エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■65■「管理講習と恐竜」

2018年02月01日 | エルソル大阪物語

■65■

「上田さんは管理講習は済ませていますか?」

事務の岡オバサンに聞かれました。

指導者として「管理理容師」がいるらしく、
免許を取りに講習(計6回)に出向かなければなりませんでした。

場所は大阪府庁。

月1回月曜日、たくさんの理容師が一緒に講習を受けます。

その中に専門学校同期の「幼顔仲田」を見つけました。

仲田「え?上田君店長で、藤君チーフ?」
  「そんなンありかいな、最強やん」

上田「同期のみんなも頑張ってるかなぁ~?・・」

仲田「あかんワ、殆ど辞めてるワ」
  「堀ノ口(ケツの口)は中古車売ってるし、」
  「玉居さん(おばちゃん)は保険のセールス・・」
  「続いてる奴探したほうが早いナ!」

上田「そうか・・、何か寂しいな」

「管理講習」は計6回の半日講習でした。

「労務管理」「衛生管理」「経営管理」「財務管理」
会場で話を聴くだけの講習なんで難しいことではありません。

興味深い話がたくさんあり、毎回講習を受けるのが待ち遠しいくらいでした。

なかには自分達理容師に直接関わりのある話もありました。

~健康について~
「筋肉疲労」と「精神疲労」
鉄棒で懸垂を繰り返すと、やがて体が重くなり上がらなくなる、
これは「筋の疲労」であり、肉体労働によっておこる疲労のほとんどがこれである。

理容作業は立ち仕事で「筋の疲労」はもちろんのこと、
客の好みに応じて髪型を考えたり工夫したり、幼児の調髪など極めて緊張する場合もあり、
「精神的な疲労」は相当なものになる。

労働の疲労に対する予防としては、
・作業環境を快適にし、作業方法を適正にする
・適当な栄養と休養をとる
・軽い体操、マッサージ、入浴
などそれぞれ有効な方法ではあるが、【十分な睡眠】をのぞいては他のどんな方法も疲労回復の決め手にはならない。

近年は、社会生活は複雑になり、
家庭や職場に様々な「精神的問題」が発生し、職場の人間関係の調和を失ったり、
家庭崩壊、離婚、家出、非行、犯罪、自殺など悲惨な状態が続発している。

「精神」は不安定で傷つきやすく、
精神活動の源でもある「欲求」は必ずしも満たされず、不満、もつれ、いざこざが起こったりする。

日々の「疲労」がしっかり回復されると、
「精神」は精魂みなぎり、驚くほどの強さ、ねばりを発展しうる。

WHO(世界保健機構)の憲章
「健康とは、身体的にも精神的にも社会的にも完全に良好であって」
「単に病気でないとか、虚弱でない、ということだけではない」

講習はこんな話の他にも、
「ヨーロッパにみられる若者による薬物汚染」
「世界中に蔓延するであろうエイズ」
「ガン死亡率トップ胃ガンから肺ガンへの推移」
「50年後に底をつきる食料問題」
大学の講師や医療関係者などが分かりやすく講義してくれました。

