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先日の北海道新聞夕刊にチンパンジーの障害をもった子どもの育ちについての興味深い記事が掲載されていた。
京都大学の研究チームによる報告で、霊長類研究の学術電子版に掲載されるとのこと。重度の先天的障害のあるチンパンジーの赤ちゃんを母親や姉が家族ぐるみで約2年間育てていたとされる。野生チンパンジーが障害児にどう対応するかを観察できたのは世界で初めてとのことで、霊長類の中でも、チンパンジーは人間にもっとも近いことから、人類社会が障害者のケアをどう進化させてきたかのヒントになると研究チームの中村美知夫准教授が語っている。
赤ちゃんは東アフリカ・タンザニアの国立公園で誕生した雌で、生まれつきお腹にこぶがあり、自力で座ったり、母親にしがみつくことができなかったという。母親はこの赤ちゃんを抱えながら木に登ったりしたほか、家族意外のチンパンジーに触らせないようにしていたとも。赤ちゃんの姉も積極的にサポート役を務めていたようだ。障害のある野生動物は生まれてすぐに死ぬことが多いという。
先の中村淳教授はこの母親も姉も「障害をある程度理解した上で手厚くケアしていたのではないか」と述べているとのこと。
身体状況の違いが分かるだけではなく、不自由なところを母親をはじめとした家族がサポートしながら暮らしていたというのは、そこに絆が生まれていたということで、情愛のような心が育っていたからではないかと思った。弱者を放り出さずに共に生きる姿が、ヒトに近い霊長類であるチンパンジーの家族に見られたということに希望が見えた気がした。ヒトも霊長類のハシクレなので、本来は弱者を思いやれるのだという希望だ。「希望はある」と信じたい。