エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

不入山(四万十川の最初の一滴を探す旅)

2019年10月29日 | 旅行・観光・名所・ショップ

ウルトラマラソンから一週間、例年ほどダメージが大きくないので登山です。

四万十川は全長196kmの大河。

源流点を目指して車を東に走らせます。

四万十市から約2時間、津野町の源流点入口に到着。

駐車場などはなく、路肩駐車スペースに寄せて駐車。

源流点までは約25分(成人男性なら20分)。

ハイキングの20分って、あっという間に到着する感じですね。

入山です。

この赤い苔は確か珍しいはず、・・ですが詳しい知識はありません。(スミマセン)

案内板も新しい感じで、林道もあまり苦労を感じません。

結構簡単に源流点に到着。

ここまでは以前来たことがありますが、今回は本当の「源流点」を求めて不入山(いらずやま)山頂を目指します。

登山ルートも予備知識が少ないですが、まあ行ける所まで・・・といういつもな感じ。

ただね、以前遭難した方が発見されていないとか、幽谷ルートとかいうネーミングが怖かったり、

鬱葱と生い茂る苔が「陽射しの少なさ」を容易に想像できて、気を引き締めての山行です。

ごつごつとした岩場が多くなり踏み跡も少なくなると、木に巻かれた「赤テープ」のみが頼り。

これは普段の山歩きで経験値が多いので何とかなります。

肝心なことは「迷ったまま進まないこと」。

怪しい所は元の場所まで戻って全体を見渡し、さらに下山に備えて上からの景色も目に焼き付ける作業も大事。

本当の源流点まであと30分という看板。

この看板は間違い。おそらく破損して適当に置かれているもの。

山頂登山は後回しにして、源流点らしきところを沢を登って探す。

苔むした岩の隙間からチョロチョロと水の流れる音がする。

だいたいこの辺でいいかな・・という所に到着。

岩肌から湧いて流れる「四万十川の最初の一滴」を飲んで体を清める。

大河の一滴、当たり前だが・・美味しい。

自然の中でこういう水を飲むと、生きている実感がある。

この水は沢となり滝となり、やがて川となり、最後は海に流れ出す。

四万十川の全長は196㎞。

山の上から見ると川沿いに人々が暮らしている様子がよく分かる。

生き物は水が無いと生きてゆけないのだ・・・なんて壮大な気分にもなる(笑)。

さて、ルートまで戻り、不入山を目指す。

斜面は急になり、ウルトラで痛めた脚が悲鳴を上げる。

ロープですか・・ありがたい。

これは・・なかなか・・、根性いるね~

リンドウだと思うが、癒される~

麓から約3時間(ちょっと寄り道あり)、視界が開けてきた。

向かいの山は石灰岩採掘の鳥形山らしい、雪景色かと思ってしまった。

その向こうの山は・・石鎚山かな?スゲー!

不入山山頂に到着。

景色は気持ちがいい~

三角点

祠もあります

周りの樹々は紅葉も始まっているようです。

時間も気になるので早々に下山。

これが、予想外に大変で、ウルトラで痛めた両足の剥がれかけの爪が痛いのなんの・・

麓の沢まで辿り着き、第二の目的でもある「サンショウウオ探し」。

こんなところに居たりして~、っと沢の中の石をめくると・・

おった!いとも簡単におった!

オタマジャクシに似た体で、じーっとして動かない。

慌ててリュックからマグカップを取り出して水ごと捕獲!(素手でさわると弱るらしい)

やった!捕まえた!カメラ!カメラ!

