Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

北ア、南岳~北穂高岳登山(2)

2015年09月28日 | 山歩き

 南岳小屋から横尾山荘まで

9月24日(木)    天気=曇り後雨

06:23南岳小屋→ 08:10長谷川ピーク→ 09:50~10:12北穂高小屋→ 10:14~18北穂高岳→ 10:24奥穂高分岐→ 12:41~13:20涸沢ヒュッテ→ 14:46~50本谷橋→ 15:46横尾山荘(宿泊)

 

 朝日は拝めたものの厚い雲が今朝の空を覆っている。予報では日中曇りで夕方以降雨となっているが、天気の悪化が早まっている。北穂に着くまでどうか降らないでくれよと願わずにいられない。小屋の朝食を慌ただしく済まし6時23分に出発する。

 南岳小屋の朝(雲の隙間から富士山が見える。)

 まずは大キレットの最低鞍部目指して急な坂をドンドン降って行く。降るにつれ前方の北穂がだんだん高くなる。あれを登るのかと思えば気が重い。最後に長~い鉄ハシゴを慎重に降り、その後は痩せ尾根を小さなアップダウンを繰返し進んで行く。

 大キレット最低暗部へ降る

 南岳の降り最後の長ハシゴ

 やがて長谷川ピーク(2841m)がだんだん近づいてくる。遠目には小さなピークだが、実際に登ればけっこうきつい。フト後ろを振り返ったら、大森ガイドとザイルを結んだご婦人のペアが背後に近づいている。流石プロのガイドは脚が早い。連れのご婦人も中々の健脚だ。長谷川ピークの手前で休んでいたら簡単に追い抜かれた。

 長谷川ピーク(右)と奥に北穂高岳(左)

 大キレットから笠ケ岳方面

 大キレットの核心部は長谷川ピークから飛騨泣き、北穂の登りまで続く区間、ナイフの刃先のような尾根道を進んで行く。転落したら一巻の終わりだから気を抜けないが、手掛かり足がかりは必ずあるので、コースを外さず慎重に歩けば問題ない。恐いのは雨が降った時で濡れた岩場は滑るから、大キレットの通過は諦めた方が無難だろう。飛騨泣きを越えた所で休憩している大森ガイドペアに追いつき我々が先行した。

 長谷川ピークの降り

 長谷川ピーク(奥)と飛騨泣き(手前)

 北穂の登りも最初は岩壁を登るような急傾斜、妻の重い尻を幾度か押し上げる。登るにつれだんだん傾斜が弱まり東側から巻くようにして山頂を目指す。もう山頂直下の北穂高小屋が見えてるのに中々近づかないのがもどかしい。

 北穂高の登り

 見上げる北穂高岳

 黙々とジグザグ登りを繰返し、AM10時過ぎ待望の北穂高小屋に到着した。南岳小屋を3時間50分掛かった事になる。コースタイムより若干遅いが、まあ60歳半ばの老いぼれ夫婦にしては頑張ったほうだろう。もし昨日の午後、疲れた脚で大キレットを通過していたら、明るいうちには着けなかったかも知れぬ。南岳小屋に留まったのは正解だった。

 小屋の売店でホットコーヒーを注文し、しばしの休憩をとる。程なくして大森ガイドのペアも到着した。彼等は今宵、涸沢で泊るとの事、できれば今日中に上高地へ戻りたい我々は、「縁があったら又お会いしましょう。」とお別れの挨拶をして先に出発する。

 北穂高岳山頂

 山頂から遠く富士山方面

 小屋から一投足で北穂高岳(3106m)の山頂に着く。記念の写真を撮っていたら、雨が本降りになってきた。奥穂へ向かうコースへ降り、分岐を左折して涸沢へと降って行く。楽勝かと思っていたこの下山道だが、岩場が雨に濡れて滑りそうなのでけっこうハードな降りになった。

 雨に濡れ滑りそうな下山道

 妻が(違った紅葉が)あまりにも美しかったのでパチリ

 妻の脚は疲労の限界に達したのか歩みが遅い。だんだん近づく涸沢の小屋やテント場を励みに黙々と降って行く。ザンザ降りの雨の中、コースタイムより大幅に遅れて涸沢ヒュッテのテラスに着いた。

 眼下に涸沢の小屋とテント場

 涸沢から見上げる涸沢岳

 もうこの時間では上高地で最終のバスに乗るのは不可能だ。できれば横尾山荘まで行ってお風呂に入りたいと思う。妻に「横尾まで歩けるか?」と聞けばウンと答える。涸沢ヒュッテ名物のオデンを食べ、身体を暖めてから出発する。

 今日明日と天気が悪いにも係らず涸沢の下山道は次から次と登る人の列が絶えず、紅葉の涸沢人気を実感する。妻の脚は増々重くなり、顔をしかめつつ歩いている。こりゃ涸沢に泊った方が良かったかと少し悔やまれる。

 本谷橋

 それでも中間地点の本谷橋を越え傾斜が緩まった辺りから、少し回復した様子で、辛そうにしながらも黙々と追いてくる。フト右手の頭上を仰げば、屏風岩の岩壁が黒々と聳え立っていた。

 見上げる屏風岩の岩壁

 PM4時前横尾山荘に到着、ここは寝室は二段ベッドながら設備も立派で山小屋と言うより旅館の佇まい、濡れた物を乾燥室に干しさっそくお風呂に入る。びっしょり濡れた身体が温まり、地獄から天国に逃れたような心境だ。

 登山客の他、旅行会社のツアー客などで宿はほぼ満員の盛況、八割方が中高年で天気が悪いにも関わらず皆さん元気に華やいでいる。夕食時、隣席のグループは明日涸沢まで行くと言う。「紅葉が見事でしたよ。」と話したら明日の天気を気にしながらも喜んでいた。明日は梓川沿いの遊歩道を上高地まで歩くだけだから、何の憂いも無くグッスリと熟睡することができた。

 

 

横尾山荘から上高地まで

9月25日(金)     天気=

05:38横尾山荘→ 06:27~33徳沢→ 07:12~18明神→ 08:00上高地

 

 今朝になっても雨は止まない。雨衣をしっかり着込んで、まだ夜も明けきれぬ5時半過ぎに出発する。上高地へ向かう梓川沿いの遊歩道に人影は殆ど見ず、雨衣を叩く雨粒の音を聞きながら黙々と歩いて行く。

 徳沢辺りからポツポツと登って来る人とすれ違う。右手の明神岳を振り仰げば、岩壁の合間から白い流水が滝のように噴き出している。明神を過ぎた辺りの道端では、猿の群れが我々の存在など黙殺して一心に食事の最中であった。

 朝食中の猿の群れ

 明神岳の岩峰

 人影も疎らな河童橋を過ぎ、AM8時ジャスト上高地に着いた。08:25発の沢渡行きバスには他の乗客をおらず我々夫婦の貸切だった。沢渡から車に乗り、塩尻ICから中央道を経由してお昼頃には我が家に戻り着いた。

 今回は優雅に山を楽しもうと思ったが終わってみればけっこうハードな山行になった。我々の年齢を考えれば再び大キレットを訪れる事はおそらくあるまい。でも妻にとって大キレットを踏破した事は、良い思い出になったのではないだろうか。

 

コメント
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