平成25年2月28日
もうじき2年目を迎える東北大震災、記憶が生々し過ぎてそれを題材に映画化するのは逆に難しかろうと思っていたが、「遺体 明日への十日間」という映画が公開されたので、さっそく観てきました。この映画は凄惨な大津波のシーンはありませんが、震災直後から遺体安置所となった釜石市の学校体育館での十日間の出来事を事実に基づき綴ったものです。安置所には泥まみれになった遺体が際限無く運び込まれて修羅場のような惨状に、西田俊彦扮する元葬儀社社員のボランティアを始め係る市職員や医師等が、直後は何から手をつけたらよいか判らずパニック状態だったのが、遺体を遺族の元へ返してあげようという願いで結束して奮闘する姿を描いたものです。私も幾度か被災地へボランティアで足を運びましたが、修羅場のような場には遭遇していません。映画の中で現場から逃避する若い市職員が描かれてますが、私もあの場に居あわせたら、果たして正常な精神でいられたか甚だ自信がありません。映画のシーンはあまりにも非日常的、非現実的ですが、2年前に東北地方の太平洋沿岸各地で現実に起きた出来事なので、強烈なインパクトを観る人に与えます。やはり関心が強いのか館内は多くの観客で埋まっており、中に声を上げて泣きながら観る人もおりました。平日の午後なので、多くは中高年の人々でしたが、この映画は日本人の死生観がよく描かれているので、余命幾ばくも無い我々が観るより、長い人生を歩む若者達にジックリ観てもらいたい映画だと感じました。