・・っと喜びも束の間、あっさりと這い出して沢にダイブしやがった。

・・・そうか、奴には手足があるんやった。くそ~

それから約1時間、石をめくり続けたが、なかなかいない。

居てもスッと逃げる。

秋といえども渓流の水は冷たくて、ついに諦めた。あ~あ。

また今度探してみるか~。

車に乗り、麓にある有名店「満天の星」に立ち寄る。(http://www.manten-hoshi.jp/index.html

ここで有名なのは「ほうじ茶大福」・・あれ、売り切れ。

抹茶大福と焼き芋大福をゲットして、これが遅くなった昼飯(夕方)。

(女子でないので食べ物を美味しそうに撮影出来ない・・笑)

帰宅後、暗くなった堤防を・・・2kmラン。

ウルトラから一週間後、まだ激しい運動するには早すぎた感じかな・・、思うように走れない。

山の上で飲んだ四万十川の最初の一滴、

私が住む下流域に辿り着くのはいつの日になるのだろうか・・・

な~んて壮大な事を考えながら、ありきたりなビールを飲みました(笑)。

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第25回四万十川ウルトラマラソン~またまた関門アウト記(後)~

2019年10月25日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート



「62kmすぎ」、

カヌー館を出るとゆるやかな上りが続く。

ということは攣りとの闘い。

そしてここにきて炎天下となり、日差しがキツくなってきた。

汗は塩となり、顔をなでると塩の塊がザラザラと手についた。

ロングタイツの上にも塩が浮きはじめ、ここで初めて今回の失敗に気付く。

水分ばかりに意識がいって塩分補給を怠った。

しまった・・、多めの水分は結局体の塩分濃度を薄めるだけで、それだけでは意味がない。

エイドの梅干しや塩を無視し続けた結果、バランスが崩れて攣ったのだろう。

せめてエイドで5km毎に置かれてあるスポドリだけでもちゃんと補給するべきであった。

手に付いた塩を眺めながら思った。

網代地区にある赤橋のたもとのエイド、

ランナーの到着手前で中学生ボランティアが水を手渡ししてくれる。

「ありがとう」

旧道を走り、県道に合流する。

係員に、歩道じゃなくて車道を走るように促される。

これは有り難い、歩道の足元は段差があったりして疲労した脚には危険個所もある。

少しの下りは前モモが焼けるように痛む。

がしかし、この痛みは多くのランナーが共有しているはず。

前モモの痛みだけでは歩いてはいけない。

「68kmすぎ」岩間沈下橋そばに到着。

岩間沈下橋は数年前に橋の橋脚が崩れて通行止めが続いている。

早く復旧して沈下橋の上を渡りたいものだ。

近くのエイドに到着。

「次の関門、ギリギリかもしれませんがイケますよ!」

そうだろう、次の関門は71.5km茅生(かよう)大橋。

私の不調時のリタイア地点で最も多いのがソコ。

もう感覚で十分分かっている。

次の関門は必ずくぐれる、・・がその次がかなり厳しいはず。

「71.5km茅生大橋関門」、残り6分で通過。

「ギリギリやぞー!」

またまた知り合い審判員に冷やかされる。

以前、この地点で残り15分通過でゴールまで辿り着いたことがあるが、これはもう厳しい。

エイドをスルーして小銭を取り出し、自販機で甘いコーヒーを一気飲みした。

諦めずに進む。

キロ8分なら次の関門はくぐれる。

予想どおり、甘いコーヒーの糖分とカフェインが効き始める。

重い脚が軽くなりリズムが出てきはじめた。

歩くランナーを抜き前に進む。

中半(なかば)地区に入る。

中半は長い・・・、同じようなクネクネ道をひたすら進む。

ここまで来てやっと脚の攣りから解放された。

関門まで残り3.5km、

「もう、次の関門厳しそうですよ、頑張って!」

