福島、阿武隈山地、大滝根山
7月3日(火) 天気=曇り時々雨
08:13大越温泉跡地→ 08:32~36賽の河原→ 09:08~16大滝根山→ 09:37ブナ平→ 09:59仙台平登山口→ 10:10大越温泉跡地
前日、泊った「星の村ふれあい館」はロマンチックな名前なので期待したが、良くも悪くも如何にも公営の宿だった。でもお風呂も部屋も広くてまあまあ快適でした。
朝食を終えるとすぐに宿を出発する。登山口の温泉跡地までは車で15分程の距離だった。「大越温泉健康ランド」と看板が掛かった3階建ての建物が廃墟として残されており中を覗いてみたが、施設が立派なだけにその荒廃ぶりが物悲しい。登山口には、三重県ナンバーの軽自動車が1台停めてあった。持ち主は大滝山を登山しているのだろう。
大越温泉跡地
その横に車を停めて我々も出発する。と同時に雨がパラパラと降り始めた。途端に妻は「私は登らない。車で待つ。」と言う。三百名山踏破に燃える私と異なり、無理はしない主義の妻は、ずぶ濡れになってまで登る気が全くないようだ。
私は「ア、ソウ」と言い、内心「マイペースで歩けるワイ」とほくそ笑む。一人になり「さあ登るぞ。」と気合をいれたけれど、朝食が遅かったせいで胃が持たれて調子が出ない。出るのはゲップばかりで身体が重い。
上から同年輩の女性が単独で降りて来た。軽自動車の持ち主らしい。「早いですねー。」と声を掛けると「雨が降りそうだったから」と答えた。「三百名山ですか。」と聞かれたので「エエ」と答えしばらく立ち話をした。概ね単独で三百名山を目指す輩は、中高年の無愛想なオッサンが多く(私も含め)女性は珍しい。しかも彼女は優しげな風貌で、とてもそんなタイプには思えない。
彼女と別れしばらく進むと登山道が分岐する「賽の河原」に着いた。石碑と小さなお地蔵さんが安置されている。右は日山権現へ向かう道、あまり判然としていない。
登山道が分岐する賽の河原
私は沢沿いに山頂へ直登する左の道を進む。沢のセセラギが心地よい道をしばらく登ると、やがて随所にロープの架かる急登が始まる。両手足を総動員しなければ登れぬ程の急登だが、それも長く続かず、やがて傾斜も緩み、低い樹林帯を進んで行くと、ひょっこり山頂の神社に到着した。
大滝根山頂の神社
神社の裏側はフェンスで仕切られ、山頂部の大部分を自衛隊のレーダー基地で占領されている。大滝根山山頂(1193m)の三角点は基地の敷地内にあり、金網越しに見るしかないが、これじゃ登山者と言うより、基地を窺う不審者になった気分だ。
レーダー基地内山頂三角点
先程から不快な機械音が響き渡るし、まあこんなに居心地の悪い山頂も珍しい。基地を撤去しろとは言わないが、此の山を三百名山の指定して人の気が知れない。
同じ道を戻るのは嫌なので、下山は日山権現経由で降る事にする。緩やかな尾根道でとても歩きやすいコースだ。途中、送電線沿いに広々と切り開かれた場所に出た。周囲の展望が効いて灰色雲の下に山麓の集落が望まれる。
送電線沿いの展望地
更に尾根を降って行く。賽の河原へ降る道が右の分岐するはず何だが見つからない。と言うより尾根の降りがあまりに快適なので、分岐を行き過ぎてしまったようだ。
どうやら仙台平登山口へ降るコースに入り込んだようで、予定していた賽の河原経由の道より2キロ程長くなってしまうが、今更登り返す気にもならなず、そのまま降って行く。
下山途中の鎖場
鎖場を3か所程越え、「ブナ平」と標された平坦な場所を過ぎ、渓流沿いの植林帯を降ると「大滝根山登山口」と書かれた案内板のある車道に降り立った。この道は今朝がた登山口へ向かう時に車で通った道だ。
此処から車道沿いに車のある温泉跡地に戻った。最後は登り坂なのでけっこう汗をかかされた。私の遅い帰りを気にして妻は上の方を心配げに見ていたが、私が下から登ってきたので一寸驚いたようだった。
私が登る途中出会った女性と妻もいろいろ話し込んだようで、「一人でアチコチの山を登っているんだって、私にはとても真似できない。」と感心していた。
時刻はまだ10時過ぎ、付近の何処か観光でもして帰ろうと思ったが、雨が降ったり止んだりの天気なので65㎝望遠鏡がある「星の村天文台」に行ってもつまらないし、有名な「阿武隈鍾乳洞」は以前職場の旅行で観た事あるので、このままブラブラとドライブして我が家に戻る事にする。
しきりに高速道へ導きたがるカーナビに逆らいながら一般道を我が家へと進むが、止まぬ雨と複雑な道路状況に嫌気がさし、北関東自動車道の宇都宮上三川ICまで来たところで高速道路に入り、夕刻我が家に戻った。
今回の二日間の旅で三百名山を2山Getしたが、登頂した満足感が全く無い。しかし震災の傷跡が今だ重い福島県で観光したので、少しは地元の貢献になったのではという事で良しとしましょう。