○ 問題解決としての自殺
自殺行動と非自殺的自傷行為は、 不適切な問題解決方法です。
自殺傾向があることは 根本的な問題ではありません。
それは問題解決方法のひとつなのです。
苦しみを終わらせるか、 そこから逃げたいのです。
自殺行動が、 BPの解決策として ひとたび行動レパートリーに入ってしまうと、
それは選択肢に残ってしまいます。
自殺の代わりに使える 他の行動 (あるいは問題の解決策) を
身に付けることが必要です。
しかしながら、 解決策としての自殺が 完全になくならないと理解しておくべきです。
慢性的に自殺傾向がある人は、
(事故や病気で) 死ぬという 想像上のシナリオを与えられると、
生理的覚醒度 (つまり感情的覚醒度) が低減しました。
この現象が、 負の強化と呼ばれるものです。
自殺行動が 不快な感情や状況を 除去するのです。
○ 苦痛の表現としての自殺
時として、 自殺傾向があるBPの 周りの人たちは、 BPの苦痛をつかめません。
BPは、 苦痛を他人に伝える能力がなく、
自殺行動は 苦痛を他人に示す働きをするのです。
自殺行動は 他者からの注目によって 結果的に強化されるかもしれず、
注目を引き出すかもしれません。
これはBPが 「注目を求めている」 という意味ではありません。
BPの脳が無意識に、 自殺行動と人の注目を 関連づけてしまうのです。
自殺行動が注目を求めるものだ と考えると、 あなたは懲罰的になるかもしれません。
BPに対して 非承認的な結果になってしまうでしょう。
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
(星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
[星和書店の許可のうえ掲載]