エイドで若い女性ボランティアに告げられてしまった。

「残り4kmであと20分ちょっとです」

・・・しまった、久保川関門は79kmではなくて79.5kmだった。

メンタルがついに折れた。

ダラダラと歩き始めた。長いこと歩いた。

もう走っているランナーは居ない。

ここまで走ると周りにいるランナーの顔触れは変わらない。

前を行く岡山のゼッケンを付けた男性ランナーがしきりに後ろを振り返る。

どうやら連れの女性ランナーが後方に現れないようだ。

そういえばこのランナー、随分前から何回も後ろを振り返り、脚が進まなくなった連れを気にしていた。

走り始め、追い抜きざまに声を掛けてみた。

「お連れさん、かなりしんどそうでしたよ、大丈夫でしょうかね?」

「う~~ん」と唸ったものの、後ろを見たまま止まってしまった。

とにかく走ろう、関門は閉まっただろうが走って終わろう。

そう思うと同時にすべての痛みから一時的に解放された。

何なんだコレ・・

走って関門所に辿り着いた私に、申し訳なさそうに審判員が赤旗を振った。

「もう分かってますよ」と無言ながら口元を横に広げ笑顔を作った。

「79.5km久保川関門アウト」

結果、去年と同じ地点の関門アウトだった。

攣ってからは全く勝負出来なかった・・

これで3年連続のリタイア、私のレースはこれだけなので3年間完走知らずということ。

もうウルトラの100kmは完走出来ないのだろうか・・

列に並んでリタイアバスを待つ。

先に満員となったバスを見送ると他のバスは見当たらなかった。

これは少しここで待つな・・、まあええか。

すぐ後ろから声を掛けられる。

「やっと連れも戻ってきました」

岡山ランナーが笑顔で話しかけてきた。

それからリタイアバスを待つ間はお互いの事を話したりして笑っていた。

しかし、リタイアバスがなかなか来ない。

関門エイドのテントも畳まれると辺りは随分と閑散とした。

ガードレール沿いに一列に並んだリタイアランナー達は次々と地べたに座り始めた。

標準語の女性ランナーがスタッフに声を飛ばし始めた。

「気分が悪くなる方も出てくるから、なるべく早くバスを手配してもらえないですか?」

東京のゼッケンを付けた男性ランナーが畳まれたテントから毛布を取り出し、周りに声を掛け始めた。

「毛布あります、低体温症も怖いので欲しい方は遠慮せずに言ってください」

彼は看護師らしく、具合の悪そうなランナーを見つけてケアしはじめた。

地元消防士ランナー二人組が動き出し、係員と相談して本部への連絡を再三促した。

前方に並んでいた年配の男性ランナーが「ワシは元気だから」と後ろに並び直したりもしていた。

1時間を過ぎると時刻にして5時半、辺りは暗くなり、係員の自家用車でライトを点灯してもらった。

陽はどっぷりと落ち、気温も下がり、体が震えはじめた。

これは明らかに何かのミス、

リタイアしてから2時間後、ようやくバスがきた。

約50人近くの取り残されたリタイアランナー、

皆マナーがよく、結局誰も文句を言わなかった。

それどころか、お互いに助け合い、

最後にバスに乗り込むのを遠慮していたボランティアスタッフにまで手招きで迎え入れた。

地元民として不手際が申し訳なく思うが、ボランティアに苦情を言ってほしくない気持ちはあった。

このボランティア達は希望者は少なく、組織からの要請で会社や団体から集められただけの人材が多い。

それでもボランティア説明会でそれぞれ配置された管轄の説明を受け、

休日に無償で働いてくれているのだ。弁当さえも出ない箇所もあるらしい。

不手際への苦情は大会本部へ申し上げるべきだ。

幸い具合の悪いランナーも大事には至ってはいないようで、最悪の事態は免れた。

バスは無事にゴール地点の中村高校に着いた。

体育館で荷物を受け取り上着だけ着ると、次々と帰ってくるゴールを眺めていた。

ゴール関門14時間、時刻にして7時半が近づいてきたころにマイクアナウンスがセイシの名前を呼んだ。

