「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

感情はどのように働くのか

2016年09月13日 21時14分02秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 感情は、 でき事に対して注意を促す、 身体の中の信号です。
 
 感情はしばしば 視覚, 触覚, 聴覚, 臭覚,味覚から始まり、
 
 脳まで行き、 辺縁系で処理されます。
 
 辺縁系は、 感情的状況に対してどうすべきかを 身体に知らせます。
 
 感情は重要なものですが、 特に 生存のために非常に重要です。
 
 ひとつの例を紹介します。
 
 Dさんが通りの角を曲がると、 怒った犬がひどく吠え、 向かってきました。
 
 その瞬間、 感情的信号が 目と耳から脳へ送られ、
 
 Dさんは考える必要もないまま、 辺縁系がその情報を処理しました。
 
 この反応は 闘争・逃走反応と呼ばれ、 犬と戦うか 逃げるかを決定します。
 
 Dさんは逃げることにし、 怪我を免れました。
 
 感情は Dさんが生き残り、 痛みを回避するのに役立ったのです。
 
 2週間後、 Dさんは通りの角を曲がると、 直ちに怖くなりました。
 
 条件反応と呼ばれるものです。
 
 辺縁系は 危険な犬を思い出させ、 Dさんを保護しようとしたのです。
 
 Dさんは違う道を行き、 その後は 危害を受ける可能性を回避しました。
 
 別の例を紹介します。
 
 Eさんは 街でばったりFさんに会いました。
 
 何年も会っていなかった友人です。
 
 Eさんは嬉しくなり、 Fさんも微笑みました。
 
 Eさんは Fさんの微笑みに気付き、 彼女も私を見て嬉しいんだ と思いました。
 
 二人はすぐに 結びつきを取り戻し、 幸せな気分になりました。
 
 もしFさんがしかめ面をしたり、 そっぽを向いたりしていたら、
 
 Eさんはそれを嫌悪感として認識し、 接触を避けていたでしょう。
 
 文化に関係なく、 同じ形で感情を表現し、
 
 人の感情表現を認識する 能力を持っています。
 
 どこで生まれ育っても、 微笑みは微笑みなのです。
 
 感情 は多くの目的を果たします。
 
・ 生き残る (「闘争か逃走か」)
 
・ 人と状況を覚えている
 
・ 日常生活の状況に対処する
 
・ 人とのコミュニケーションをとる
 
・ 苦痛を避ける
 
・ 喜びを求める
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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