( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/50045697.html からの続き)
日本軍の窮状は 惨たんたるもので、燃料タンクを作る 鉄もないため、
竹を編んで 和紙を貼り、漆を塗って ガソリンの漏れを 防いでいたといいます。
ガソリンには 松やにを混ぜていました。
こんな貧窮した状態で、物資も武器も 大量に保有するアメリカに 勝てるわけがない。
それでも彼らは、天皇や国のためではなく、
自分の家族や 愛する人を守るため、敵艦に突っ込んで行ったのです。
しかし、敵の空中放火をくぐり抜けて 敵艦まで辿り着くのは、10機に1機、
しかも 敵艦の中心部に命中するのは 僅かだったといいます。
命が 紙屑のように扱われ、終戦になっても 何の保証もなく、
特攻隊員は 生き残った罪悪感に苛まれています。
彼らは 元特攻隊であったことを、家族にさえ話さず生きてきました。
何も誇れることでは なかったのです。
モリモト監督は、観る人と同じ視線で 映画を作っていきました。
そして邪悪な神風が、実は 戦争に翻弄された、
自分たちと同じ 生身の人間であることを 知っていくのです。
特攻隊員たちもまた、鬼畜米英という教育を 受けてきて、
相手を人間だとは 思っていませんでした。
戦争はそのように 人の心を歪めてしまいます。
この作品もまた、アメリカ人の手によって作られ、
世界の人に観られることに 意義があるでしょう。
この映画は、生存者たちのインタビュー映像に、戦時中の日米の記録フィルム,
時にはアニメも交え、観る者を 戦禍の中へと引き込んでいきます。
BGMと共に、卓越した構成で 我々の精神に訴えかけてきます。
世界が テロの脅威に向き合い、平和憲法の見直しが 語られる現代、
戦争と平和の意味を 考える手がかりとなってくれる 作品でしょう。