練習不足を公言していたセイシが7分前にゴールした。

パイプ椅子に座ったセイシに近づき声を掛けた。

「おめでとう!やるやん!さすがやな~!」

肩をバンバンと叩き、精いっぱいの賛辞を送り祝福した。

「君はちゃんと完走しなさい!」

そう返事を返したセイシが続けた。

「いや~途中、もう120回位は止めようと思ったけど、根性だけで走り続けた」

「80km以降は制限時間も気になって壮絶な地獄を見たぞ」

「もう絶対にウルトラやらんわ!」

リタイアランナーは完走者のセリフが心に染みる。

【止めようと思ったけど頑張った】

【頑張ろうと思ったけど止めた】

これが完走とリタイアの境目だ・・・

ごく当たり前の事に打ちのめされている自分の背中越しに花火が上がった。

花火は競技の終了を知らせる。

急いでスマホを取り出し撮影を試みたが、

バッテリー残2%でカメラを立ち上げることさえ出来なかった。

こっちもリタイアかよ・・・ハハハ

次々と夜空に上がる花火はとても綺麗でとても残酷だ。

こんな花火をもう3年連続で見ている。

「セイシ!お前、来年も走れよ!」

「いや、もう絶対にやらん!」

「ハハハ」

このままでは終われない・・

それはリタイアの度に思うが、3年連続のリタイアにしっかり向き合うことも必要だ。

ウルトラに必要なのは「強い体と折れない心」。

もう10回も出ているとそんな事は十分承知している。

花火は連発で大音量とともに夜空に消えた。

まだゴールを目指して走っているランナーがいることは知っているが、

こうして今回も幕を閉じた。

~後編・完~

 

~あとがき~

例年より気温も高く、脚の攣ったランナーが多かったと救護班の知人が言った。

そういえば救急車の出動も多く感じた。

健脚ランナーでも吐いたり体調不良を起こし、ギリギリのランナーが多い大会だった。

それでも今回も多くのボランティアに助けられ、沿道からはたくさんの声援をもらった。

「頑張れ」のその一言が多くのランナーの脚を動かし、

ランナー達はその都度「ありがとう」を口にした。

晴天は暑かったけれども、四万十の青く美しい景色は疲れも癒してくれた。

やっぱり私は四万十川ウルトラマラソンが好きだ。

たとえリタイアが続いていようが、「好きだから出ている」単にそれだけでいいのかもしれない。

ウルトラ後の休日二日目に海に出向き、波打ち際でボーっと癒されながらそう思った。

とりあえず少しラン休んで、好きな事たくさんやって、

それからまたボチボチと走り始めますよ!(^^)/

完走されたランナーのみなさん、おめでとうございます!

残念ながらリタイアされたランナーのみなさん、また頑張りましょう!

長文レポートにお付き合いありがとうございました!

※今回のレポートは特に参考になることも無いように思われますが、マイブログなのでお許しくださいm(__)m

 

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第25回四万十川ウルトラマラソン~またまた関門アウト記(中)~

2019年10月25日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

~中編~

ついに時はきた。

スタートしてすぐは大集団。

それでも自分のペースで走れているのでストレスも無い。

タイマツボランティアの顧客郵便局長に声を掛け手を上げる。

この後、このタイマツ班は片づけた後に再びゴール地点に現れる。

一定の感覚で灯されるタイマツの炎は雰囲気たっぷりに燃え盛る。

やがて「1km過ぎ」、内川地区に入ると足元にはキャンドルが並ぶ。

幻想的なキャンドル。

ひとつひとつ並べる大変な作業を想い、「キャンドルありがとうございます!」と口にするランナーも多い。

・・と、左側に光モノを持った集団を見過ごした・・、アレはキク?

