筋肉痛の脚を引きずりながら、髪を切りに行って来ました。
UR表参道店のFさんとは、もうじき10年になろうかという長い付合いです。初めの頃はヘアカタログなどを見ながら、「ここはこんなんでどう?」とか「こうしてみたほうがいいんじゃない?」とか、ああだこうだと意思の疎通を繰り返しながらカットしてくれていました。でも今ではそんなことをいちいち説明する必要もなく、「春だねえ」とか「仕事はどう」とか「連休はどこにも行かないの」とか「久しぶりのフル出場で筋肉痛だよ」とか、そんなくだらない話をしているとカットは終わっています。そして今までに1度だって気に入らなかったことはありません。
青山という場所柄なのか、お客もスタッフも若者ばかりです。そんな中で30代半ばのおじさんは、明らかに浮いた存在であることは言うまでもありません。Fさんは私より2つ年上なので、まあ同世代ということになります。この「同世代」というのは結構重要なキーワードで、「同世代だからわかる」というようなこともあります。そういうわけで、くだらない話に混じってたまに「ウウム」という話もしたりします。
「建築」と「美容」という一見まったく異なる業種ではあるけれど、意外と共通点は多いものです。どちらも技術を必要とすること、お客と向き合うこと、そしてデザインという分野にも属することなどです。Fさんの仕事ぶりを見ていると実に勉強になるというか、お手本になるというか、とても良い刺激を受けることができます。店長などの目上の人への接し方、スタッフへの指示の出し方、お客に対する心遣いなど、自分の仕事でも同じ場面が多々あるからです。「なるほどこういう対応をするんだね」ということをこっそり盗み見ていたりします。
若いスタッフに聞くと、一人前のスタイリストとしてお客を取れるようになるまでには、シャンプーの練習から始まって、それなりに大変な下積みが必要みたいです。それはそうでしょうね。「Fさんはどれくらいでスタイリストになれたの?」「2年くらいかなあ」「それって早いんじゃない?」「まあ早い方かもねえ」「すっごく努力したんですねえ」「まあ普通だよ」「はあ、普通ですか」「そう普通」。
Fさんは、基本的に温和でやさしい人柄なので、お店の中では周囲のスタッフにすっかり溶け込んでしまっています。アーティスト然とした強烈なオーラを外に向かって解き放つようなことはありません。でも話をしていると「美意識」や「こだわり」のようなものをすごく持っていて、「自分はこうしたいんだよね」というものを随所に感じ取ることができます。でも自分の意見を押し付けるような素振は絶対に見せません。あくまで相手の気持ちを大切に考えてくれます。当然ながら、それがわかるお客やスタッフには、絶大な信頼を得ているわけです。普通に努力したくらいじゃあ、こんなに立派なスタイリストにはなれないと思うんですよね。
私が鏡の前に座ると、まずはサッカーの話が始まります。「もうすぐイラン戦だね」。
UR表参道店のFさんとは、もうじき10年になろうかという長い付合いです。初めの頃はヘアカタログなどを見ながら、「ここはこんなんでどう?」とか「こうしてみたほうがいいんじゃない?」とか、ああだこうだと意思の疎通を繰り返しながらカットしてくれていました。でも今ではそんなことをいちいち説明する必要もなく、「春だねえ」とか「仕事はどう」とか「連休はどこにも行かないの」とか「久しぶりのフル出場で筋肉痛だよ」とか、そんなくだらない話をしているとカットは終わっています。そして今までに1度だって気に入らなかったことはありません。
青山という場所柄なのか、お客もスタッフも若者ばかりです。そんな中で30代半ばのおじさんは、明らかに浮いた存在であることは言うまでもありません。Fさんは私より2つ年上なので、まあ同世代ということになります。この「同世代」というのは結構重要なキーワードで、「同世代だからわかる」というようなこともあります。そういうわけで、くだらない話に混じってたまに「ウウム」という話もしたりします。
「建築」と「美容」という一見まったく異なる業種ではあるけれど、意外と共通点は多いものです。どちらも技術を必要とすること、お客と向き合うこと、そしてデザインという分野にも属することなどです。Fさんの仕事ぶりを見ていると実に勉強になるというか、お手本になるというか、とても良い刺激を受けることができます。店長などの目上の人への接し方、スタッフへの指示の出し方、お客に対する心遣いなど、自分の仕事でも同じ場面が多々あるからです。「なるほどこういう対応をするんだね」ということをこっそり盗み見ていたりします。
若いスタッフに聞くと、一人前のスタイリストとしてお客を取れるようになるまでには、シャンプーの練習から始まって、それなりに大変な下積みが必要みたいです。それはそうでしょうね。「Fさんはどれくらいでスタイリストになれたの?」「2年くらいかなあ」「それって早いんじゃない?」「まあ早い方かもねえ」「すっごく努力したんですねえ」「まあ普通だよ」「はあ、普通ですか」「そう普通」。
Fさんは、基本的に温和でやさしい人柄なので、お店の中では周囲のスタッフにすっかり溶け込んでしまっています。アーティスト然とした強烈なオーラを外に向かって解き放つようなことはありません。でも話をしていると「美意識」や「こだわり」のようなものをすごく持っていて、「自分はこうしたいんだよね」というものを随所に感じ取ることができます。でも自分の意見を押し付けるような素振は絶対に見せません。あくまで相手の気持ちを大切に考えてくれます。当然ながら、それがわかるお客やスタッフには、絶大な信頼を得ているわけです。普通に努力したくらいじゃあ、こんなに立派なスタイリストにはなれないと思うんですよね。
私が鏡の前に座ると、まずはサッカーの話が始まります。「もうすぐイラン戦だね」。