一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

東横イン問題での設計会社・施工業者の責任

2006-02-18 | 構造偽装・東横イン
東横イン問題の報道をめぐっての疑問ですが、なぜ、改造工事をした建設会社・設計会社の責任は問われないのでしょうか?

駐車場を壊すだけでなく部屋に改造したり、本社の中二階を作るためには、現場の大工仕事だけでなく電気・給排水・空調設備や構造まで考えてきちんとした設計が必要なはずです。

とすると、東横インから請け負った建設会社や設計会社も、違法であることを知っていたはずです。

知り合いから聞いた話では、事件が発覚したときに東横インから提案を受けていた地主さんが心配になって自分の物件を確認したところ、案の定地主に提案した図面と建築確認申請の図面が違っていたそうです。
つまり「もったいないので気が変った」とかでなくて、確認申請前から建築基準法を守る気がない確信犯なわけで、そうなると設計会社や施工会社も同罪だと思います(下手をすると自分から働きかけていたりして・・・)


東横インの社長のような遵法意識のないワンマン社長は昔から沢山いましたし、今後とも沢山登場すると思いますが、請負う方に建設業の許可取り消しのような厳しいペナルティを課すことで、違法行為に歯止めをかけるほうが効果があると思います。

社長の豪邸や謝り方を非難するよりも、再発防止のために実効性ある方法を検討すべきではないでしょうか。


建設業法では、建築工事で1500万円未満の工事は建設業の許可が不要なので、後工事だけを専門の業者にまかせるという抜け道はあると思いますが、そうだとすれば、建設業法でなく建築基準法の罰則(これは「施工者」にも適用される)の適用という手もあるわけです。


それともやはり、施工業者の責任を問うと、個人住宅などまで問題が広がって困る、という配慮があるのかな・・・

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東横イン問題について前言撤回します

2006-02-10 | 構造偽装・東横イン

東横イン本社ビルは容積率2倍、解体作業に着手へ
(2006年 2月10日 (金) 20:34 読売新聞)

 大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」の施設改造問題で、違法改造が判明している東京都大田区の同社本社ビルに新たな改造が見つかり、同ビルの容積率は建築基準法上の制限の2倍近くに達していたことが10日、同区の調査で分かった。

新たに判明した改造は、地下1階部分を新たな工事で約150平方メートル増やして倉庫にしていたほか、2~6の各階でも、1階部分の広さに合わせる形で約75平方メートルずつフロアを拡大していた。区によると、こうした改造は、同ビルが完成した翌年の1981年ごろに行われたという。

今まで、建築基準法の制度上竣工検査後の改造をすべて取り締まるということは事実上不可能ではないか、なので、東横インについても建築基準法違反という文脈だけで取り締まると個人住宅などへの社会的影響がおおきいのではないかな・・・という意見を持っていたのですが、ここまで来ると撤回せざるを得ません。

事業の規模に相応の責任感や品性を育むことができなかった愚かな企業は退場していただくほかないと思います。
(それにご追従した建設会社や金融機関の見識も疑いますが・・・)


さて、上記の従前の私見の前提は、建築基準法では竣工検査後の改造を把握する事は事実上難しい(個人住宅などはあえて竣工検査を受けないものも多いです。実際、国の統計でも「建築着工統計」はあっても「建築竣工統計」はないくらいですから)
ただ、竣工後も消防検査などは定期的に入るので、少なくとも不特定多数の出入りするホテルについて、消防設備や避難誘導設備のチェックはされているはずで、安全の検知からは一応行政は機能していたのではないか。
竣工後の改造工事はCSR・企業の見識という次元で議論すべきもの、というものでした。

ところがここまでの改造をしていたとなると、消防検査をどうやって通ったのかという疑問もわいてきます。
制度自体への信頼性も根底からゆらぐような感じもしています。

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東横インの社長は辞任しなければならないか?

2006-02-07 | 構造偽装・東横イン
(2/7一部加筆修正しました)

東横イン社長「自分が上等な人間だと増長して…」
(2006年 2月 7日 (火) 00:01 読売新聞)

テレビで、会見の映像を見ると、この社長は謝ったり反省した経験が極めて乏しい人なんだな、という印象です。


ところで記者会見で進退についても言及され、辞任する意思のないことがテレビでも非難がましく伝えられましたが、社長は辞任しなければならないのでしょうか?

多分東横インは非上場なので、社長または一族でほとんどの株を持っていると思うのですが、そうだとすれば、辞任する・しないで損をするも得をするもすべて自分なので、自分の意思に反してまで辞めなければならないということはないはずです。
昨日も少し書いたのですが、世間からの非難をしのぐためには反省(および世間への恭順の意を示すために)「辞任したほうが得策」だとは思うのですが「辞任すべき」とまでは言えないのではないでしょうか。


確かに違法行為は問題です。

ただ、建築基準法や条例違反については、行政が適切な監督措置をとるはずです。
行政が動かなければ国民として行政に建築基準法違反などで使用停止や保健所によるホテルの営業停止(これは根拠がないから難しいか?)を求めるべきだと思います。


またそれが公正な競争を阻害する、ということであれば、同業他社なりが自ら業界団体を通じてペナルティを課すとか、行政により厳しい罰則の適用を訴えるべきです。

企業活動では、こういう多少の不正を承知の乱暴な競争相手というのは常に現れます。
それに対し、いかに対処するかは企業の本来の仕事のはずです。
(自らのコスト競争力をつけて対抗しようと考えて結局総研に騙されてしまった京王プレッソはその判断を誤ってしまった例ですね)


そして、利用者としてけしからんと思うのであれば、どんなに便利でも安くても東横インを利用しなければいいだけの話です。

ただ製品の安全のように消費者本人が不利益を蒙るものについては直接的な非難が盛り上がりやすいのですが、「消費者は利益を得るが、第三者が(または社会全般が薄く広く)被害を蒙る」類型では、非難が具体的な形になりにくいという問題があります。
この「第三者」が日本国民(環境汚染とか脱税など)であればまだ社会問題化することもあるのですが、外国(環境汚染とか児童労働・低賃金労働)になるとそもそも意見が分かれたりもしますね。


要するに、問題の解決には「社長の辞任」は本質的な要素ではないのではないか、ということです。


「個人住宅などでの軽微な改造まで問題にされたくないが、こういうズルはやめさせてほしい」「自分は安くて便利なら使いたいけど、ちょっと気が引ける」という免罪符代わりに社長の辞任を求めるというような気持ちがあれば、それはちょっと間違っているのではないでしょうか。


「東横インの社長が辞任すべきだ」という発想の裏には、そういう自らの行動を回避する安易さが垣間見えるように思います。
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