引き返して一緒に写真を撮る。

なるほど、魔女の宅急便とはコスプレ応援だったのか・・・、ありがとう。

 急いでランナーの列に戻り、少しだけペースを速める。

普段のランニングは写真を撮って遊んだりするが、これが結構タイムをロスしている。

キロ7分で行くつもりだったが、速めたペースに乗って6分半を表示し続けた。

キャンドルが切れるとカーブの度にボランティアが自家用車のライトで道を照らしてくれている。

ライトが無い所は、急用で来られなかったか・・・サボり(笑)。

今年はゴール地点の体育館でボランティア予定の長男、サボらなければいいが・・。

やがて道は2車線から1車線となり、つづら折にランナーが列をなす。

「5km手前」にはもう辺りは明るくなり、少し汗も掻いて調子も出る。

「10km」、ペースはキロ6分半、全く問題ない。

メタボなランナー、仮装ランナー、オバチャンランナーとかにどんどんと抜かれるが気にしない。

これから始まる標高600mの峠走、走力の無いランナーはここで振り落とされる。

「13kmすぎ」、少し上りはじめる。

「15kmすぎ」、坂道がキツくなる。

「17kmすぎ」、ヘアピンカーブから一気に山登りに入る。

この急坂は21km地点まで続く。

1ヶ月前に試走した時よりも順調にキロ8分台でしっかりと脚を動かす。

「やあ!」

後ろから現れたのは同級生の仲良しセイシ。

10年ぶりに参加したセイシは、学生時代は野球部キャプテンだった。

昭和の野球部は根性論がまかり通っていた時代ではあるが、練習不足らしく前日までラインで泣き言を綴っていた。

峠の上りを横に並んで走った。

「おう!早くも追いついたか!速いやん!」

「いやいや、どうせ後からお前に抜かれるのは間違いないし・・、じゃお先っ!」

練習不足という割には颯爽と急坂を上り、セイシは前に消えていった。

20km通過、「2時間25分27秒」。想定内で順調。

「21kmすぎ」、頂上エイドが現れる。(写真撮ったつもりがスマホ不調なためありません)

