森博嗣
11 DEC 1998
講談社文庫
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「先生・・・・、現実って何でしょう?」
萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
犀川はすぐ答えた。
「普段はそんなものは存在しない」
という本を読みました。森博嗣といえば何といっても「スカイ・クロラ」シリーズです。私自身、生涯ベストを争う逸品です。そんなわけで、いつかは読んでみようと思っていた「S&M」シリーズですが、原作も去ることながら、アニメ、漫画、ドラマ、ゲームと展開されていて、かなりメジャー感があります。それがかえって読むきっかけを遠ざけていたわけですが、ようやく文庫を手にしました。なぜか?それは鈴木成一デザインでリニューアルされた装丁が、とてもかっこよかったからです。全10巻のトータルコーディネートは圧巻です。装丁に限らず、シリーズ展開されるデザインに引かれます。ベースとかフレームのデザインということになるのかも知れません。
内容はミステリーということで異論なし。ICTの技術的な下りは、何とも時代を感じてしまうわけで、このあたりが理系の宿命とも言えます。あえてデビュー作にしたということですが、少々派手で壮大な展開が、逆に違和感を覚えます。ちょっとドラマチックすぎるのではないかと。まあ、好みの問題です。