購入したのはしばらく前で、友人にちょっとこの本の存在を知らせたところ彼は早速読んでしまい、同じ天野健太郎という訳者の台湾小説を紹介してくれ、結果『13・67』が後回しになり、台湾小説の『歩道橋の魔術師』呉明益を先に読むことになってしまった。
この『歩道橋の魔術師』がまたすこぶるおもしろい小説なのだが、今日は『13・67』の話。
ようやく昨夜『13・67』を読み始めたら文句なくすごい。
久しぶりにパワーのある作品に出会ったという喜びが身体の中を駆けめぐる感じがした。
かつで凄腕の警察官だったクワンが年老いて病床にあり、寝たきりではなすこともでこの小説は、断然今の日本で読まれるべき作品だと思う。きない彼が、ローという「弟子」の抱える難事件を解決するという安楽椅子探偵というかベッド探偵の話からスタートし、短編連作の形を取って次第にクワンの過去へと遡りながら物語は展開していく。そしてクワンが警察官になる前まで描かれて終わるのだが、その遡行する連作の中の時間は、そのまま香港がイギリスから中国に変換される歴史を振り返ることにもなっている。
つまり、クワンの50年にわたる人生を遡りつつ、結果として1960年代の反英闘争、香港の中国返還、2010年代になってからの雨傘運動と、香港という街の50年を描くことにもなっている。
一編一編の人物像にも確かな手応えがあり、むろんミステリーとしての味わいも十二分にある。
聞けば、『世界を売った男』という作品で第二回島田荘司推理小説賞を受賞した陳浩基の受賞第一作だという。
もし未読の方がいらっしゃったら、それは幸せなことです。今すぐ本屋へ行きましょう。
電子書籍をクリックすると、一晩眠れなくなるかもしれません。
去年刊行された作品ですが、私が今年読んだ上半期の小説ではベスト3ぐらいには入りそうな1冊。
最近あんまり小説読んでないんですけどね(笑)。
というわけで、ぜひどうぞ。
この『歩道橋の魔術師』がまたすこぶるおもしろい小説なのだが、今日は『13・67』の話。
ようやく昨夜『13・67』を読み始めたら文句なくすごい。
久しぶりにパワーのある作品に出会ったという喜びが身体の中を駆けめぐる感じがした。
かつで凄腕の警察官だったクワンが年老いて病床にあり、寝たきりではなすこともでこの小説は、断然今の日本で読まれるべき作品だと思う。きない彼が、ローという「弟子」の抱える難事件を解決するという安楽椅子探偵というかベッド探偵の話からスタートし、短編連作の形を取って次第にクワンの過去へと遡りながら物語は展開していく。そしてクワンが警察官になる前まで描かれて終わるのだが、その遡行する連作の中の時間は、そのまま香港がイギリスから中国に変換される歴史を振り返ることにもなっている。
つまり、クワンの50年にわたる人生を遡りつつ、結果として1960年代の反英闘争、香港の中国返還、2010年代になってからの雨傘運動と、香港という街の50年を描くことにもなっている。
一編一編の人物像にも確かな手応えがあり、むろんミステリーとしての味わいも十二分にある。
聞けば、『世界を売った男』という作品で第二回島田荘司推理小説賞を受賞した陳浩基の受賞第一作だという。
もし未読の方がいらっしゃったら、それは幸せなことです。今すぐ本屋へ行きましょう。
電子書籍をクリックすると、一晩眠れなくなるかもしれません。
去年刊行された作品ですが、私が今年読んだ上半期の小説ではベスト3ぐらいには入りそうな1冊。
最近あんまり小説読んでないんですけどね(笑)。
というわけで、ぜひどうぞ。