頂上オアシスエイドは給食エイド。

オニギリを頂きしっかりと噛んで食べる。

ほどほどに下りをスタート。

下りの初めは急勾配で、バタバタと足音を鳴らしながら進む。

約9kmにも渡る下り、これが難しい。

流れに乗ってスピードに乗るとその後に脚は残っていない。

かといって自重しすぎるとストップを掛け続けて太もも前が痛みだす。

「25km付近」、早々と13時間ペースランナー達にかわされたが特には気にしない。

毎回この長い下りでGPSの計測が狂う。

健脚ランナーにどんどん抜かれるが、一定のペースを意識しながら走る。

「33kmすぎ」、ついに視界が開け山道が終わる。

太陽が照り付け始める。

四万十川を右手に見ながら黙々と走る。

川向こうは先日訪問した星神社がある。

星に掛けた願いは叶うのだろうか・・

「36km付近」、第一関門手前で応援隊が現れる。

去年一緒に走り、初完走したS君とその奥さん、全力応援でランナーみんなに声を掛け続けている。

「ゴールはココじゃない!!」「頑張れー!」

第一関門通過、あれ?ちょっと遅いぞ・・、自重しすぎたか・・。

関門を過ぎるとエイド。

堂ヶ森を闘ってきたランナー達はこのエイドで休憩することが多い。

仮設トイレが空いていたので利用する。

少しくらい我慢してでも空いてるトイレを利用しなくては大きなタイムロスにつながる。

リフレッシュして再スタート。

橋の向こうにランナーの列が見える。

頑張ればまだまだ完走モード、少し疲れてきたものの脚は動く。

橋を渡って車道に出る。

トンネルまでの緩やかな上りがキツい。

・・と、その時、突然右足ふくらはぎが固まり始める。

去年、一昨年と肉離れに悩まされた右足のふくらはぎ上部、

不安な気持ちはすぐに体に表れて、ついにふくらはぎが攣った。

40km走の練習でも攣らない脚がこんなに簡単に攣るものなのか・・、

暑さのせい?いや、もっと暑い中を走り込んできた。

とりあえず攣ったまま走る。

走りながらほぐれる事もあるのは以前のレースで経験済。

こんなところで止まってなるものか・・

案の定、ほぐれてきて、ちゃんと走れるようになった。

トンネルをくぐると少し下る。

・・と、ここでまた右足ふくらはぎが攣った。

それでも走っていると、無情にも左足ふくらはぎも攣って、一歩も動けなくなった。

これは・・数年前にも経験しているぞ・・、ヤバい、ここからはきっと「攣りとの闘い」が始まる。

少しして、まるで金縛りが解けるように動けるようになる。

また走り出す。

小野大橋を渡り返すと、エイド。

もう陽射しもキツくなり、頭から水をかぶる。

ふくらはぎ、太ももにも掛け水で冷やす。

キャップのツバを後ろにして首元をカバーする。

これだけでかなり凌げる。

元々暑さには強いほうで、周りを走るランナーのような滝汗にはならない。

40km通過、ヤバい、5時間を少し越した。

気持ちを落ち着けて立ち止まり、ストレッチに専念してゆっくりと脚を伸ばす。

大丈夫、20km毎を3時間越えなけば何とかなる。

まだまだ勝負できる・・

「42.195km地点」、5時間28分。

フルマラソンならこのタイムなのか・・、10年前よりも1時間も遅い・・。

山際は日影が多くて暑さは気にならない。

走る、攣る、伸ばす、を繰り返し始めた。

キロ9分が表示され続けて焦る。

14時間ペースランナーに捕まる。

まだ大丈夫、この人達は後半にペースを緩め、さらに少し早めにゴール地点につく。

このペースランナー達はキロ7分半あたりで走っている感じで、すぐには前に消えない。

「50kmすぎ」、左手に鉄道高架のコンクリートの壁のそば、毎回ここで復活する。

沈下橋に向かう緩やかな下りは脚に優しくて調子が出る。

この3kmは全く攣らなかった。

「53kmすぎ」、半家(はげ)の沈下橋に到着。

すでに14時間ペースランナーが渡っている。

エイドの給水を短めにすぐスタートする。

沈下橋の上にはランナーが少ないように感じる。

これはマズいぞ・・。

半家の沈下橋を往復した後は「半家の峠」。

この峠は短い割には傾斜がキツく、ほぼ皆が歩いて上る。

正直、この脚では歩いてもキツい・・。

激しい上りの後は激しい下り、

ここで太もも前が焼けるように痛みはじめた。

ふくらはぎの攣りをカバーしすぎたせいか、今度は太もも前の痛みとの闘いとなった。

激しい痛みで下りきると第二関門。

「あら~、あら~、時間そんなにないよ~!ヤバいんじゃない?」

いつものように知り合いボランティアのキンちゃんに冷やかされる。

「いやいや、大丈夫、大丈夫、何を言っているのやら!」

強がってみせるが、もう脚はいろんなものと闘っている。

55km、56km、57km、もう1km1kmが長く感じる。

少しの上りで脚が攣り、少しの下りで前太モモに激痛が走る。

「苦しい・・」

しかし、この苦しさは動き続けることで緩和されたりする。

走り続けると好不調の波を繰り返す。

ダメな時はやがて来る復活を信じて走る。

そんな気持ちで進んでいたが、攣るとやはり「伸ばす作業」が入りタイムをロスする。

「62kmあたり」、やっとレストステーションに到着。

関門時間の残りは約30分。

ここでは残り一時間が最低条件、かなり遅れた。

・・・というか、去年と同じじゃないか・・ダメだ、去年は右足の軽い肉離れを引きずりながらのレース、

去年のほうが状態が酷かったはず・・。

荷物を受け取り、急いでカフェイン入りのエナジードリンクを飲む。

すぐに荷物を預け、オニギリと味噌汁をとって早めに出発する。

急いでレストステーションカヌー館を出発した。

まだ諦めるには早い・・・

~後編へつづく~ 

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第25回四万十川ウルトラマラソン~またまた関門アウト記(前)~

2019年10月25日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

~前編~

今年も参加した第25回四万十川ウルトラマラソン100kmの部、

結果から申し上げますと、関門アウトでした。

連年のリタイアレポートなど多くのランナーさんにとって必要ないかと思われますが、

私のこの年に一度の「ウルトラ挑戦記」を面白おかしく読んでくださる方も結構いるようなので、

頑張ってやってみます(笑)。

それでは、恒例の大会前日からです・・・

 

