齢を取ると眠りが浅くなるせいか、よく夢を見るようになった。どんな夢を見たのか殆ど覚えちゃいないが昨夜見た夢は鮮烈だったので、目覚めた後もしっかり覚えていた。どんな夢だったかと言いますと・・・
夢の中の私は40歳過ぎの冴えない中年男、結婚する事も無く世間の片隅でヒッソリと生きている。長年働き続けていた職場の上司から、「今月限りで辞めてもらう」と首を宣告される。仕事を失えば喰っていけず、住んでいるアパートも追い出される。
天涯孤独で助けてくれる人も無く、「こんなはずでは無かった。人生お先真っ暗だ・・」と嘆いたところで夢から目が覚めた。振り向けば隣のベッドで妻が寝ており、アァ~夢の中の出来事で良かったと胸を撫で下ろした。
こんな寝覚めの悪い夢を見たのは、きっと今読んでいる本のせいだ。その本は「老人漂流社会」という題名で、NHKスペシャル班がテレビ放送したものをまとめて出版した実録本です。
本に書かれている「老人漂流」とは、「貧困」「認知症」「身体障害」など様々な要因が切っ掛けで高齢者が自立できなくなり、定住の場を失って「病院」や「養護ホーム」「無料宿泊所」などをたらい回しにされる社会問題を指しています。
世の中は少子高齢化が進み、これからの日本は老人が増々生き難い世の中になっていくでしょう。後期高齢者となった私も同じで、夢の中の出来事と済ませてはいられない。人生の歯車が一つ二つ狂ったら、私も本の登場人物と同じ運命を辿る事になる。
だからと言って何をどうすればよいのか、具体的な策は思い浮かびません。ソロソロ先がみえてきた我が人生、やりたい事をやれる時にやって、なるべく悔いの残らぬ日々を過ごすだけです。