もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

中国が本性を露に

2018年05月10日 | 中国

 北朝鮮の金正恩氏が、旬日を経ずに中国を訪問した。

 米国務長官の訪朝によって北朝鮮に拘束されていた米国人3名が釈放されるとともに、会談場もシンガポールと報じられている等、米朝首脳会談は実現の路線を歩み始めた感がある。しかしながら、今回の金正恩氏再訪中において中国は、朝鮮半島の段階的の非核化という北朝鮮の主張に同調することを鮮明にした。このことは、「弾道ミサイルを含めた大量殺戮兵器を、直ちに・検証可能で・非可逆的に・廃棄する」とする日米(韓)の要求とは相容れないものである[韓国をかっこ書きしたのは韓国の文大統領は中朝の主張をある程度受け入れる公算が大きいと思われるからである]。中朝のいう「朝鮮半島の安全確保とリンクする段階的な非核化」とは、北朝鮮非核化の対価として在韓米軍の撤退・米韓軍事同盟の破棄・THAADの撤去を求めているであろうと考えられるが、トランプ大統領も在韓米軍駐留経費を理由に、在韓米軍の縮小をことある毎に匂わせているので、中朝は十分に交渉の材料たり得ると踏んでいるものと推測される。トランプ氏の発言を俟つまでもなく、米国内には「辺境の極東で米国青年の血を流す必要性」に懐疑的な空気は根強い。日本としては、韓国を失っても太平洋への防波堤は日本と在日米軍で当面は凌げると考えて、在日米軍の撤退までアメリカは考えていないだろうと楽観的に思いたいところであるが、アメリカの希求するところは本土を攻撃できる戦略兵器の廃絶であることを思えば、いつ風向きが変わってもおかしくない。さらに、現在、中朝が非核化の前提として掲げている「半島の安定」の文言が、「アジアの安定」に変質することすら予想しておかなければならないのではないだろうか。

 中朝が一枚岩となった今、日米韓の協調は必ずしも強固ではない。韓国が腰砕けとなり米国が実利のみを採る、この事態だけは避けて欲しいものである。にも拘わらず本日の国会では、加計学園問題に対する元首相秘書官の参考人質問に不毛の時間を費消している。