたなら、無理にでも45口径の銃を持たせ、日頃から彼女に射撃の練習をさせるべきでした。ハワイとかで。

真実を追求するのも結構ですが
「推定無罪、内心の自由」
を明確に無視する強要に近い右京の追求は現代司法を侮辱するもので、近世の魔女狩りに近いです。
返信する
教授の根本的な人生観がおかしかったです ()
2015-02-21 17:13:44
かみしろさん、こんにちは。

>教授の計画が巧妙であっただけに
>「法学の教授だった人間がそんな短絡的で・・・・」

 そうですね。
 計画は巧妙でしたが、それだけに、「そこまで考えるのだったら、もっと人生について真っ向から考えろ」と言いたくなるような人物でした。
 気のせいかもしれませんが、清水綋治さんはこういう役柄が多いですね。

>真実を追求するのも結構ですが「推定無罪、内心の自由」を明確に無視する強要に近い右京の追求は現代司法を侮辱するもので、近世の魔女狩りに近いです。

 ええ、今回の右京の追及は変でした。美彌子を際立たせる意図が強かったのでしょうか?
返信する

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