自分を傷つけるような対処は、 痛みを持続的, 長期的な苦しみにします。
痛みは避けられないこともありますが、
多くの場合、 苦しみを避けることは可能です。
例えば、 友達同士の口論について 考えてみましょう。
圧倒されるような感情に苦しむ人は、
不快な口論が 記憶の中で繰り返し再生産されます。
ひとつひとつの言葉が 侮辱として思い出され、 生活をより苦しいものにします。
しかし、 苦痛が必ずしも コントロール可能だとは限らない 一方で、
苦痛に対する苦悩を コントロールすることは可能なのです。
長期的な苦悩に 陥るパターンを避けるために、 苦悩耐性スキルがあります。
苦痛が苦悩に繋がらないように、
より健康的なやり方で耐え、 対処するのに役立ちます。
「注意をそらして、 リラックスし、 対処する」 ことを 教えてくれるでしょう。
○ 本章で学ぶこと
・ 注意をそらすスキル
ひとつめの苦悩耐性スキルは、
感情的苦痛を引き起こしている状況から 「注意をそらすスキル」 です。
これは次の点で重要です。
(1) 苦痛について考えることを 一時的に止めてくれる
(2) 適切な対処法を見つける 時間を与えてくれる
注意をそらすことは、 感情を落ち着かせる 時間を与えてくれます。
しかし、 注意をそらすことと、 回避することを混同しないでください。
回避するというのは、 それに一切対処しないことです。
注意をそらすというのは、 感情が鎮まったら対処するということです。
・ 自分の気持ちを落ちつけるスキル
第2の苦悩耐性スキルは、 「自分の気持ちを落ちつけるスキル」 です。
感情は熱すぎる恐れもあるため、
直面するには 気持ちを落ち着かせる必要があります。
それから、 感情調節スキルと対人関係スキルで 問題に対応します。
自分の気持ちを落ちつけるスキルには、 別の目的もあります。
自分自身に 思いやりを持って接することを、 手助けしてくれることです。
圧倒されるような感情を持つ 多くの人は、
子供のときに虐待されたり、 大変つらい思いをしてきています。
結果的に、 自分自身を傷つける方法を 身に付けさせられました。
第2の目的とは、 自分自身を優しく、 愛情を込めて扱う方法を 学ぶことなのです。
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
[星和書店の許可のうえ掲載]