ラジオで安倍総理辞任会見に「切なくなった」と語った松任谷由実氏を罵倒した大学講師がいることをTV番組で知った。
罵倒したのは京都精華大専任講師の白井聡氏(43)で、顛末は8月29日松任谷氏のラジオ発言を伝えるスポーツ紙の記事を自らのフェイスブックに引用したた上で「荒井由実のまま夭折すべきだったね、本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」と続けたとされている。第一感は「バカな先生がいるものだ」であったが、白井氏が30日に朝日新聞に寄稿して、安倍政権の7年余を「日本史上の汚点」と全否定するとともに、安倍政権の支持者(自公投票者)に「嫌悪感を感じる」とまで書いていると報じられた。ウィキペディアでは、白井氏の専門は社会思想・政治学で、2010年「レーニンの政治思想」で博士(一橋大・社会学)の称号を得ており、主にロシア革命の指導者であるレーニンの政治思想をテーマとした研究を手掛けてきたが、近年は共産党の政権取得による現状改革を訴えていると解説されている。ロマノフ朝の圧政下に置かれたロシアでマルクス主義による暴力革命を成し遂げたレーニンを信奉する白井氏であれば、戦後政治の全ては否定されるべきもので、自民党主導の政権を選択する国民には我慢できないのであろう。しかしながら、1917年にロシア革命を成功させたレーニンの手法が権代の情報社会で再現できるはずもなく、加えて共産主義国家が相次いで崩壊した歴史を知っている有権者が、反共・反社会主義に靡くのは必然であろうと思う。70~80代のオールドコミュニストはさておき、40代の少壮学者が100年前のレーニンの手法を借り着してロシア革命再現のための論拠を領土問題と米軍基地問題に置いているとされるが、学究の徒としては皮相的・教条的に極めて軽薄、オリジナリティを欠く行動は活動家としても中途半端であるように感じられる。また松任谷氏や有権者を痛罵する人間性は盲目・排他的な原理主義者の典型で、アジテーターとしても小物感にあふれている。
白井氏の寄稿文を掲載した朝日新聞については更に大きな疑問を感じる。同紙社説でも白井氏の主張と大同小異の論陣を張っているが、目指すところは民主党政権誕生のために総力を挙げた10年前の、古くは海軍報国号献納を推進して戦意と軍拡を煽った、「新聞は印象操作の最大の武器」とする社歴の踏襲であるように思う。慰安婦強制連行という虚報を世界中に流布し、空白の3年間ともされる民主党政権誕生を主導した瑕疵は決して小さいとは思えない。先日もルール違反の取材を制止されたことを報道の自由侵害と言い立てることや白井氏の寄稿文掲載での印象操作を見ると、朝日新聞の命脈が尽きるのも時間の問題かと思われる。それとも、「朝日タブロイド」と名を変えて、フェイクニュースが失笑されつつも許容されるタブロイド紙に変身して延命を図るのだろうか。