エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

第30回四万十川ウルトラマラソン ~70kmDNF・前編~

2024年11月09日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

100kmマラソンは今回が最後、そう公言して挑んだ大会でしたが残念ながら完走はできませんでした。

私的なブログの出走記になりますが、記録に残しておこうと思います。

(注・長くなります)

【前日】

仕事の合間を見計らい、高知市内から到着したランナーのS君に連絡をとって一緒に受付会場に向かう。

臨時駐車場はいつものように県外ナンバーが多く、少しだけ気分が高揚する。

受付会場は安並体育館。

入口の事務局近くに見慣れない写真の数々が・・

これは大会ボランティアの配置を示してしるもの。

「照明班」は街灯の無い山道を自家用車のライトで照らすボランティア。

当日はまだ暗い早朝4時台から出動してそれぞれの位置で道を照らし、

陽が落ちて暗くなる90km以降も同様にランナーのために足元を照らして応援までしてくれます。

自営業の私の店の顧客で70代の方が朝に晩にと2回にわたり出動するようです。

「90km以降は真っ暗でランナーの間隔もまばら、疲れ果てて歩くランナーに【頑張れ】言うても返事もかえってこん」

「あれは落ち鮎のようなもんじゃ(笑)」

「落ち鮎」、四万十川では12月、産卵を終えて力尽きた鮎の「落ち鮎漁」がある。

おじさんの冗談ではないが、90kmあたりに辿り着けるのであれば「落ち鮎ランナー」にでもなりたいものだ。

受付会場の体育館内は広々としていて閑散としている。

ランナーが集まるこのブース、地元の学生たちが描いた作品で記念品としてお持ち帰り自由。

例年は河原の石にペイントされたものだったが、今回は四万十ヒノキに変わっていた。

私が持ち帰るのはコレ、練習風景に見覚えがありよく描けている。

ゼッケンに貼るシール。

コミュニケーションツールでもあるらしい。

応援FAXも少なくなった、これも時代の移り変わりの一つ。

帰宅後、再び仕事に戻るが、午後3時には早めに営業を終了した。

嫁から「仕事の帰りが遅くなる」と連絡があったので晩飯はトンテキを作って食べた。

ビタミンB1が何かに良かったような・・・、もう忘れたが前日は豚肉と決めている。

少しだけ酒をあおり、ゆったりとした時間を過ごす。

受付で渡された荷物のなかに同封されていた応援メッセージが嬉しい。

以前は中学の名前と個人名まで記載されていて身近に感じたものだが、

個人情報には気を遣わねばならないご時世なので仕方がない。

嫁は今年も応援隊。何やら準備中の様子だが一足お先に就寝する。


【当日】

緊張感からかほとんど寝られなかった。地元民で自分の布団で寝られるのに情けないものだ。

朝4時半、嫁の車で出発する。


途中、同じく応援隊の嫁の同僚キクちゃんを拾う。

キク「今日はすごく暑くなりそうですね~、雲が出るといいですけどね~、でも私【超絶晴れ女】なんですよね~」

キクのシュールなトークはさておき、予報では最高気温は26℃、暑さとの闘いは間違いない。

会場付近で降ろしてもらう。


「じゃあね」、キクの仮装応援の内容は後でのお楽しみらしい。

橋の向こうはスタート会場の蕨岡中学校(廃校)。

松明。いつもはこの炎が暖かく感じるが今年はやはり気温が高い。

横断幕。

会場へ向かう足元は暗いが見えないほどではない。

去年はオシャレなトーチが設置されたが、一部のランナーから「当たると危ない」とクレームが来たようで撤去になっていた。

一條太鼓の演奏も地元の一部の住人から「うるさい」とクレームがありスタート直前になったらしい。

ご時世とはいえ、一部の人の大きな声に弱い時代になったことを痛感する。

スタート会場は明るくて賑やか。

前日の雨で足元がぬかるんでいるが気になるほどではない。

今年のチーム飛脚100kmの部参加者は4人。

監督の私、宴会部長アベ、顧客M君、椅子職人S君。

同級生セイシはエントリーミスが3日前に発覚して今回は応援隊(笑)。

顧客を見つけて記念撮影。

スタート地点に向かう途中の一条太鼓、響くリズムは闘争心を掻き立てる。

スタート地点、いつものように前の方。

まもなく出発、「頑張ろうー!!」「おーーっ!!」

スタート!