【前日】
私にとって唯一である年一回の参加レース、四万十川ウルトラマラソン。

今年もやってきました。

トレーニング期間は約7ヶ月。

冬の間にブクブクと太った体を食事制限とランニング有酸素運動で10kgも絞った。

月間走行距離は多い月でも250km程度。(大会前2ヶ月は37km走×3、42km走×1のロングなども)

今年は雨も多く、また連年の故障もあり、かなり気を付けながらやってきた。

そのおかげで今年は大会前日、「脚の痛い所は全く無し」という近年では記憶に無い位に良い状態だった。

私の仕事は商売人で、みなさんがお休みの土・日が忙しい接客業。

大会前日の土曜日は有り難いことに朝から夕まで予約で埋まっていた。

ただし「立ち仕事」なので、終日の立ちっぱなしは翌日のウルトラに影響しないかが心配の種ではあった。

「何か今年は調子が良さそうやね~、頑張って!」

お客様、知り合いなどからもたくさんのエールを頂いた。

お昼過ぎ、約30分だけ空いた時間を利用して、受付会場の安並体育館に車で向かった。

道中、会場へ近づくにつれて周りの車は県外ナンバーの車や大型バスが多くなり、

普段とは違う景色に遭遇して一気に「ウルトラモード」のスイッチが入った。

受付会場は今年も安並体育館。

会場内は土足で入られるように青いビニールシートが敷かれていて、これもウルトラ時ならではの光景。

急いで受付を済まし、少しだけ辺りをウロウロする。

去年貰い損ねた石、地元の中学生達がそれぞれの想いを込めてペイントしている。

お持ち帰り自由、どれか頂くとしよう~

今年の石はコレ、夕暮れの四万十川が描かれている。

この景色が見られる時間まで頑張れるといいな~

これはゼッケンに貼り付けられるステッカー、ランナー同志のコミュニケーションツールらしい。

「オレについてこい」「集中してます」「のんびりマイペース」「不安」「ビギナーです」というシール。
私はいつもの如く「のんびりマイペース」を選択。

ここ数年、四万十市が推している柑橘系果実「ぶしゅかん」。

そのイメージキャラクター「ブシュマロ」が現れたので記念撮影。

このブシュマロは私の顧客でもあるのです。(え?中の人?そんなのいませんよ~・笑)

コンビニオニギリを立ち食いして大急ぎでお店に帰る。

夕方5時過ぎ、そこからの予約をお断りして(常連さんは事情を分かってもらえる)営業終了。

翌日の臨時休業の張り紙をして、トイレ掃除(当日トイレトラブルないように)、

仏壇に線香(レースを空から見守ってもらう)、そしてバタバタと準備に取り掛かる。

ただでさえ「食べ物が少ない」という評判の前夜祭は地元民として敢えて行かない。

振舞われる郷土料理は一人でも多くの県外ランナーに食べてほしい。

受付でもらった袋の中身はこんな感じ。

あ、記念Tシャツが写ってない・・、スミマセン。

嫁が長期出張のような形で家を出てるので、すべての料理は自分。

晩飯は豚ロースをソテーしてトマトを添えた簡単なものにした。

あ~やっと座れた・・。

シャワー後にソファーに座り、ゆったりとパンフを眺めたりする。

少し酒をあおって眠気を誘い、

家族で唯一自宅にいる長男に「絶対に起こすなよ~~物音立てるなよ~~」と9時前に床につく。

きれいに眠りについた頃、嫁の電話で起こされる(笑)。

一度眠り損ねるとなかなか熟睡までに至れない。

しかし疲れたな~、こんなにバテてて明日は大丈夫だろうか・・

寝苦しいのは緊張や疲れもあるが、暑さ。

今年は暑い、枕元の時計に温度計も表示されているが室温は27℃だった。

10月中旬の気温としては異常だ。

とにかく目を閉じて心を鎮める。

 

