「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「無意識の彷徨」 (22)

2007年05月12日 20時15分48秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47472651.html からの続き)
 

○街路樹

  
○警察署・心理課

  なつみと裕司。
なつみ「(書類を持って。明るい様子で)精
 神科医の鑑定結果は『健忘』ということに
 なりました。事件当時、裕司くんの精神は
 全く別の世界に行っていて意識はなかっ
 た」
裕司「………(複雑な思い)」
なつみ「あとは裁判所の判断だけど、もしあ
 なたが何かしていたとしても、有利な材料
 には違いないわ」
裕司「ありがとうございます……」
なつみ「事件当時のこともそのうち思い出す
 かもしれないし」
裕司「はい……(落ち着く)」
  ドアをノックする音。
なつみ「どうぞ」
  ドアが開き、友辺が顔を出す。
友辺「犯人が二人挙がった」
なつみ「え?」
友辺「ゴーグルの指紋からアシがついたんだ、
 前科のあった奴で」
なつみ「裕司くんはその仲間なの?(不安気
 に)」
友辺「犯人が言うには、現場に通りかかって
 被害者を助けようとした男がいたそうだ。
 その男に顔を見られたんで、追いかけたけ
 ど逃げられたと供述してる」
なつみ「(不安と期待が入り交じって)その
 男って……?」
友辺「男本人は何も覚えがないそうだよ、あ
 っはっは!(隠していた喜びを一遍に出
 す)」
なつみ「はぁ……! やったぁ!(裕司の手
 を取る)」
友辺「よかったな、西脇!」
裕司「……は、はい……!(浮足立ち恐縮す
 る)」
なつみ「(喜んで)裕司くんはきっと犯人に
 追いかけられた恐怖で意識をなくしたの
 よ!」
裕司「……あ、ありがとうございます……!
 (感慨)」
なつみ「よかった、裕司くん!(裕司に抱き
 つく)」
友辺「おい、あんまり抱きつくなよ!」
なつみ「んー!(構わず裕司をぎゅっと抱き
 しめる)」
  どぎまぎする裕司。
  
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47547133.html  
 
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