平成25年4月25日
図書館で吉村達也さんが書いた「ヒマラヤの風にのって」という本を何気なく借りた。表題と雪山の表紙写真から山に関するものかなと思って読み始めた内容は、彼のエンディングエッセーだった。推理作家である彼の著書は殆ど読んだ記憶は無いが、この本には引込まれた。「進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと」という副題のとおり、末期がんに侵された吉村氏が、昨年4月23日の入院から5月14日永眠されるまでの僅かな期間を描いたものです。概して闘病記ものは感動や涙を強調するものであるが、吉村氏はそれを嫌い、自身に起きる症状、思い、願い等をリアルに淡々と綴っている。真実を語る強い説得力に眼を離せず数時間で読破した。これほど圧倒される本は久々で改めて死生観を考えさせられた。この内容を書評する能力を私は持たないので、実物を読んで感じてもらえればと思います。「無宗教を誇りとし、墓も戒名も葬儀の仕来りもいらない。普段着のまま火葬して、亡き愛猫の骨と共にヒマラヤの風に散骨して欲しい。」と願い実践した吉村氏の潔いあの世への旅立ちは、密かに私が願う旅立ちの姿でもあります。