あの３人の中盤

２００４年８月２１日の埼玉スタジアムの観衆は、３２，２９６人ということだから、さほど多くはなかったようだ。私はゴール裏でこの試合を観ていた。今や伝説となった永井の８０ｍドリブルシュートにハットトリックという、背番号９を着てスタジアムにいた者にとってこれほど誇らしい日はなかった試合は、東京ヴェルディ相手に７点を取って圧勝した。そしてこの試合、ハットトリックを達成した選手がもうひとりいた。山瀬功治である。鈴木啓太、長谷部誠と組む中盤は、歴代レッズの中盤でも跳び抜けて大好きだった。

日本代表に追加召集された５人の名前を見た時、もうすっかり忘れたはずの彼女を思い出したようだった。横浜Ｆマリノスへ行ってからも怪我に苦しんでいたようだが、あえて目をそらしていたところがある。ふられた彼女を追いかけることはしたくない。それでも、こうしてまた復活した姿を見ると、やはり素晴らしい選手だなあと思う。そのプレースタイルといい、人柄といい、また山瀬を応援することができるのであれば、またあの３人の中盤が復活する可能性があるのなら、日本代表の試合だって真剣に見なければならない。

はたして、啓太がボールを奪う、長谷部が前線へ運んでラストパスを繰り出す、そのボールに山瀬が突っ込む、そんな場面を見る可能性はどのくらいあるのだろうか。そしてもしそんな場面を目にしたら、一体どんな気持ちになるのだろうか。３人が揃ってピッチに立つという奇跡は、最高に幸せな結末の予感をもたらしてくれる。２００４年、初めてステージ優勝を遂げた浦和レッズのように。