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野火

野火 (新潮文庫)
大岡 昇平
新潮社

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終戦の日の今日、巷ではどの議員サンが靖国参拝をしたとか、いつものよう
に騒いでましたが、いつもの人がいつものコメントを発しているのを聞くと
とっても片腹痛く、これが今の日本なんだなぁと、つくずく思った次第です。




今まで40数年生きてきて、たくさんとは言わないまでも、結構な数の本を
読んできて、そのあらすじの細かい部分まで覚えている本は、そんなには無
い。

その数少ないうちの一冊が「野火」(大岡昇平著)。

戦争を題材にした内容で、その描写は凄まじい。




この本を読んだのは30年も前になる。

高校の夏休みの宿題の読書感想文に選んだものだ。



読んで30年にもなるのに、残った印象は強烈で、その中でも、ある兵士が
空腹に耐え切れず、死んだ同僚兵の遺体を食べてしまう場面は忘れられない。


人が人肉を食べなければならない現実の世界、「戦争を知らない子供たち」
の一人の自分にとって、その後の30年の戦争感に大きな影響を与えた。




オリンピックと同時に起きるテロ行為や、それに合わせるかのような紛争、
今、目の前にも戦いの現実が存在する。


そして日本では戦後63年、今年も追悼式が行われる。





病気の為に生死を彷徨い、家族を巻き込んでの闘病生活、そんな「一人の
命」をめぐる壮絶な闘いを繰り広げている人達がたくさんいる。

そこにあるのはたった一人の「貴重な命」だ。

それが戦争では一瞬のうちに多くの命が奪われるのだ。


同じ価値であるはずの「命」の重さがあまりに軽んじられているようだ。




これまでの自分の闘病生活を振り返った上で、TVで流れるテロや紛争で
犠牲になる人達の映像を見る時、それはあまりにも悲しく虚しい。
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