・資本主義は生産と資本の蓄積によりグローバル化から最後は資本と国家が結びつき世界の領土をそれぞれが支配する帝国主義に発展する。
・戦後共産主義の勃興で修正が加わったものの、ソ連崩壊後は資本主義化が加速しており、帝国主義化に向かっている。
・帝国主義の時代においては、統合のためにナショナリズムが動員される一方で帝国の中の少数民族は自身の民族性に自覚し自立を求めだす。
こういう時代認識の中で、ハプスブルグ帝国の成立と崩壊と東欧でのナショナリズムの発展、産業革命と大英帝国の発展、イスラムとキリスト教の歴史から、現在のイスラム国や民族自立の動き、さらには沖縄をめぐる問題の底流まで分析している。
キリスト教・イスラム教の宗教問題やロシア・東欧・中央アジアなど著者得意の分野の博学をもとに、源治の事象の歴史的背景を説明する切れ味は相変わらず鋭いしなるほど、と思うことも多い。
少しだけ言及されている中国についても、佐藤氏の切り口で本格的に料理してみてほしい。
現在の安保法案やそれに対する反対の声がどうもお互いにずれてるのではないか、と思う人には参考になる。
本書は社会学者の大澤真幸と憲法学者の木村草太の対談。
安保法制の議論の経緯について、少し長くなるが引用する(以下すべて木村氏の発言。太字は筆者)。
・・・2014年の5月15日に安保法制懇の報告書が出ました。そこから11回の与党協議を実施して、7月11日に閣議決定がなされました。その後・・・衆参両院の予算委員会が閉会中に開かれて、そこで閣議決定の意味を問うような与野党の議論が行われたわけです。
まず、安保法制懇の報告書がどのような構造になっていたかというと(中略)
国際法上、許された武力行使なら何でもOKという第一の解釈は、安倍首相が5月15日段階で否定しています。ですから、第二の解釈に基づき、日本の自衛のために必要最小限度の範囲で、どこまでできるかが議論されたのが、5月15日から7月1日までの与党協議であったということになるかと思います。
閣議決定のかたちが見えてきたのは6月末です。そこでは、安保法制懇の議論はほぼ無視されて、公明党とどこで妥協できるかというのが議論の中心になってしまいました。そうした中で、終盤の6月末に「日本の存立を脅かす事態」であれば、武力行使ができるというフレーズが登場したのです。
・・・実は従来の政府解釈においても、個別的自衛権の行使を許容する根拠は、「日本の存立を脅かす事態であれば、日本政府にはそれに対処する義務がある」というロジックだったわけです。 では日本の存立を脅かす事態とは具体的に何を指すのかといえば、日本への武力攻撃があった場合が該当するだろうから、そういう場合の武力行使は日本国憲法も許容しているはずだと、こういうふうに議論が展開していきました。そして日本への武力攻撃を排除するというのは、国際法の観点からすると個別的自衛権の行使に該当するので、国際法上も可能であるというのが、これまでの解釈の構造です。
(中略)
一般的に、主権国家の政府が持ち得る権限には、「行政」「外交」「軍事」という三つのカテゴリーがあります。しかしさきほど憲法73条を説明したとき(*)にも少し触れましたが、「行政」というのは国内で主権を行使する作用です。「外交」とは、国内主権の行使ではないので、狭い意味での行政には含まれない作用ですが、相手国の主権を尊重して行う作用と定義されます。最後に「軍事」というのは、相手国の主権を無視し、制圧する作用のことです。
(* 憲法73条 には内閣の権限として「一般行政事務」「外交」「条約締結」などはあるが、「軍事」の規定はなく、憲法9条の解釈にかかわらず対外的な武力行使は憲法に権限として列挙されていないので、集団的自衛権を行使することはできない)
(中略)
さて、三つの作用のうち、日本の主権を維持するための個別的自衛権の行使は、日本の国民の安全確保ですから「行政」に含まれます。また、日本が外国のために技術協力するとか・・・武力行使に至らない範囲でPKOに協力するとか条約を結ぶといった行為はすべて「外交」に含まれます。そして、外国の防衛援助のための武力行使や、国連軍への参加、あるいは侵略行為になると「軍事」になるわけです。
この三つのカテゴリーを踏まえると、・・・「日本の存立を脅かす事態」とは「日本への武力攻撃があった場合である」というのは当たり前のことです。
ところが、この6月末以降に登場したのは、「ある外国への武力攻撃によって、日本の存立を脅かす事態が生じれば、それに対応できるはずである」という議論です。
