「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

雑居房で犯行 「謀議」 -- 矯正の現場 (5)

2012年01月03日 18時23分34秒 | 罪,裁き,償い
 
 2002年、 マブチモーター社長宅から 火の手が上がり、

 焼け跡から、 殺害された 妻と娘の遺体が 発見されました。

 有力情報に謝礼金を支払うと 発表されると、

 「犯人を知っている」 という 電話がかかってきました。

 それを基に 小田島と守田が逮捕されました。

 二人はかつて、 刑務所の同じ雑居房にいました。

 情報提供者も 同じ刑務所の元受刑者でした。

 「逮捕されないためには、 強盗の後で 目撃者を殺した方がいい。

 証拠採取できないように 現場も燃やす」

 小田島は刑務所で そんな話をしました。

 守田は  「出所したら 一緒にやらせてくれ」 と 言ってきたのでした。

 「金目当ての犯罪は繰り返してきたが、 残虐なことだけはしなかったのに」

 守田の弁護士は 首をかしげました。

 「刑期の長い受刑者ばかりが 集まる刑務所で、

 互いに悪い影響を 与えてしまったのではないか」

 そう思えてなりませんでした。

 小田島は、 贖罪の場である 刑務所において、

 更生を図り 内省を深めるどころか、 前回同様に強盗をしようと考え、

 さらに証拠隠滅のために 家人を殺害する計画まで立て、

 共犯者を巻き込んでしまったのです。

 雑居房の棟は 自由時間になると、

 受刑者たちがテレビをつけたり 談笑したりするため、

 刑務官が巡回しても 室内の会話は ほとんど聞き取れないといいます。

 刑務所で受刑者同士が 新たな犯罪に向かうのを 防ぐには、

 刑務作業以外の時間は 独房に入れるのが理想です。

 しかし物理的な事情で 雑居房は大幅に増やせません。

 馬淵元社長は こう訴えています。

 「罪を償い、 反省すべき刑務所が、  『犯罪学校』 になっている。

 更生以前の問題が そこにはあります」

〔 読売新聞より 〕
 
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