「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「KIDS」

2008年02月24日 20時50分38秒 | 映画
 
 3ヶ月余りぶりの 映画の感想です。

 とある うらぶれた街で、タケオ (玉木宏) は 暴力に身を任せたり、

 すさんだ 生活をしています。

 彼がよく行く 喫茶店で働くシホ (栗山千明) は、

 何故かいつも 大きなマスクを。

 その街に ふらりとやって来た、か弱そうな少年マサト (小池徹平)。

 彼には 不思議な力がありました。

 人の傷を 自分に移動させ、相手の怪我を “治して” しまうことができるのです。

 タイトルの 「KIDS」 は、「傷」 にかけています。

 原作は 乙一の短編小説。

 タケオは 父親から児童虐待を受け、その父は 今は脳卒中を起こして 植物状態。

 マサトの母は マサトが幼いとき 父を刺し殺し、

 マサトはその母を刺した という過去があります。

 そしてシホは 高校で苛めに遭って、顔に酷い傷を 負っていたのでした。

 それぞれに 重い事情を抱え、心に傷を持っています。

 マサトは 服役中の母親に会うために、この町へ やって来たのでした。

 マサトは、怪我の絶えない 元気な子供たちの傷を “治し”たり、

 喧嘩で大怪我をしたタケオの傷を 自分に移動させたりします。

 そしてマサトには、自分に移動させた傷を、

 さらに別の人に 移動させられる力が あることが分かるのです。

 友情,親子の愛情,裏切り,恋愛,絶望と希望……

 純粋で切ないエピソードが展開し、胸を締めつけられました。

 不覚にも、上映中何度も ハンカチを使わなければならなかったことは、

 僕は ほとんどなかったのですが。

 マサトと母親の 関係など、真実が次第に 明かされていきます。

 母親の愛を失って 生きる希望をなくしたマサトは、

 偶然、大規模交通事故で 大量の怪我人が発生した 現場に出くわします。

 そのとき 彼が取った行動は……。

 マサトの下へ 走るタケオ。

 ラストでは、それぞれが心の傷を癒し、自分の心に 向き合っていきます。

 演出に難ありの 所はありましたが、

 人の傷を移動させるという 秀でた発想から、佳作のドラマが生まれました。
 
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