・・・しかし・・・具体的状況がきわめて考えにくい。・・・たとえば、在日米軍基地への攻撃がなされた場合には・・・「ある外国」への攻撃でもあり、それと同時に・・・日本への攻撃でもあります。
法的に言えば、個別的自衛権の行使として説明してもいいんですが、集団的自衛権の行使として説明しても、間違いではありません。ですから、その範囲で集団的自衛権の行使を認めるというのは、要するに個別的自衛権の行使として説明できる場合は、集団的自衛権の行使をしてもいいですよ、ということになる。閣議決定の文言をていねいに読めば、そういう内容になっているんですね。
この閣議決定は公明党と内閣法制局が下書きをしたと言われていますが、彼らは、現行憲法のもとでは集団的自衛権の行使は不可能だ、従来の政府解釈を超えるような憲法解釈は不可能だ、という立場です。従来の枠内で手段的自衛権をやろうとするなら、個別的自衛権の行使として説明できる場合には集団的自衛権の行使を認める、そういうふうにやるしかないわけですね。実際、7月14・15日の公明党の質問に対して、法制局長官が答えている内容を見ると、完全にそういう応答になっています。
ところが、安倍首相の発言などは、石油が日本に入ってこないことも日本の存立を脅かす事態だと言っていて、いわば、その「あてはめ(適用)」がずれているというか間違っているんです。ですから、「基準」のレベルでは、完全に公明党と内閣法制局の手のひらで踊っている安倍政権なんですが、安倍首相自体はこれで何でもできると思っているという、非常に不可思議な事態が生じているということです。
同時に木村氏は「護憲派」の議論のありようにも問題があると指摘する。
私たちのもっと上の世代の憲法学者は、まさに(注:アメリカに対する敗戦の)否認の結果として日本国憲法の普遍主義に逃げたということがあるように思います。これに対して私たちの世代(注:木村氏は1980年生まれ)は歴史的文脈を全く無視して、日本国憲法に書いてある普遍的な価値を、当然の基本原理として理解してしまっているところがあります。
そこには善い面と悪い面があると思います。善い面とは、「普遍」は「普遍」として捉え、特に負い目を感じずにいられるということです。ただ悪い面としては、そういう議論はどこかしら上滑りをするところがあるし、歴史的経緯でものをいっている人に対して、冷たくなってしまうという部分があります。
今のお話(注:集団的自衛権の議論にあたって、自国の利益のみを考え、国際公共価値の議論が抜け落ちているという大澤氏の指摘)は、集団的自衛権賛成派と反対派の両方にいえることだと思います。集団的自衛権に関して、メディアの中でいちばん優勢だったのは、結局、アメリカに見捨てられていいのか、という賛成派による議論と、戦争に巻き込まれていいのかという反対派による議論でした。
賛成派は、アメリカに見捨てられたら日本はやっていけないから、アメリカの51番目の州として認めてもらうために、集団的自衛権を持とうという。それに対して反対派は、集団的自衛権を認めたら戦争に巻き込まれるからだめだという。激しく対立しているようでいて、いずれの議論も利己的である点は同じです。どちらも国際公共価値には目を向けていないわけです。
「こうなったら困るでしょ」という事例と「戦争法案」「徴兵制」というお互い情緒的・感情的な主張はまともな議論になっていない。
これで、法案が通ってしまって反対派の運動が敗戦気分で急にしぼんでしまうような気がする。
戦争を心配するなら、徴兵制の前に絶対的貧困や社会階層の固定化を背景にした志願兵の拡大という「自発的」な形をとってやってくるので(それは別の問題でも同様)、単に法案の成否でなく、そういう世の中にしない、ということが重要なのではないかと思う。
(IMAXはおわってしまったものの3Dはやっていた)
『マッドマックス』第一作は高校生の頃なのでとても懐かしいのだが、30年ぶりにメガホンを取ったジョージ・ミラー監督に御年70歳にしてここまでやるか、と見せつけられると、懐かしがっている場合ではない。
日本では「北斗の拳」が『マッドマックス2』に影響を受けたといわれているが、本作はさらにその上を行っている(日本で「北斗の拳 実写版」を作ってもここまではできなそう)。
アクション映画は主役以上に敵役の存在感とプロダクション・デザインの力は大きいと実感させられる。
それに、監督の
