認知症は 脳の病変で 記憶障害などが生じ、 生活に支障が出る 状態のことで、
原因になる病気は 数十種類あります。
そのタイプによって 薬や治療法が異なるので、 原因を区別する必要があります。
認知症なのか、 治療可能なのかを 見極めることも重要です。
記憶障害が主体で、 受け答えを取り繕う様子が見られたら
「アルツハイマー型」 を疑います。
「脳血管性」 は、 意欲の低下が目立ち、 言葉が出にくいなどの 特徴があります。
歩幅が小刻みになり、 幻視があったり、 症状が大きく変動すれば
「レビー小体型」。
同じ行動を繰り返し、 我慢することができないと
「前頭側頭型」 の可能性があります。
「アルツハイマー型」 なら 数年かけて進行します。
一方、 半年で急に 記憶障害や歩行障害が出たら、
「正常圧水頭症」 を疑います。
早期の治療で 認知症が改善することもあります。
他にも、 慢性硬膜下血腫, 脳腫瘍, ビタミンB2の欠乏などでも
認知症の症状が出ますが、 早めに治療すれば 改善する可能性があります。
認知症ではない場合もあります。
年相応の物忘れは、 生活に障害がなければ 認知症ではありません。
また認知症で 気分が落ち込むこともあり、 うつ病と区別が難しくて、
抗うつ剤を使って 経過を見ることもあります。
昼夜で症状が変わる場合は、
「せん妄」 (軽度の意識障害) の可能性があります。
興奮などを伴う 「せん妄」 の原因は、 不眠, 脱水, 睡眠薬の副作用などです。
認知症の人が起こすことも多いのですが、 「せん妄」 自体は治ります。
(次の記事に続く)
〔読売新聞より〕