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Mikuのブログ

「安倍談話」の要点整理

2015-08-20 20:30:39 | 歴史・歴史問題・戦争

8月14日に安倍談話が発表され、国内外に大きな反響がありました。
いろいろな評価がある中で、一番驚いたことは、多数の保守系の人たちが「バランスのとれた良い談話だ」と述べていることです。
左翼は相変わらず「物足りない」とのこと。

わが党(幸福実現党)も即座に声明を出しました。
今回は、安倍談話について論点を整理しつつ評価を加えていきたいと思います。
少し長いので、読めない人は「見出し」だけご覧いただいても構いません。

m(_ _)m



●全体所感―「支離滅裂の土下座談話」


とても長い談話でした。それは、八方美人的に、あちらこちらに配慮をし過ぎて冗長となったからでしょう。その結果、支離滅裂となっています。
配慮したのは連立相手の公明党、そして支持率です。中国、韓国、アメリカにも気をつかっています。
さらに、国内の保守層や左翼にも配慮して、みんなに受け入れてもらおうという意図が透けて見えます。
その結果、みんなに良く見せようとするポピュリズムそのものとなり、正義を見失っていったと言えるでしょう。
本心では村山談話を否定しようとしながら、左翼や諸外国に反発されないように、「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」のキーワードを、主語をぼかしながら入れています。
たとえ、「謝罪を今回で終結させ、未来志向でいこう」と言っても、全体的に“日本悪玉論”がベースとなってしまい、
「日本は国際秩序を破壊しようとした悪者で、戦後も悪い日本が世界各国の“寛容な心”で国際社会に復帰できた」という“土下座談話”となっています。



●安倍談話のどこがおかしいのか


一言で言うと「自虐史観のダメ押し」となってしまいました。「自虐史観の集大成」とも言えます。では、どこがおかしいのでしょうか。



(1)日本は欧米諸国のブロック経済を力で解決しようとした悪い国!?


日本は明治維新以来、欧米列強による植民地支配に立ち向かっていく国家として談話が始まります。
ところが世界恐慌で欧米諸国がブロック経済に走り、日本は経済が打撃を受けたので、力で解決しようと試みたと断罪するのです。
しかし、そもそもブロック経済を始めたのはアメリカであり、それに追随したイギリスです。
世界経済の大半を占める欧米諸国が、自分たちだけが生き残るために経済活動を囲い込んだら、資源などを持たざる国は「死ね」と宣告されるようなものです。
その証拠に、戦後、国際社会は、第二次世界大戦の原因がブロック経済にあったことを意識しており、自由貿易体制の維持に努めています。
欧米諸国は、そのことを知りながら、日本だけに反省をうながし、安倍談話でも「日本が悪かった」と暗に認めてしまいました。
日本だけが悪いとするのは偽善そのものです。世界の共存の道を捨て、自国の生き残りだけに突き進んだ欧米諸国の経済政策こそ非難されるべきでしょう。



(2)日本は無謀にも国際秩序に挑戦した悪い国!?


安倍談話では「満州事変以降、日本は無謀にも国際秩序に挑戦し、戦争への道に進んで行った」としています。つまり、「日本が悪を犯した」と宣言しているのです。
では、当時の国際秩序は正義だったのでしょうか。そんなことはありません。
戦前、日本が近代化して影響力を行使した地域以外では、白人支配に揺るぎなく、植民地支配と人種差別がまかり通っていました。
そこに異議申し立てをして、植民地解放、人種差別撤廃を、勇気をもって進めようとしていたのが日本なのです。
例えば、国際会議の場で「人種差別撤廃」を国連規約に明記するように訴えたにもかかわらず、それに反対したのは米英です。
日本こそ、良い意味で「植民地を無くし、人種差別のない、新しい国際秩序をつくろうとした正義の挑戦者であった」ということが真実です。
当時の国際秩序の方がおかしかったのです。
 なぜ、明治維新以来、日本人が歯を食いしばって頑張ってきた、肌の色の違いを超えた世界共生の努力を、安倍談話でわざわざ否定するのでしょうか。
明治維新の発火点だった長州の先人たちに、安倍首相は顔向けできないでしょう。


(3)欧米諸国による国際秩序の欺瞞


欧米諸国の欺瞞は、戦後すぐに現れています。日本が敗れた後、欧米諸国は植民地だったアジア諸国を、再び植民地にしようと戻ってきたではありませんか。
白人支配をずっと続けて、搾取したかっただけでしょう。だから、戦前の国際秩序はまがい物だったと言えるのです。



