近未来政治小説的な面白さもあるけれど、私にとっては主人公のインテリ(第3大学教授)の右往左往ぶりが他人ごとでなく惹かれた。
佐藤優が指摘しているようなこと、つまりインテリなんざソ連崩壊の時も 「コロッ」と立場を変えて生き延びたよね、っていう話としても 「ありそう」が楽しかった。
年金生活者目前の自分を重ねてしまう面もあったし(笑)
イスラームの一夫多妻の描写はいかにも悪趣味だし、なんだそりゃって感じだけどね。それも含めて 「フランス」テイストかな……。
自分なら選ばないこの本を勧めてくれた友人に感謝。
Google マップ(ストリートビュー)と照らし合わせながら小説を読む新しい習慣を手に入れた点でも「特筆すべき」体験だった。
ただし私が他の人に勧められるかっていうと、微妙だ。この本を勧める友人が身の回りにどれだけいるか?
こんなのはくだらないし、読まんでもいいさっていうならそれは慶賀すべきことだ。
でも、イヤミか脅しにならなきゃいいけどって話になっちゃう。
周りは国内流行作家の読み手ばっかりだからなぁ……。
昔は外国の小説を読む人もそれなりにいたんだけど、今はちょっと。
まあもちろんそれはそれでいいんだけどね。
いくら流行ってるとしても外つ国の小説なんぞ読まなくても生きていける。このウェルベックだって皮肉は利いてるけど、別に読まなくてもいいっちゃいい。
でもさ、だったらこれぐらいの作品を日本語で書くか読むかしてるかっていうと、どうだろうと思う。
『ヒルビリーエレジー』の時もそう思ったけれど、こういう他の国の人が読んでも読める(今時はたとえ読んだからといって霧が晴れるように物事をクリアに考えられるようになるわけじゃないけどそれでも読んでおく意味はあるんじゃないか、というような)ものが日本にはあるのかな、とも思う。
んなこというならお前が書けって話だよね。
御意。