苦悩に耐える力を付けるには、 苦痛に対する態度を 変えることです。
必要なのは、 徹底的受容です。
人は苦痛なとき、 苦痛の原因に対して 気分を害したり、 誰かを批判したりします。
しかし誰のせいにしようと、 苦痛はそこにあり、 苦しみは続きます。
怒ったり気分を害するのは、 現実に起きていることを 理解するのを妨げます。
「怒りによって盲目になる」 といいます。
過度に批判的になると、 全てのことをありのままに 見られなくなります。
現実として対処しなければならないことを 見落としてしまうのです。
徹底的受容は、 その出来事を価値判断したり、 自分自身を批判することなく、
現在の状況を認めて 受け入れることです。
現在の状況は、
ずっと前に始まった出来事の 長期的な連鎖を経て 存在すると認識しましょう。
徹底的受容は、 自分自身とその状況を見つめ、 あるがままに理解することなのです。
しかし、 他人の悪い行動を容認したり、 それに同意するという意味ではありません。
すでに起きたことを 変えようとするのをやめる、 ということです。
自分や相手を非難して 時間を無駄にし、 苦しみ続けないでください。
それによって、 苦痛に対処する より良い方法を見つけることができるでしょう。
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
[星和書店の許可のうえ掲載]