(前の記事からの続き)
⑧ 自分が何者であるか わからない
生きることの違和感や、 居場所のなさを 感じています。
最も根源的な アイデンティティの障害は、 親や出自によるものです。
養父母や義父母が いる場合や、 片親の場合、
自分は どの親の子なのかという 問題を抱えやすくなります。
青年期には、 進路選択や 性的なアイデンティティ,
存在論的なアイデンティティの 問題もあります。
自分は愛される価値がない, 何のために生まれてきたのか 分からないという、
より本源的で 深刻な苦悩に 脅かされてしまうのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子は父親に 異性としての愛情を 抱いていたと言います。
元々 父親は、 いつ発作が起こるかわからない 心臓の病を抱えており、
心子は 父と一緒に死ぬという 約束をしていました。
( それは 客観的な事実ではなく、 心子の中の 主観的事実でしたが、
心子にとっては 紛れもない真実でした。)
心子は 父を支えるため、
明るくて頑張り屋の もう一人の自分を 無意識に作り出したのです。
心子は 父と死ぬために生きているようなもので、
本当の自分が 何だか分からなくなってしまいました。
父は 心子が10才のとき 急逝しました。
が、 心子は死ねませんでした。
父との誓いを破ったという トラウマが、 心子から 生きる意味を奪い、
自分は 生きていてはいけないという、 死の呪縛となったのだと 思われます。
(次の記事に続く)