「管理理容師」の免許も無事にとりました。

免許証書の大阪府知事名は「横山ノック」でした。


朝一番に「長島先生」がヘアテックに飛び込んできました。

「アイツが出てきたらしいで!」

「アイツ」とは『恐竜辻神』の事です。
どうやら刑期を終え、出所しているという噂です。

長島先生「働くとこ探して散髪屋回ってるらしいから気を付けや」

その日の午後、管理講習で一緒になった「幼顔仲田」から電話がありました。

仲田「来たワ。」

仲田の話によると、
ド派手な金髪のパーマに濃いサングラスをかけ、店の前に現れ、
チラ見をしながら行ったり来たりする『辻神』。

仲田と目が合うと同時にサングラスを取り、何故かスクワットを始める『辻神』。

やがてお店に入って来て、

辻神「おう仲田!ずいぶん久しぶりやな!」

  「俺とお前は友達やでな!な!!」

  「仕事無くてな!大変困ってんねん!」
  
  「雇ってくれるように言ってくれ!」
  
  「な!トモダチの仲田くん!ウヒャヒャヒャッ」

仲田がお店のマスターに言おうと振り向くと、
マスターがすぐさま何かを感じとったらしく、ブルンブルンと首を横に振ったらしい。

仲田「僕な、そこ(ヘアテック)教えたから、そのうちそっち行くと思うで。」

電話を切り、藤に向かって言いました。

上田「どうやら近々、辻神がくるらしいで・・・」

 藤「それはマズイな・・・」

坂田「何が来るんですか!?何が来るんですか!?何ですかその緊張感!?」

休み明けの火曜日、コラージュの「磯野君」が言いました、

「昨日、用事でお店に寄ったんですけど、」 
「ヘアテックの外に変な人がいましたよ・・」

「金髪パーマのイカツイ人が電柱の上からヘアテック覗いてましたワ」

上田・藤「辻神来てたんや!!セーーフ!セーーフ!」

■65■

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エルソル大阪物語■64■「美容バブル」

2018年02月01日 | エルソル大阪物語

■64■


「コラージュ」「ヘアテック」は団結力を増し、
行動を共にする時は『コラテック』(造語)として活動しました。

住之江にフットサル場が出来たと聞きつけ、「フットサルチーム」を結成しました。(ミニサッカー)
磯野・パンツ四藤は高校時代サッカー部だったらしく、
普段では考えられないようなキレのある動きをしました。

対戦相手は、お客さんチームや同業者チームでした。
しかし、営業時間終了してからの試合だったので、
夜10時からのキックオフになってしまいました。(深夜サッカー)

妹の結婚式の為にウチに泊まっていた同級生チャン中沢も深夜フットサルに参加させました。
高知県中学短距離記録保持者の中沢、
人工芝コートを縦横無尽に走る中沢の姿は、ミュージシャンというより、やはり「野人」でした。

「コラテック」は「早起き野球チーム」もつくりました。
西区の球場で朝6時プレーボールです。
三銃士井垣・藤は野球経験があり、目立ちました。
中でもイケメン上山田は大分柳ヶ浦野球部出身のスラッガーでした。


