「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

クリストフの 芸術観の革命

2009年02月19日 23時22分01秒 | 僕と「ジャン=クリストフ」
 
(前の記事からの続き)

( 「ジャン・クリストフ」 )

「 僕にとっては、 また、

 真理を担いうるだけ 丈夫な腰を 持ってる者にとっては、 真理がいいのだ。

 しかし その他の者にとっては、 それは一種の残酷であり 馬鹿げたことだ。

 自分自身よりも 真理を愛さなければいけないけれど、

 真理よりも隣人を いっそう愛さなければいけない。

 われわれわは もっとも真理のうちで、

 世のためになり得るものをしか 明言してはいけない。

 他の真理は それをわれわれのうちに しまって置くべきである。

 隠れたる太陽の 柔らかな光のように、

 それはわれわれの あらゆる行為の上に 照り渡るだろう。 」

「 彼の芸術観に 革命が起こってきた。

 彼の芸術観は いっそう広い いっそう人間的なものとなっていった。

 彼はもはや、

 単なる独白であり 自分一人のための言葉である 音楽を欲しなかったし、

 専門家ばかりを相手の むずかしい組み立ては なおさら欲しなかった。

 彼は 音楽が一般の人々と 交渉することを欲した。

 他人に結びつく芸術こそ、 真に 生きたる芸術である。 」

「 現代の 多くの音楽家の 音楽に見るような、

 一階級だけの方言にすぎない その芸術的な言葉を、

 極端に避けようではないか。

 『芸術家』 としてではなく、

 人間として話すだけの 勇気をもたなければならない。 」


 僕は、 “元の自分” に 戻ってきた気がしました。

 人間は成長するにつれ、

 少しずつ 本来の自分に 戻っていくのではないでしょうか。

〔 「ジャン=クリストフ」 ロマン=ロラン (岩波文庫) 豊島与志雄 訳 〕

(次の記事に続く)
 
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