〔 読売新聞より 〕
知的障害や発達障害などを持つ 被告の刑事裁判で、 弁護人と福祉関係者が連携し、
社会での具体的な 支援計画を示して、
実刑の回避を求める 取り組みが進んでいるそうです。
ある20代の男性が、 女性をカッターナイフで脅し、
財布を出させるなどして 強盗傷害罪で起訴されました。
職場でストレスが たまっていた上に、 厳しく叱られたことが きっかけと見られ、
犯行時は 強いショックが原因で 意識障害が起こる 解離性障害の状態でした。
兵庫県の 相談支援センターの社会福祉士は、 男性や両親に 何度も面接し、
親族の会社で 無理せず働かせ、 相談支援センターが相談に乗るという
「支援計画」 を 法廷に提出しました。
懲役7年の求刑に対し、 判決は懲役3年、 保護観察付き執行猶予5年でした。
男性は今、 落ち着いた状態で働いています。
懲役刑で社会から離れるより、 社会でその人に合った 適切な支援をするほうが、
更生に効果があります。
障害が事件を 引き起こすわけではなく、
障害を踏まえたケアをすれば 再犯も防げます。
長崎の社会福祉法人では、 知的障害や発達障害を持つ 被告について、
自立訓練施設での受け入れを前提に、 執行猶予を求める 取り組みを始めました。
弁護士や精神科医らと作る 「判定委員会」 が、
施設で更生可能と判断すれば、 法廷に意見書を提出するのです。
障害がある人は、 規則的な刑務所生活に 順応しやすい面もありますが、
社会に戻る時に戸惑い、 更生に繋がらない場合もあります。
支援計画は、 彼らにふさわしい刑を 考える助けになり、
裁判官や検察官も 障害への理解を深める 必要があります。