春になり、
三たび大相撲の方々が訪れる季節になりました。

呼出しカツユキさん「すっかり店長らしくなったね~」

何げな一言が嬉しかったりします。
しかし、「ヘアテック」にまたまた試練が・・・

四藤君が辞めることになりました。

理容師のお父さんが新しくお店を開くことになり、一緒に働くということです。
これは止めることも出来ません。

「ヘアテック」はまたも貴重な人材を失ってしまいました。


学校が四藤君の代わりに新卒者を送り込んでくれました。

『坂田』くん、インターン(男)
色白メガネ、背高、フェミニンな若者。京都出身。

履歴書に目を通した藤がつぶやきました、

藤「上田君、京都はやっかいかも知れへんで・・」

京都に偏見を持つ藤の予想は、少なからずもハズレではありませんでした。

この若者、鏡を拭きながら自分の顔ばかり眺めます。

「そこから見てたら曇りが見えんやろ、色んな角度から・・・」
と言いかけると、

坂田「そこが汚れている!って言ってもらったほうが助かります」
と言います。

タオルの洗濯のやり方、レッスンのやり方、本人が納得するまで動きません。

上田「君のやり方は何事にも遠回りしてしまうで」

坂田「そうかもしれませんが・・」

なかなかの頑固者が入店しました。

「頑固者」は不器用なだけで、進む方向さえ掴めば猪突猛進できる。
自分に当てはめて「プラス思考」に考えました。

しかし、「コラテック」としての野球・サッカーも参加を拒みます。

上田「嫌かもしれんがみんなが余計な心配するから、たまには来い」

坂田「・・分かりました。」

京都の坂田君を家に泊めて早起き野球に参加させました。

そんな坂田君でもお客さんには愛想もよく、営業に関しては問題ありませんでした。


世の中は不景気風が吹き始める中、理美容業界はバブル絶頂期にありました。

『カリスマブーム』到来です。

3ヶ月向こうまで予約が取れない「カリスマ美容師」と呼ばれる美容師が、
次々とTV・雑誌に露出しはじめました。

コンサート会場・ホールなどで開かれるヘアショーなどでお金が取れる時代になりました。

「関西美容理容難波専門学校」、この名称も『グラムール』というシャレたものになりました。

旧高砂殿にあった「クラブQOO」は梅田JR高架下に移転し、関西を代表するクラブになりました。

業績の悪かった「エステサロン」は閉店、
ライブハウス「WO’HALL」も巻き添えで閉める事になりました。

旧高砂殿は「美容室DEW」を残し、美容学校の別館となりました。

学校「美容科」は定員300名に対し、6000人の受験人数がありました。

まさに、空前絶後の『美容師ブーム』でした。

対する学校「理容科」の方は定員割れ、
「ダサい」「職人気質」が若者に嫌われ、事態は深刻になっていました。

「先生方の現場での勉強不足」という社長の変な判断で、
日替わりで先生達が「ヘアテック」でスタッフとして働きました。

長島「上田店長、よろしくお願いします」

長島先生、古尾先生が訪れました。

事情を知っている僕は、
社長が会社に居る時だけ働いてもらい、普段は通常業務に戻っていただきました。

『美容バブル』に乗った社長は、「大阪厚生年金会館」でヘアショーを開催しました。

「ヘアメイクアクア」「ミンクス」「KC」etc‥
1億円の費用を投資してまでTVでお馴染みのカリスマ美容師達を呼びました。

我らが「コラージュ」も同じ舞台に立ちます。
僕達「ヘアテック」は裏方として、それぞれの控え室に入りました。

舞台では「コラージュ」のみんなも負けず劣らず、無事ショーは終了しました。

ちなみに会場チケットは¥8000、そんな高値でも完売でした。

「美容バブル」、バブルは所詮バブルです。

我らが「理容」はしっかりと足元を見つめるのみです。

■64■

坂田・藤と・・

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エルソル大阪物語■63■「今日の雨はいい雨だ」

2018年02月01日 | エルソル大阪物語

■63■


「中沢カズヒロが東京でバンドやっててCD出してるらしいで」

高校の同級生、ショウジローが電話口で言いました。

東京で挫折した僕に的確なアドバイスをくれた彼、
ショウジローは神奈川の大学を出て地元高知で高校教員になっていました。

 上田「へぇ~、スゴイね~」
   「バンド名は?」

ショウジロー「【ザ・チャン】!」

 上田「チャン?・・オモロイ名前やね~」
   「しかし、どっかで聴いた事あるような・・・」

「野人」のような同級生ナカザワがCDなんか出すとは・・

6月梅雨入りした頃でした。
いつもBGMにしていた「FM802」で、DJヒロ寺平が軽快に曲を紹介しました。   

「今月のヘビーローテーションはこの曲!」

「ザ・チャン~今日の雨はいい雨だ~!」

「♪~~」

上田「ん?、今、チャンって言うた?」

 藤「チャン、言うたで」

上田「何ぃ~!?」

FMから流れてくるその軽快な楽曲に耳を疑いました。

それから間もなくして、
ライブハウス「WO’HALL」の津島支配人がCUTに訪れました。

津島「今度FM802の公開録音ライブがあるけど、来る?」
  「ザ・チャンっていってたなぁ」

上田「行きます!行きます!」

高校の同級生でヘアテックの顧客でもあった
「劇団赤鬼」のシモムラ(あだ名ヘモ)を誘って観に行きました。

「WO’HALL」入口でPASSをもらい、少し緊張しながら足を進めました。

もう既にライブは始まっていて、しかも大盛況でした。  
舞台上ではやはり間違いなく、「野人中沢」がベースを弾いていました。

上田「やっぱり中沢やな、アレ」

ヘモ「間違いないワ!スゲ~~」

ライブが終了して司会DJとボーカルのトークに移り、他のメンバーが舞台裏にハケました。
ヘモと一緒に急いで裏に回りこみました。

スタッフの一人をつかまえました。

  上田「チャンのナカザワ君を呼んできてもらえませんか?」

スタッフ「関係者ですか?」(疑い)

  上田「そうです!」(ウソ)

キョロキョロしながら出てきたのは、
間違いなく高校時代の同級生「野人中沢」でした。

中沢「おーっ!!どうしてこんなとこにいるの~!!」

中沢の第一声は高校時代そのままの地声のデカさ・・

上田「お前こそ何で~?」

ミュージシャン・劇団員・散髪屋、
異色の3人は舞台裏通路で久しぶりの再会にハシャギました。

スタッフ「公開録音中なのでお静かに!!」(キレかけ)

