本日は貧民階層でありながら経済観念に乏しい者の疑問である。
立憲民主党が次期国政選挙の目玉として、年収1千万以下の所得税減免と期間限定(2年間)の消費税0%を掲げることを検討していると報じられた。
施策は、内需拡大によって景気回復を目指すもので特に目新しものではないが、税金の減免特に消費税の撤廃が個人消費の増大に繋がるのだろうか疑問に思う。
凡そ、家計の遣り繰りに税額を考慮している個人は皆無であろうし、税額の減免で浮いた金は預貯金(口座残高の確保)に回されるのが通常ではないだろうか。
貧度では人後に落ちぬ我が家計(妻の家計簿は機密指定されているために閲覧不能)を例に取れば、必要な物を買い・食べているが消費税0%になっても、肉のランクが上がり・おかずが1品増えることは無いだろうし、壊れていないテレビを8Kに買い替えることもないのは確実であるように思う。
大型耐久品の消費についても、家を建てたい・1ランク上の車を必要としている等の人にとって消費税0%は朗報であるが、それとてもコロナ禍で雇用や商売の先行きが不透明であることへの不安を消し去るほどのものでは無いように思える。
A社が製作している大型耐久品にB社という下請け業者が部品を納入しているケースを考えると。A社は消費税を免除されるが直ちに小売価格を10%下げることは期待できずに、消費税分はコロナ禍で生じた損益回復のための社内留保に回されて消費者が恩恵を受けることもないだろう。さらにB社に支払われる部品納入代金は消費税分を差し引いた額となるために、B社も直ちに消費税免除の恩恵を受けることもないように思う。個人消費が上向いて、A社の小売価格が下落し、B社の納入額が向上するまでにはある程度の時間がかかるので、果たして2年間で期待するような効果を生むのか疑問に思える。
税率に対する議論や不満はあるにしろ、1989年の消費税導入以来30年を経て漸く国民は「消費税の負担は財政の健全化と国家運営には不可欠」であることを認識して、消費税に見合った生活を受け容れていると思っているが、期間限定とはいえ消費税を撤廃することは、国民の認識をリセットしてしまうこととなりはしないだろうか。低成長時代にあって「助け合うという社会通念」が一般に定着しつつある現在、助け合いに伴う犠牲を免除しようとする施策は、折角築き上げた共通理念を失いかねないもので、支持できないと感じるものである。また、軽減税率導入に伴って構築したレジや自販機などの小売システムをリセットし、2年後に元に戻す作業も小売業者に大きな負担を強いることになるようにも感じる。
「時を戻そう」は、芸人ペコパだけで十分であるように思う。