〔 読売新聞より 〕
自宅で最期を迎えたくても、 介護する家族がいないなどという 高齢者を受け入れ、
家に近い環境で 終末期を穏やかに過ごすという、
「ホームホスピス」 が広がっています。
兵庫県で 介護事業を行なうNPOが、
民家を改装して ホームホスピスを開設しました。
女性スタッフが食事の支度をし、 居間では入居者たちが トランプを楽しんだり、
入浴後にくつろいだりしています。
がん末期や、 脳梗塞で 一人暮らしが難しくなった人など、
80~90才代の4人が 暮らしています。
スタッフが 昼は二人、 夜は一人が常駐し、 身の回りの世話などをします。
必要な医療は、 主治医の往診や 訪問看護を受けています。
費用は、 入居時に30万と、 毎月15万程度かかります。
ある入居者は語ります。
「ここには何の規則もない。
『もうひとつの家』 みたいに 暮らしていて嬉しい」
別の男性の入居者は、
病院から 「もう治療することはない」 と 退院を迫られ、 ここへ来ました。
往診医から 痛みの緩和ケアを受け、 他の入居者と 和やかに食卓を囲みます。
休日には家族が来て 水入らずの時間を楽しみました。
男性は 家族や入居者、 スタッフたち一人一人に
「ありがとう」 と言って 亡くなりました。
最後の療養場所として 自宅を望む人は 60%に達する一方、
それが実現可能なのは 6%に過ぎません。
家族に負担がかかる、 症状が急変した時が不安 などの理由で、
実際には8割が 病院で亡くなっています。
家族の介護力が 弱まるなか、「多死社会」 の受け皿として
ホームホスピスのニーズが高まり、 数は増加しています。
収入源の確保が難しい などの課題があり、
公費による補助などの 支援が求められます。