~前編~
今年も参加した第25回四万十川ウルトラマラソン100kmの部、
結果から申し上げますと、関門アウトでした。
連年のリタイアレポートなど多くのランナーさんにとって必要ないかと思われますが、
私のこの年に一度の「ウルトラ挑戦記」を面白おかしく読んでくださる方も結構いるようなので、
頑張ってやってみます(笑)。
それでは、恒例の大会前日からです・・・
【前日】
私にとって唯一である年一回の参加レース、四万十川ウルトラマラソン。
今年もやってきました。
トレーニング期間は約7ヶ月。
冬の間にブクブクと太った体を食事制限とランニング有酸素運動で10kgも絞った。
月間走行距離は多い月でも250km程度。(大会前2ヶ月は37km走×3、42km走×1のロングなども)
今年は雨も多く、また連年の故障もあり、かなり気を付けながらやってきた。
そのおかげで今年は大会前日、「脚の痛い所は全く無し」という近年では記憶に無い位に良い状態だった。
私の仕事は商売人で、みなさんがお休みの土・日が忙しい接客業。
大会前日の土曜日は有り難いことに朝から夕まで予約で埋まっていた。
ただし「立ち仕事」なので、終日の立ちっぱなしは翌日のウルトラに影響しないかが心配の種ではあった。
「何か今年は調子が良さそうやね~、頑張って!」
お客様、知り合いなどからもたくさんのエールを頂いた。
お昼過ぎ、約30分だけ空いた時間を利用して、受付会場の安並体育館に車で向かった。
道中、会場へ近づくにつれて周りの車は県外ナンバーの車や大型バスが多くなり、
普段とは違う景色に遭遇して一気に「ウルトラモード」のスイッチが入った。
受付会場は今年も安並体育館。
会場内は土足で入られるように青いビニールシートが敷かれていて、これもウルトラ時ならではの光景。
急いで受付を済まし、少しだけ辺りをウロウロする。
去年貰い損ねた石、地元の中学生達がそれぞれの想いを込めてペイントしている。
お持ち帰り自由、どれか頂くとしよう~
今年の石はコレ、夕暮れの四万十川が描かれている。
この景色が見られる時間まで頑張れるといいな~
これはゼッケンに貼り付けられるステッカー、ランナー同志のコミュニケーションツールらしい。
「オレについてこい」「集中してます」「のんびりマイペース」「不安」「ビギナーです」というシール。
私はいつもの如く「のんびりマイペース」を選択。
ここ数年、四万十市が推している柑橘系果実「ぶしゅかん」。
そのイメージキャラクター「ブシュマロ」が現れたので記念撮影。
このブシュマロは私の顧客でもあるのです。(え?中の人?そんなのいませんよ~・笑)
コンビニオニギリを立ち食いして大急ぎでお店に帰る。
夕方5時過ぎ、そこからの予約をお断りして(常連さんは事情を分かってもらえる)営業終了。
翌日の臨時休業の張り紙をして、トイレ掃除(当日トイレトラブルないように)、
仏壇に線香(レースを空から見守ってもらう)、そしてバタバタと準備に取り掛かる。
ただでさえ「食べ物が少ない」という評判の前夜祭は地元民として敢えて行かない。
振舞われる郷土料理は一人でも多くの県外ランナーに食べてほしい。
受付でもらった袋の中身はこんな感じ。
あ、記念Tシャツが写ってない・・、スミマセン。
嫁が長期出張のような形で家を出てるので、すべての料理は自分。
晩飯は豚ロースをソテーしてトマトを添えた簡単なものにした。
あ~やっと座れた・・。
シャワー後にソファーに座り、ゆったりとパンフを眺めたりする。
少し酒をあおって眠気を誘い、
家族で唯一自宅にいる長男に「絶対に起こすなよ~~物音立てるなよ~~」と9時前に床につく。
きれいに眠りについた頃、嫁の電話で起こされる(笑)。
