龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCのファンです。
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志の輔らくごin PARCO の「柳田格之進」を観た。

2017年07月09日 00時31分21秒 | メディア日記
志の輔、すごいなあ。

「志の輔らくごinPARCO」之DVDを購入。オマケ(特典)でついてきた 「柳田格之進」を最初に観たのですが、これが良かったです。

お話は、大店の旦那が碁会所で知り合った貧乏浪人柳田格之進を家に招き、毎日離れでご馳走しながら碁の相手をしてもらうようになった。
 10 日ほど経ったある日、例によって二人で碁に夢中になっているところに、番頭が売上の50両を持って来て旦那に渡す。ところが碁に夢中な旦那は膝の上に50両を乗せたまま碁を打ち続ける。
 柳田が帰った後、番頭が旦那に50両のお金のことを確認すると、旦那は慌ててお金を探すのだが、上の空だったせいか、思い出すことができない。
 貧乏浪人が盗ったのではないか、と勘ぐる番頭を旦那はたしなめるが、番頭はそのままにしておけない、と翌朝長屋を訪ね、遠まわしに柳田がとったのではないか、と謎をかける。柳田は知らぬ、というが、番頭は取り合わず、それならお上に訴え出るしかない、と 「独り言」を柳田に聞かせる。
 奉行に疑いをかけられるなどとは武士の名誉にかかわること、あってはならぬと柳田は、盗ってはいないが名誉のためにお金は用意するがその代わりもしのちにその金が出てきたときにはお主(番頭)の首をもらうぞ、と言う。番頭はその言葉を腹いせと聞き流し……

と展開していきます。
こういう話をさせたら志の輔は最高ですね。50分の長丁場があっという間。ぐぐっと自分の世界に引き込む 「名人芸」系の凄みを感じました。

六代目円生の 「淀五郎」も、たっぷりと人情の機微を語ってくれるものでしたが、志の輔のこのお話もステキでした。これから本編の10席が楽しみです。

友達に貸したままの桂枝雀のDVDを返してもらって、志の輔と枝雀を交互に観る至福をこの夏は楽しみにしようかな。


ケン・リュウ『紙の動物園』の感想

2017年07月09日 00時18分06秒 | メディア日記
作者ケン・リュウは、中国大陸甘粛省出身。11才でアメリカに移住し、弁護士・プログラマーの経験もあるという。


「紙の動物園」を、読みました。

なかなかいいですね。
表題作『紙の動物園』は泣けました。まずはここから、が正解でしょう。私は浅田次郎の『鉄道員(ぽっぽや)』所収の 「角筈にて」のような親子ものに弱いのですが、この作品もツボでした。

「なんちゃって大日本帝国」が出てくる
「太平洋横断海底トンネル小史」
も結構好きかも。

二項対立的な 図式を相対化して
「欧米かっ!?」
と突っ込む視点もありつつ、東洋的な神秘的 「ホニャラケ」を小道具に使う色気もありつつ、「弱い者」の表現への共感の道筋をつける 「泣ける」演出もありつつ、しかし単にその小道具の 「効果」ゆえに 「読ませる」のではなく、むしろ書き手の 「視点」が地上1.5mほどの空中にあるその定位ぶりというか、自由さというか、どこかニュートラルな手触りがあるというか、その徴としての 「SF」という枠組みが利用されているというこ、その 「ありさま」こそが読ませる要因なのか、とも思います。

友人に紹介してもらったのですが、いいものを紹介してもらったお得感がありました。

未読の方は幸せなんじゃないかな。この夏何を読もうか迷っている人にオススメの一冊。