何度か叱られた後、場所を玄関ロビーに移しました。

中沢「で、ヘモは何してるの?」

ヘモ「劇団やってんねん」

上田「コイツの劇団赤鬼、今結構売れてるんよ~」
  「なかなかスゴイで」

ヘモ「中沢のほうがスゴイわ、ビックリした!」

中沢「まさか高校の同級生に会えるとは思わなかったよ・・」

上田「人生オモロすぎるな~」

しばらくの間、楽しいひとときを過ごしました。


そして後日、

久しぶりの男がお店を訪れました。

「上田ぁ~~、元気してたかぁ~?」

ヨシモトの漫才師、ショウショウの羽田昇平です。

上田「うぉーっ、健ちゃんやん!久しぶりやな~~」

昇平「上田、お前出世したな~、難波で店長か!?」

上田「健ちゃんこそ、なんば花月に出てるやろ!」
  「そうそう、前にTVでもチラッと見たで!」

昇平「チラッとっていうなーー!」
  「それより腹減ったから食いに行こうや」

上田「おう、行こ行こ」

近くのトンカツ屋に連れて行きました。

上田「健ちゃんトンカツ好きやったやろ?」

昇平「よう覚えとるな・・、中津の洋食屋、まだやってるかな~」

久しぶりの再会、
そしてお互いに今現在も頑張っている事が嬉しく思い、長い時間飲み食いしました。

昇平「上田!まだ付き合え!」
  「次はオレに任せろ!スナックや!いきつけやから」

千日前の雑居ビル3階の小さなスナックに連れて行かれました。

健ちゃんが扉を開けた瞬間、
店内のお客さんから大きな拍手と歓声があがりました。

「昇平ーーッ」「昇平ーーッ」

このスナックでは随分と人気者です。

健ちゃんはステージに上がり、モノマネや上手な歌を披露しました。

お客「おまえも芸人やろ!?何かやれ!」

上田「芸人ちゃいますワ!ムリムリ」

健ちゃんはひと通りのネタをやり終え、カウンターに戻ってきました。

上田「そうそう、福嶋が八幡浜で店出したワ」
  「思ったよりしっかりしてて、頑張ってんで~」

昇平「知ってるワ、オフクロさんがやってる『スナックこけし』」
  「30周年イベントとか言うてな、漫才で呼ばれたワ」
  「行ってビックリ、八幡浜市民会館満員御礼や!」
  「アイツのオカン、何モンやねん!」