一度眠り損ねるとなかなか熟睡までに至れない。
しかし疲れたな~、こんなにバテてて明日は大丈夫だろうか・・
寝苦しいのは緊張や疲れもあるが、暑さ。
今年は暑い、枕元の時計に温度計も表示されているが室温は27℃だった。
10月中旬の気温としては異常だ。
とにかく目を閉じて心を鎮める。
【当日】
一体どれくらい寝られたのか、もうどうでもいい。
準備にとりかかる。
朝食、テーピング、ワセリン塗り、洗顔、ストレッチ、排便、
排便は案外大事な作業、レース中なら時間のロスが大きい。
このために2週間前からヨーグルトを取り続け腸内環境を整えてきた。
着替えてからしばし心を静める。
スマホのライン着信が鳴る。
「心の準備が出来たら下りてきてください、下にいます」
カーテンを開けると下に嫁が手配してくれた白いキクカーが停まっていた。
嫁の同僚キクちゃん、キクはウルトラ応援好きでスタート地点に向かうのでそれに便乗して送ってもらう。
途中、これまた嫁の同僚マユを拾って、車の中は小さな子供達とともに満席となった。
「あの~、スタート地点から約2㎞くらいのところ左側にいますんで見つけてくださいね~」
「あの~、光モノ持って走ってもらってもいいですか~?」
来たっ!キクの光モノ攻撃!・・・キクカーに乗るということはコレを覚悟しなくては・・・
「これですが・・」
渡されたものはただの蛍光スティックだった。
ハハハ、喜んで!持って走りますよ~!(助かった、光るミッキーの耳やったら・・まで想像した・・)
「あの~、今回のテーマは魔女の宅急便なんです」
「え?何それ?」
「楽しみにしておいてください~」
そう言って手を伸ばしたキクはエアコンのボタンを押した。
そう、今日は暑い、例年はこの早朝は寒いのに・・、やはり異常だ。
予想最高気温は27℃、今日はおそらく暑さとの闘い。
キクカーは会場近くの渋滞につかまり、そこで降ろしてもらって歩く。「では、頑張ってきます!ありがとう~!」
橋のたもとには巡回バスが次々と到着してランナーが列をなす。
橋の向こう、ライトが明るい蕨岡中学校がスタート会場。
一条太鼓の太鼓の音が「ドンドン」と低音を響かせランナー達の闘志を呼び起こす。
タイマツの炎はその闘志に火を灯す。
空に向かって息を吐いたが白くならない。
空は少し雲がかかり星も見えない。
どうせなら曇りのままでいてほしい気持ちもあるが、多少暑くても四万十川は晴天のほうがいい。
スタート会場はもうたくさんのランナーで賑わっている。
蕨岡中学校、この学校は過疎による少子化で数年後には廃校になる。
ランニングブームにより全国で増え続けるマラソン大会。
地域の観光起爆剤として生まれる大会も多い、
その一方で廃止される大会も残念ながら少なくない。
廃止に追い込まれる理由で多いのが「ボランティアの高齢化」。
これはこの四万十ウルトラにも当てはまる。
再三にわたるボランティア要請が謳われ、ついにはお隣愛媛県にまで声を掛けていた。
シートを広げて腰を下ろし、少しの間足を伸ばす。
開会式、仮設トイレに並ぶランナーの列、やけにはしゃいでいるランナーグループ、
目に映る日常とかけ離れた景色を楽しむ。
荷物をまとめてスタッフに預け、スタート地点に並ぶ。
いつもそうだが、ここまでくると全く緊張しない。
号砲とともにスタートする。
キクから渡された光るスティックを上に振りながらスタートゲートをくぐる。
ゲート周辺は暗闇が嘘のように明るいライトで照らされ、
多くの声援とともに約1500人のランナーが道いっぱいに動き出す。
こうして、ついにスタートした。
~中編へつづく~
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