【当日】

一体どれくらい寝られたのか、もうどうでもいい。

準備にとりかかる。

朝食、テーピング、ワセリン塗り、洗顔、ストレッチ、排便、

排便は案外大事な作業、レース中なら時間のロスが大きい。

このために2週間前からヨーグルトを取り続け腸内環境を整えてきた。

着替えてからしばし心を静める。

スマホのライン着信が鳴る。

「心の準備が出来たら下りてきてください、下にいます」

カーテンを開けると下に嫁が手配してくれた白いキクカーが停まっていた。

嫁の同僚キクちゃん、キクはウルトラ応援好きでスタート地点に向かうのでそれに便乗して送ってもらう。

途中、これまた嫁の同僚マユを拾って、車の中は小さな子供達とともに満席となった。

「あの~、スタート地点から約2㎞くらいのところ左側にいますんで見つけてくださいね~」

「あの~、光モノ持って走ってもらってもいいですか~?」

来たっ!キクの光モノ攻撃!・・・キクカーに乗るということはコレを覚悟しなくては・・・

「これですが・・」

渡されたものはただの蛍光スティックだった。

ハハハ、喜んで!持って走りますよ~!(助かった、光るミッキーの耳やったら・・まで想像した・・)

「あの~、今回のテーマは魔女の宅急便なんです」

「え?何それ?」

「楽しみにしておいてください~」

そう言って手を伸ばしたキクはエアコンのボタンを押した。

そう、今日は暑い、例年はこの早朝は寒いのに・・、やはり異常だ。

予想最高気温は27℃、今日はおそらく暑さとの闘い。

キクカーは会場近くの渋滞につかまり、そこで降ろしてもらって歩く。「では、頑張ってきます!ありがとう~!」

橋のたもとには巡回バスが次々と到着してランナーが列をなす。


橋の向こう、ライトが明るい蕨岡中学校がスタート会場。

一条太鼓の太鼓の音が「ドンドン」と低音を響かせランナー達の闘志を呼び起こす。

タイマツの炎はその闘志に火を灯す。

空に向かって息を吐いたが白くならない。

空は少し雲がかかり星も見えない。

どうせなら曇りのままでいてほしい気持ちもあるが、多少暑くても四万十川は晴天のほうがいい。

スタート会場はもうたくさんのランナーで賑わっている。

蕨岡中学校、この学校は過疎による少子化で数年後には廃校になる。

ランニングブームにより全国で増え続けるマラソン大会。

地域の観光起爆剤として生まれる大会も多い、

その一方で廃止される大会も残念ながら少なくない。

廃止に追い込まれる理由で多いのが「ボランティアの高齢化」。

これはこの四万十ウルトラにも当てはまる。

再三にわたるボランティア要請が謳われ、ついにはお隣愛媛県にまで声を掛けていた。

シートを広げて腰を下ろし、少しの間足を伸ばす。

開会式、仮設トイレに並ぶランナーの列、やけにはしゃいでいるランナーグループ、

目に映る日常とかけ離れた景色を楽しむ。

荷物をまとめてスタッフに預け、スタート地点に並ぶ。

いつもそうだが、ここまでくると全く緊張しない。

号砲とともにスタートする。

キクから渡された光るスティックを上に振りながらスタートゲートをくぐる。

ゲート周辺は暗闇が嘘のように明るいライトで照らされ、

多くの声援とともに約1500人のランナーが道いっぱいに動き出す。

こうして、ついにスタートした。

~中編へつづく~

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失意の関門アウト

2019年10月20日 | 四万十川ウルトラマラソン関連

取り急ぎご報告まで、

中盤から突如脚が攣りまくって(両足)、結果79.5km関門アウトでした。

以前のウルトラでも同じようなことが起こりましたが、今回は「攣り」以外は走れていたので・・「失意」なのです。

理由がその都度その都度と異なりますが、これで3年連続のリタイアとなりました。

今回は「完走モード」だっただけに、こりゃ~しばらく落ち込むな・・・、がっかり。

日記は・・・少しして元気が出たら書きますワ。(泣)

コメント (2)
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