上田「たしか菅原都々子のお弟子さんって言うてたな~」
  「ほら、『月がとっても青いから~~』の・・」

昇平「オフクロさん、美容院にスナック・・」
  「女手ひとつでアイツを育てて・・」  
  「オフクロさん大事にせぇ!って言うてきたったワ」

スナックは健ちゃんの「ツケ払い」でした。

外に出ると通行人から声を掛けられます。

通行人「昇平や!」
通行人「あれ昇平ちゃう?」

やはり、なんば花月の舞台に立っている健ちゃんは有名人でした。

通行人「横のヤツ誰や?」
通行人「あの横のヤツは相方?」

チラホラ聞こえてくる声はコワイものでした。

健ちゃんが「一休さ~~~んっ!!」と仮想の馬で走りました。

通行人「お前も何かやれーー!」

上田「できるかーーー!!」

ミナミの暗く淀んだ空からは雨が落ちてきました。

みんなそれぞれ頑張っている。

「今日の雨はいい雨だ」

■63■

ザ・チャン「今日の雨はいい雨だ」


ショウショウ昇平と・・

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エルソル大阪物語■62■「ヘルス嬢はそっくりさん!?」

2018年01月31日 | エルソル大阪物語

■62■


「お先です!お疲れ様でしたー!」
裏口ドアから「コラージュ」に声を掛け、藤と共にお店を出ました。

すぐ近くに小さな本屋がありました。
その昔、発砲事件があった「ガンショップ」は本屋になっていました。

先に帰ったはずの「四藤君」が立ち読みしている姿を窓越しに確認できました。

藤「またアイツ、エロ本読んでるワ」

その小さな本屋は入り口周辺だけゲーム雑誌が置いていて、
少し奥に入れば「エロ本」「エロビデオ」のオンパレード。

しかも「マニア向け雑誌」なんかが多数あり、非常に「男臭い」本屋でした。

上田「コラ!パンツ!」

四藤「わっ!びっくりした~」

四藤君が手にしていた雑誌は「風俗店情報雑誌」でした。

四藤「コレ見て下さい店長、お化け美容室エロ店長に似てません?」

上田「ん~、どれどれ」

あるヘルス店の看板娘が上目遣いでポーズをとっていました。

上田「・・・」

上田「おい藤!ちょっとこっち来てみ!コレ見てみ!」

 藤「んん?これは似てんなぁ~、っていうか似すぎやなぁ」

上田「ちょっ、四藤君!吉福店長呼んで来て!」

コラージュ吉福店長登場。

吉福「これエロ店長ですやん!間違いないでしょう!」
  「スゴイなコレ、バイトしてるんかな!?」

上田「いやぁ、でも有りえんでェ、ファッションヘルスやで!?」

 藤「ちょっと四藤君!この本買え!」

次の日、
ヘアテックに出勤した四藤君は、早速カバンから「風俗誌」を出しました。

「貸せ!」
待ちきれない藤が横取りし、例のページを開きました。

「バリバリ・・」
音がしました。

「お前ナ・・」
僕と藤が四藤君を睨みました。

四藤「いやいや、気のせいですって!」

磯野君が飛び込んできました。
「見せてください、うわっ、ホンマや、そっくりですやん!え~」

上田「やっぱり似てるな~、だんだんエロ店長に思えてきた・・」

 藤「よっしゃ!オレ、行ってくるワ!!」

四藤「おお!藤さんオトコや!」

 藤「電話すんで~、四藤君番号言うて!」
   
  「あ、もしもし?今度そちらの店に行きたいんですけど」
   
  「今雑誌を見てて、源氏名マキちゃんって子が可愛いから、」
   
  「マキちゃんはいつ出勤してます?」
  
  「(うすら笑い)、そうですか」
  
  「じゃあ今度の月曜の朝10時でお願いします。」
  
  「あ、僕ですか?四藤です!」

すぐ横で四藤「うわっ、最悪やこの人・・」

 藤「四藤オカシですー!」

四藤「いや、そこはタカシいうてください・・」

電話を切った藤が満面の笑みで言いました、

藤「間違いないワ!絶対にエロ店長や・・」

  「だって出勤日聞いたら、月曜日だけの勤務やて」

次の月曜の朝、藤は十三(じゅうそう)の雑居ビル2Fに出向きました。

(ここからは後日藤談)

薄暗い店内、
  藤「予約していた四藤ですが」

ボーイ「マキちゃんでよろしかったでしょうか?」
   「少々お待ちください・・」

廊下奥からボーイに連れられ、
バスローブ1枚でうつむき加減でマキちゃん登場!

ところがマキちゃん、
藤の顔を見るやいなや走って逃げ出した!!

「あ、おーい!」追いかけるボーイ!

藤「(間違いない!エロ店長や!!)」

しばらくして、ボーイが現れ、
「すみません、マキちゃん急に具合が悪くなって・・、」
「他のコじゃダメですか?」

藤「嫌や、マキちゃんアカンのやったらお金返して!」


源氏名「マキちゃん」、
ファッションヘルスでバイトしていた(※かもしれない)『エロ店長さん』は、
間もなく一身上の都合で「お化け美容室」を辞めました。

【ヘアテック・コラージュ男性陣】
「お化け美容室はそういうサービスあったんちゃうか!?」

■62■

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エルソル大阪物語■61■「ルーレットパンツ」

2018年01月31日 | エルソル大阪物語

■61■


【2月】、
会社の『慰安旅行』がありました。

学校職員、各6テナント全員、
大型バス2台に分乗して1泊2日の温泉スキー旅行です。

ガイドの付いたバスは賑やかで、皆明るい顔で楽しんでいました。
行き先は兵庫県北部、夢千代の里・湯村温泉「井づつや」。
決して自腹では行けないような豪華な宿です。

夜は大宴会です。
各テナントの店長は社長・専務などと同じく上座に座らされ、
次々とお酌されます。
「酒」と聞けば高知県人の血が騒ぎます。
店長会議ではちっちゃくなる僕でもここでは無礼講。

