o 「最も強化しないシナリオ」
関心を引くことを意図した 不愉快なコメントに対しては、
無表情なままでいる (頭から爪先までのポーカーフェイス) のが、
「最も強化しないシナリオ」 です。
どのような反応も 行動を誘発するからです。
反応したいという衝動を、 自己コントロールする必要があります。
ただし、 虐待的, 危険な行動に対して これを用いてはいけません。
o 相容れない行動
BPDの人を止めるよりも、
別のことに 彼らの関心を向けるほうが たやすいものです。
望ましくない行動とは相容れない、 別の行動へと向けてあげてください。
BPDの人は、 怒ることと笑うことを 同時にはできないのです。
本人にとって大切なことを 褒めてあげると、
怒っていたのが 話し合えるようになるかもしれません。
o 問題のある行動がなくなったら、 それに報いましょう
BPDの人が文句を言っているときは、
最も強化しないシナリオ (無視するのではなく見逃す) を用います。
しかし 他の話をするときには、 熱心におしゃべりしましょう。
BPDの人の多くは時に、 全く正常に行動します。
これは他の行動を強化する 豊富なチャンスを与えてくれます。
本人の好ましい点を よく考えてください。
成功の鍵は、 好ましい行動が起こっているときに 強化することです。
・ 「あなたの……なときが好きなの」
・ 「君といるとすごく楽しいよ」
・ 「……してくれてありがとう」
・ 「あなたは本当によく頑張ったね」
触れたり、 近づいたりすることで、 言葉を介さず 強化することもできます。
o 一般的な称賛
本人のネガティブな点を 話すのではなく、
彼らの長所を 伸ばせるようにしてください。
ポジティブな対処行動に対しても、 報いてあげてください。
・ 「この前、 君は動揺したとき 物を投げる代わりに 散歩に行ったよね」
しかし 子供に対しては、 褒めすぎないよう注意してください。
子供は進歩すると、 親が 全て順調だと考えて 離れていくのではないかと恐れます。
「本当によく頑張ったね。
でも、 あなたにとって ストレスが大きくはないかと心配してるの」
といったメッセージなら、 共感的で危険も少ないでしょう。
〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