(4)満州事変は日本の侵略か―「アジアの警察官」


安倍談話では「満州事変から日本は侵略を行った」と読み取れます。本当でしょうか。
満州情勢は複雑なので説明は難しいのですが、あえて簡単に言うならば「当時の満州を、そのまま放置していたら戦乱状態になり、多くの人が死んでしまうので、日本はアジアの警察官として秩序を保とうとした」のです。
例えば、コソボ紛争、シリアのアサド大統領による自国民虐殺、アフリカで一方的にある民族が虐殺されている紛争などで、
国際社会が放っておいたら悲惨なことになる場合、現代でもアメリカやNATOなどが、秩序を保つために介入しようとします。
この感覚で日本は満州に進出していました。もともと満州は万里の長城の外です。歴史的に化外の地として満州族の土地でした。
そこに清が滅亡して、満州族と漢民族の戦いになるのを防ぐ意味もあって、溥儀を皇帝として満州国を建国したのです。侵略とは言えません。



(5)満州事変は日本の侵略か―「ソ連の南下による共産化を防ぐ」


さらに、ソ連が南下を企てており、アジアが共産主義化することを防ぐ目的もありました。
戦争で日本が負けた結果、中華人民共和国、北朝鮮が誕生してしまい、今でもその負の遺産と戦っているではありませんか。
アメリカは戦う相手を間違ったとも言えます。日本とともに、アジアが赤化することを防がねばならなかったのです。
その代償は朝鮮戦争、ベトナム戦争などで痛いほど払わされてしまいました。



(6)満州事変は日本の侵略か―「人種差別と嫉妬」


なぜ、日本の満州への進出が糾弾されるのか。欧米列強は世界各地で、ひどい植民地支配を行い、搾取し続けてきました。
日本は同じ東亜の民族として、その地を発展・繁栄させようと、台湾に新渡戸稲造のような第一級の人材を派遣するなどして社会資本整備を行ってきました。
 日本と欧米諸国の植民地経営の考え方には、大きな差があったのです。
それを日本が諸悪の根源のごとく言われるのは、欧米諸国にとって日本は「有色人種のくせに生意気な国」という人種差別が根底にあり、「嫉妬」もあったからと言えるでしょう。
ですから満州事変以降、日本は世界の秩序を壊し、侵略を行ったように安倍談話では暗に言っていますが、それは違います。

※満州事変については大川真輝著『大川隆法の大東亜戦争論(上)』で詳しい解説があります。



(7)「侵略による植民地支配」に対する「反省とおわび」


そして、主語をぼかしながらも「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのお詫び」というキーワードを散りばめながら、
そのつぐないを行動で示すために力を尽くしてきたと述べています。全くの犯罪者扱いです。
さらに「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものである」と宣言しています。未来まで縛っている点、問題ありです。
また「インドネシア、フィリピンをはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国」と具体的に国名まで列挙しています。
これらの国々では、「やはり、日本は悪いことをしたのだ」と思ってしまうでしょう。たとえ親日国の人々でも。



(8)世界各国の「寛容の心」で国際社会に復帰という「土下座談話」


安倍談話では、戦後は、中国をはじめ多くの国々の「寛容の心」のおかげで、日本は国際社会に復帰できたとしています。
悪を犯し続けた日本は、戦後も悪者であり、国際社会の慈悲によって、なんとか付き合って下さっているということでしょうか。
その状況に「心から感謝する」とまで丁寧に言っています。率直に言って「土下座談話」そのものとしか見えません。



(9)謝罪を終わらせる? 過去を受け継ぎ未来へ引き渡す?


そして「先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」の部分は良しとしても、
その後すぐに「私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」と述べています。
どうしたいのでしょうか。終わらせるのか、続けるのか。支離滅裂です。



(10)朝日新聞の論調に乗る“女性の人権問題”


韓国に配慮してなのか、「多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷付けられた過去を、この胸に刻み続けます」とあります。
いわゆる“従軍慰安婦”ではなく、“元慰安婦”問題のことを言っているのでしょう。
これは、昨年、朝日新聞が過去の“従軍慰安婦”に信憑性がないことを認めた代わりに、
「朝日はもともと、“慰安婦”のような女性の人権のことを問題視していたのだ」と開き直り、問題をすり替えた論点です。
これは欧米の女性の人権問題にも応えたのでしょう。
この女性の人権問題を取り扱うならば、世界中で起こっていることなので、日本だけをクローズアップすることはフェアではありません。
談話で言及した結果、日本は女性に対して、とてもひどいことをしていたという印象を世界に与えてしまいます。
日本軍人は、世界の模範になるような軍規を守っていたにもかかわらず。