「さあ来い!」

気持ちよくドンドンとお酒を受ける僕の周りに、自然と人が集まりました。

「店長!カッコええですワ!」
すでに酔っ払って頭にねじりタオルを巻いた『四藤君』が日本酒を持ってきました。

「おう!四藤!今日はやり切るぞ!」

一滴も飲めない『藤』は、もうくたばっていました。

「上田さん!男や!」
コラージュ組が囃したてます。

「お前ナ・・あの・・ああ・・」
『長島先生』は眼もうつろでロレツがまわっていませんでした。

「いや~ん!」
「お化け美容室」の『美人エロ店長』がはだけた浴衣を押さえました。
野郎共がすぐに群がりました。

舞台上ではクラブQOOの連中が裸で走りまわっていました。


2次会は、浴衣のまま番傘で外に出ました。
外は大雪でした。
近くの川に温泉水が流れ込んでいるらしく、
ものすごい蒸気が立ちのぼり、ライトアップされ、雰囲気をかもし出していました。

川の周辺は温泉街になっているらしく、
夜でも様々な旅館の浴衣を着た観光客で賑わっていました。

20人位でスナックに入り、歌で盛り上がったりしました。
屋台でラーメンを食べ少し酔いをさまし、旅館に戻りました。

部屋はヘアテック3人とコラージュ吉福・磯野の5人でした。
布団の上に四藤君が半裸状態で「死んだイノシシ」の様にくたばっていました。

四藤君を置いて、皆で温泉に浸かりました。

「うおーーっ」、生き返ります。

吉福店長「上田さん、将来はどうするんですか?」

  上田「高知の田舎に帰るワ」
    「子供は田舎で育てたいし」
    「田舎のショボーい散髪屋で年寄りまでやるワ」
    「大阪も好きやけどね・・」
    「吉福君は?」

吉福店長「僕はまだまだ上を見てみたい、」
    「自分でお店持って、たくさんスタッフ雇って稼いで」
    「お店増やして、登りつめたい・・」

  上田「吉福君らしいな、でも簡単にやってしまいそうや(笑)」

ポカポカ気分で部屋に帰ると、みんなで四藤君を起こしました。
大量の寝汗を掻きながらムクッと起き上がりました。

上田「四藤君、風呂入ってこいや!」

藤(復活)「お前な、くさいワ!早く行ってこい!」

吉福「そんだけ汗掻いてたら気持ち悪いやろ」

磯野「混浴やで」(ウソ)

「・・・・・、うー、まだ風呂に人居てましたか?」
四藤君はしぶしぶ風呂に行きました。

朝を迎えました。
「二日酔い」は少し頭がズキズキするくらいで済みました。

吉福君がカーテンを開けました。
天気は快晴で、山には雪がたくさん積っていました。

上田「おーい、みんなもう起きなあかんでー」

みんなしぶしぶと起きはじめ、着替えはじめました。

「うわッ、最悪や・・・何やコレ・・」

浴衣を脱いだ「四藤君」がつぶやきました。

浴衣の下はピチピチのTシャツ(ヘソ見える)、
パンツはルーレットやサイコロの柄のド派手なトランクスでした。

どうやら昨夜、風呂で「他人のパンツ」と履き間違ったようです。

「(大爆笑)」

 藤「(笑)アカン、アカン、お前、これは犯罪や!館内放送でいうぞ!」

上田「(笑)四藤君ホンマはどんなパンツやったん?」

四藤「もうええですワ」

磯野「エエことあるかい!どんなパンツやったか言え!」

四藤「彼女にもらったミッキーのパンツですワ」

 藤「ホナ誰かが仕方なしにブカブカのミッキーパンツ履いてるんや!(笑)」

吉福「早よ返しておいで」

四藤「もうええですワ、最悪や・・」

上田「相手の方が最悪や!言うてるぞ!」

 藤「しっかしそのパンツ、趣味悪いナ!何や!そのルーレット!(笑)」

その日は近所のスキー場に向かいました。
リフトが2基しかない小さなスキー場に到着しました。

僕と四藤君以外は殆どスノーボーダーでした。
僕は8ミリを撮影しながら滑っていました。

レンタルのヤッケでコケながら滑っていた四藤君は、
お尻からルーレットのパンツがハミ出していました。

「パンチ佐藤」(野球選手)にちなみ、『パンツ四藤』と名付けられました。

■61■

ルーレット

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