「いってらっしゃ~い!!」の声に囲まれながらゲートをくぐる。

ん?ゲストランナー?(SUIさんという方・60kmの部に出場らしい)

しばらくはバタバタというランナーの足音がこだまする。

暗闇に灯る松明が幻想的だ。

キロ6分半を意識して走る。

抜かれ続かるということは随分前に並んだせいでもある。

1km、2km、調子はイマイチというところか・・、普段の早朝ジョギングでも日によって調子は様々、

調子の波は必ず繰り返すものだ、・・・気にしない。

あれ?内川地区に入ったが足元にキャンドルが見当たらない。

夜の飛行機の滑走路のように暗闇を灯す道標だったキャンドルの風景、

見落としたか?いや去年も無かったような・・、残念だ。

去年、次の30回で大会は終わりらしいと噂になった今大会、

色んなことが縮小傾向で少し切なくも感じる。

3km付近、突然現れた応援隊、今年はミニオンだった。(キク・嫁・マユ)

5km付近、空が明るくなりランナーの列は縦長になる。

仮設トイレは何処も長い列をなしていてスルーする。

職業柄、忙しい日はトイレもいけなかったりと尿意はある程度コントロールが出来る。

しかし、それが腎臓の数値が悪い証でもある。

10km地点、しっかりと6分半を刻んでいる。

疲れもなく、調子に乗ってきた。

山道が続き民家は少ない。

過疎地域だが、この日のために数週間前から地元の人達が総出で草刈をしていたことを知っている。

普段は交通量もなく人けのない山道、木の枝が散乱し草は伸びきり、日陰は苔むしている。

今こうして整備された道を走らせてもらっているだけでも有難くて感謝の気持ちになるものだ。

徐々に上り勾配になってきたが、2回の試走で感覚は分かっている。

「お久しぶりです」

後ろから現れてきた知り合いランナーに声を掛けられる。

「私は今回で100は最後ですわ」「僕もですよ」

同世代ランナー、四万十ウルトラでしか会わないが戦友のようで会話もはずむ。

加齢による夏場の練習のしんどさ、モチベーションの衰え、同じことを口にしながら笑う。

前方にこれから上る堂ヶ森の山が見えてきた。

標高600mを越える序盤の難関に向かう。

13km辺りから坂道に、15km付近からは峠走となり上りは6kmもつづく。

ここは何とか8分台でいきたいところだが、時計は9分を超える。

歩くランナーも現れるが、私はここは歩かない。

堂ヶ森はキツイ名所として走って楽しむ。

まして今回は最後と公言して走っている。

絶対に歩いてたまるものか・・。

とはいえ、何回走っても堂ヶ森はキツい。

幾度となくくじけそうになる。

前を走るランナーの背中に勇気をもらい、下を向いた足元の自分の脚を信じてひた進む。

カーブを曲がるたびにエイドがまだかまだかと絶望する。

そうやって辿り着いた19km付近の給食エイド。

おにぎりを口にする。

食べたものをエネルギーに変える、単純だが生き物はそういうふうに出来ている。

再出発、まだ2kmの峠走だ。

【20km】2時間33分17

想定内で順調だが試走時よりも頑張っている感がある。大丈夫だろうか・・。

21.5kmついに頂上。

下りは9km、6分台で下る。

22km地点の給水所から5km区間給水が出来ないのは去年から変更になった点。

ボランティア不足からの苦肉の策なのだろうと想像するが、この地点の給水は欲しい。

峠の下りが終わるあたりの30kmすぎ、シューズの中に小石が入り込み気になる。

そのままでもいけるが、長い道のり、不安要素は取り除いておこう。

身体を折り曲げ、シューズの紐に手をのばし、シューズのつま先を上げた瞬間、

カキンとふくらはぎがロックした。

痛い!攣った!

何だこれ、裏モモ、腕、首、いろんなところが攣り気味で何とか耐える。

カチカチにロックしたふくらはぎは少し伸ばしたところですぐにまたロックする。

焦る、ガードレールに両手をつけて目いっぱいふくらはぎを伸ばす。

長距離練習では攣らない脚が本番で攣る、それは過去のウルトラでも経験済。

こうなるとこの先は想像がつく、しばらくの間はこの攣りとの闘いとなる。

さらに、そのしばらく先では再び攣らなくなるはずだが、

これはもう途中の関門との勝負なレースだ。

ここまで想定内なランだっただけに・・・、いや、やはり練習不足なのだろう。

過去一番練習出来てない今回、練習内容がきっちりと本番に現れただけの話だ。

走っては攣ってを繰り返しはじめた、地獄だ。

次々と抜かれてメンタルも揺るぎ始める。

いやまだ14時間のぺーサーも現れていない、諦めるには早すぎる。

【第一関門昭和大橋】

遅い。去年と変わりないが、今回は攣る脚を抱えている分焦りがある。

昭和大橋は応援ポイント。

四万十川にかかる橋は賑やかだが、太陽は高くて暑さとの闘いを思い出した。

【後編へつづく】


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