●英霊への冒涜

日本政府が「日本は悪い国であり、戦争も間違っており、戦後も、日本国民は国際社会の中で許しを請いながら、卑屈に生きています」というようなことを公式に認めた場合、戦争で亡くなった諸霊はどのように思うのでしょうか。
河野談話・村山談話、そして安倍談話と続く、政府の公式見解は、戦没者のみなさまを“犬死”と認定することに等しいです。
そして、諸霊に、やるせない気持ちと、怒りを呼び起こす可能性があります。ですから安倍談話は英霊に対する冒涜となるのです。
崇高な精神を持って戦いに挑んだ軍人を蔑み、空襲や原爆によって亡くなった無辜の市民の成仏を妨げることになるのです。

●国防に支障をきたす

また、中国の軍備増強、覇権主義が明らかな今、日本の国防は待ったなしです。安倍政権も安保法案を成立しようと一生懸命のようですが、このような安倍談話を出すと、国防に支障をきたします。
なぜなら、日本は悪かったという自虐史観のままでは国防はできないからです。悪い国を守ることに正統性が出ません。
中国や北朝鮮の軍門に下って、奴隷のごとく罪滅ぼしをしなければならなくなるからです。そこに国を守る気概など出てくるはずがありません。
さらに「いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と安倍談話にありますが、
明らかに安保法案と矛盾し、集団的自衛権の議論が不毛になっていきます。
この論調は憲法9条そのものの発想であり、安倍首相が目指していた憲法改正と相反してしまいます。そのおかしさに、安倍首相は気付いていないのでしょうか。
安倍談話の主旨では、日本の国防は他国依存となり、半身不随国家のままとなるでしょう。

●不要な談話であり、撤回すべし

安倍談話について、保守言論人でも「バランスが取れた良いもの」と評価する向きもあります。「志はその程度であったのか」と驚きを禁じ得ません。
左翼は「物足りない。本人の言葉でない。謝罪が足りない」という、予想通りの批判です。ここまで卑屈になっても、まだ足りないようです。
安倍談話は、戦後日本を覆ったアメリカ型歴史観(東京裁判史観)から脱却できていません。アメリカ的なものに呪縛された「戦後レジーム」そのものと言えます。


 問題は、保守政治家と見なされている安倍首相が「日本は悪かった」という談話を出すほどだから、「日本は本当に悪いことをしたのだ」という認識が世界に広がっていく懸念があることです。安倍談話は「日本悪玉論」を助長させたにすぎません。
安倍首相としては、今回の談話で、謝罪を終わらせたいと思っているのでしょうが、そう簡単にいかないと思われます。
安倍談話によって、支持率が回復し、一時期、諸外国との関係が改善されるかもしれませんが、それ以上のものを失いました。

神仏の御心を蔑ろにし、私たち先祖の努力や偉業を否定・冒涜し、現在の日本国民に卑屈な心を植え付け、未来の日本人を自虐史観に縛り付けるという愚かな談話となってしまいました。


 今回の安倍談話は、河野・村山談話を否定するからこそ出す意義があったはずです。
それなのに「これまでの自虐史観をさらに強化して引き継いでいく」という決意表明ならば、何も言わない方がよかったでしょう。
安倍政権にして自虐史観を払拭できないことがわかった以上、幸福実現党がやらざるを得ません。


河野談話、村山談話の撤回、そして安倍談話の撤回を目指さねばなりません。
「日本は侵略国家で、悪い国だった」とする自虐史観(東京裁判史観)を払拭し、
大東亜戦争は自衛戦争であり、植民地解放、人種差別撤廃という尊い目的があったことを地道に広げていかねばならないと決意するものであります。



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2、編集後記
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長くなって申し訳ございません。
安倍談話が長いので、メルマガも長くなってしまいました。
わが党は「安倍談話は撤回すべし」と主張しています。
その理論武装をまとめたのが、今回のメルマガです。
長くなりましたが、この辺を押さえていただければ結構かと思います。

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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール

1967年10月20日生まれ。

福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。

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◆ 発行元 ◆
江夏正敏(幸福実現党・政務調査会長)

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