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北海道移植フォーラム

今回で13回目になる「北海道移植フォーラム」に出席してきた。


本来、医療関係者向けの催しでもあり、今回が初めての参加。

今日の新聞に一般向け案内が出ていたが、多分これだけでは参加していなか
ったと思う。


先日、北大病院の古川先生から直々に電話を貰い(外出中で話せなかったが)
その内容がフォーラムへの参加で、臓器提供の話題が多く、一般の人にも理
解出来る内容という事で広く呼び掛けたようだ。



臓器移植法に関わる話題で盛り上がる今般、新たに得るものがあって出席し
て良かったと思う。




15時からの一般者観覧のパネルディスカッションでは、ドイツで心臓移植
に長年携わる南先生、アメリカでの腎臓移植の権威、岩城先生、前任の米国
ロマリンダ大学で日本からの渡航移植にも携わった松田女医、そして市立札
幌病院救急救命センターの医師で救命率が高く、しかも脳死臓器提供にも高
い結果を残す鹿野先生、と錚々たる医師の話しを聞く事が出来た。



今までも何となく得ていた情報であっても、改めて、今、直に最前線の現場
で活躍されている人の話しなのでとても内容が深かった。

その中でも特に印象に残ったものをいくつかご紹介します。





・「イスタンブール宣言(※)に於いては、渡航移植が完全に禁止されたわ
 けではないので、必ずしも海外での移植が出来なくなったわけではない」、
 と発言する政治家がいるが、現場に於いては実際は不可能に近い。

・脳死とは脳の機能が「完全」に停止していて再生不能の状態のことで、一
 部機能が残っている植物状態とは違い、そこを取り違えている人が多い。

・若い世代(20代、30代)ほど、臓器提供意思が高く、しかもドナーカ
 ード保有率も高い。

・脳死臓器移植先進国のアメリカでも、臓器不足が深刻であること。



他にも、ある種過激な意見もみられましたが、差し障りがあっては困るので。

ただ、どれも「脳死」と「移植」の本質に向き合い、一人でも多くの命を救
いたいという気持ちで溢れ、傲慢さも強引さも、自己中心的な考えも、そん
なものは微塵も感じられなかった。





おそらくこれが違う団体のフォーラムになれば全く逆の論調になるのだろう
が、今日聞いてきた話しは医療の現場で実際に直面していることばかり。


政治家のセンセイ達はもっと現場の話しに耳を傾けて欲しいと思う。



そして、実際に移植で命を救われた自分たちには今、何が出来るのか、再度
考えさせられた。





・・・
充実した会だったのに、心残りが一つ、

終わり頃から腹が痛くなり、終了とともにトイレへ直行した為、先生やコー
ディネーターさんに、帰りの挨拶が出来なかった。スミマせん。







(※)イスタンブール宣言の骨子

1.Organ trafficking(臓器売買)、Transplant tourism(移植ツーリズム)
  Transplant commercialism(移植臓器の商業化)等の内容を明確して、
  人道的、社会的、国際的に問題があるものに対し世界的に反対すること。

2.死体(脳死、心停止)ドナーを自国で増やし、自国での臓器移植を増や
  すよう呼びかけること。そのために国際的協力をすること。

3.生体ドナーは、ドナー保護を最優先し、選定や移植に関わる総合的な保
  障等の制度を国家的に取り組むよう呼びかけること。
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