「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

生まれ持った 性格ではない

2009年10月04日 18時50分17秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 境界性パーソナリティ障害は、 永遠に続く 固定した性格ではありません。

 多くは 思春期から青年期、 成人早期に始まる、

 嵐のような 感情と行動の失調状態です。

 自殺企図, 自傷行為, 過食, 危険な性交渉, 薬物乱用なども、

 何らかの喪失体験が きっかけになっています。

 通常は数年で 嵐は治まっていきます。

 周囲の対応がまずかったり、 本人の抱えているものが 深刻な場合には、

 10年、 20年と かかることもあります。

 多くは 30代半ばから落ち着き始め、 年齢が上がると共に 改善していきます。

 その間に、 思い詰めた行動に 走る危険を 回避することができれば、

 その人らしい人生に 辿り着いていきます。

 魅力的に成熟することもあれば、 偏りや幼さを 一部留めていることもあります。

 克服する前に、 薬物などの 依存症になったりすると、

 それだけ回復を 手間取らせることになりま。

 問題を 乗り越えようとする中で、 鋭敏な感性や 人への献身、

 常識にとらわれない個性を 培っていくことも少なくありません。

 努力と円熟が加わって、

 個性的な才能や 人に奉仕する才能を 開花させていくケースもあります。

 同時に、 傷つきやすさや 安心感の乏しさが、

 折角の成功を 台無しにする行動に 駆り立てることもあります。

 その人が いかに生きて、 自分の抱えている問題に 向かい合い、

 克服していくかが、 後半生に現れるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 
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