もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

自衛隊の必要性と浦田一郎名誉教授

2018年05月22日 | 自衛隊

 自衛隊は合憲57%・違憲26%であるとの世論調査結果が報道された。

 興味深いのは、同時に掲載されている識者のコメントで、違憲とする数字(26%)の受け取り方が信条によって大きく異なることである。合憲側の西修駒大名誉教授は少ないと感じ、違憲側の浦田一郎一橋大名誉教授は多いと感じているが、民主主義は50%を超えた方を正義として選択する制度であることから言えば、26%は正義・採るべき道ではないということでは無いだろうか。自衛隊に奉職した自分は、一般的には右翼的・国粋的思想が強い方に分類されると思うが、自衛隊は合憲かと2者択一的に回答を求められたら、純粋に・国語的に解釈すれば自衛隊は違憲と答えざるを得ない。しかしながら国際的に認知された国家自衛の手段としての自衛隊(力)は当然保持されるべきで、その延長線上に自衛隊(国防軍)の保持を明記する憲法改正が必要と考えるものであるが、自分のような意見は今回の調査では、違憲者のカテゴリーに分類されているのではないだろうか。現在の世論調査は電話ボタンの回答によるものが大半であるために、設問と回答は2(3)者択一に単純化しているので、このような複雑な問題では正確な結果が得られないのではないだろうかとも思うものである。閑話休題。それにもまして奇異感じたのは、前出の浦田名誉教授のコメントである。氏は「非軍事平和主義者」であることを明言した後に、「現実的に北朝鮮問題にも軍事的解決手段は存在しない」と明言しているが、純粋な憲法学からの考察を超えて政治的に自衛隊違憲論を補強しているように思えてならない。氏に教えを乞うところは、軍事力とりわけ核を含む大量破壊兵器の保有をもって他国を恫喝する北朝鮮問題の解決に、いかなる秘策を持っているのだろうかという点である。現在北朝鮮が曲がりなりにも交渉のテーブルに就かざるを得ない背景には、米中露の軍事バランス崩壊を懸念する大国の思惑が交差している現実、会話の背後に常に存在する武力の影、武力的な威嚇が会話で解決したことがない歴史、これをら無視してでも日本は丸裸でいるべきとお思いなのだろうか。

 前出の2氏は、いずれも70歳を超えており、自分の主張が実現する日を迎え得ないことは明白である。いわば後世に責任を果たせない世代であり、老害に犯された妄言が国の行く末を危うくしているように思えてならない。メディアもコメントを求める識者の選択に当たっては、後世に責任を果たせる少壮世代の識者を選ぶべきではないだろうか。