「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自殺企図や自傷行為を繰り返す

2009年10月12日 20時56分09秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

⑤ 自殺企図や自傷行為を繰り返す

 BPDの人の7割以上が 自傷行為の経験があるといいます。

 自殺率は9%とされますが、

 重度のケースでは 36%にも上ったという 調査もあります。

 自殺関連行動として、 自殺のそぶりや 脅しがあります。

 苦しさを分かってほしいという サインだったり、 カタルシス効果や、

 自分を罰することで 生きることを許す 取引だったりします。

 リストカットやODもありますが、

 希死念慮が どこまで切迫しているか 見極めることが必要です。

 動揺して過剰反応すると、 自殺企図を エスカレートさせやすい反面、

 安易に受け止めていると、 既遂になってしまいかねません。

 首をくくったり 飛び下りによる自殺企図は、

 切迫度が高く、 完遂される危険が 高まっています。

 とにかく本人の苦しみを 分かってあげる必要があります。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子は 正に飛び降りでした。

 サインとしての自殺関連行動は、 刃物などで 首や胸を刺すことでした。

 命を賭した演技だったと 思われたこともあります。

 それは 僕の目の前でだけ 行われましたが、

 最後の飛び降りだけは、 誰にも言わずに 黙って逝ったのです。

 僕は、彼女の実際の死は 思ってもいなかったというのと、

 心のどこかに その予想もあったというのと、

 矛盾した気持ちが 正直なところでした。

 でも、 心子は あれだけ苦しんだのだから、

 これでやっと 苦しみから解放されたのだと、

 思わざるを得ないものが 僕にはありました。

(次の記事に続く)
 
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