ストーリー的には突っ込みどころ満載なのだが、それはシリーズ最初からそうなので、こまかいことは抜きにして楽しむのが大事な映画。
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告2【HD】2015年6月20日公開
what the world has been googling about the cost of the most interesting stuff in your country
拡大してよく見ると興味深いです。
中東のCamelとアフリカとインドのCowそして一部のGoatなどは文化風習の違いを表しています。
アメリカのPatentとか北欧のTo study、フランスのCroissant、ドイツのBMW、UAEのFerrari、クェートのLamborghini、それにシンガポールのMaid はお国柄ですね。
日本はWatermelonと季節感にあふれています。
朝鮮半島(=韓国)のRhinoplastyというのは鼻の形成手術、さすが整形大国。
他に医療関係では
オーストラリアのIVFというのは体外受精(In Vitro Fertilization)のようです。
メキシコのTummy Tuckというのは「腹の上のしわを除去して、皮膚を引き締める腹部の美容整形」のことだそうです。
イランのKidneyというのはちょっと怖い。
さらにロシアのTo fly a migというのは何なんだろうと調べたら、Migの遊覧飛行があるようです。
http://www.incredible-adventures.com/migs/
ブラジルは国土が広いので特に目立ってますが、オーストリア・リトアニア・ウクライナ・タイ・香港も同じです。
これは言わずと知れた横山秀夫の警察小説。「このミス」2013年1位の作品。
横山秀夫は書店の平積みに誘われてたまに買うのだが、常に非常に面白い。
ただ、現場の刑事をリアルに描きすぎて全般的にトーンが暗いという印象がある。
本作も冒頭から広報に異動になった元刑事のルサンチマンと諦念が語られるので、けっこうきついなぁ、と思った。
上巻はマスコミとの関係をめぐる広報と刑事部の確執の話が続く。
これは組織論、組織における中間管理職の身の処し方についての小説としてよくできていると妙に感心しつつ読み進む。
そして、下巻の中ごろになってミステリ・警察小説の本性が一気に牙をむく。
そこからラストまでは一気。
ここに至って、今までに様々な伏線が張り巡らされたいることにようやく気付くもすでに後の祭り。
圧巻。
オランダでダッジとクライスラーの輸入代理店を手掛けていたLouwman一族(日本でいえばヤナセのようなものですね)のコレクションを博物館にしたもので、草創期の自動車から現代に至る約250台が展示されています。
個人の博物館としては世界最大級だそうです。
websiteは博物館の歴史や展示してある車の解説など充実しています。
http://www.louwmanmuseum.nl/?sc_lang=en
広い敷地に巨大な博物館が建っています
「自動車の発明」とされる1886年に特許を取ったベンツ。"Reconstruction"と書いてありましたがレプリカと違って複数の実際の部品を組み合わせて復元したのでしょうか?
年代順展示のコーナー。草創期からの車が並んでいます。
第二次大戦中の軍用車両。
右側がドイツ軍の水陸両用4輪駆動車シュビムワーゲン。タミヤの1/35ミリタリーシリーズのプラモを作ったのが懐かしい。
左にちょっと写っているのがドイツ軍のサイドカーです。
戦後の車の中の日本車。
手前がトヨタカローラ、奥に本田S600、左の赤いのがスズキフロンテ
電気自動車のコーナー
電気自動車、というアイデア自体は相当昔からあったようです。
メッサーシュミットなどのマイクロカー
奇抜なレジャーカーのコーナー
水陸両用コンバーチブル
こうなると「陸上も移動できるボート」という感じ
これは欲しい。
今の日本の安全基準的にはアウトだろうけど。
有名人の自動車コーナー
サー・ウィンストン・チャーチルの乗っていたハンバー(英国にあった高級車メーカー)
エルビス・プレスリーのキャデラック
映画「ゴッドファーザー」で使われたリンカーン
初代ボンドカー、アストンマーチンDB5
ちなみに2010年のオークションでは$4.6Mの値がついたようです。
James Bond's Aston Martin DB5 sells for $4.6 million
モータースポーツのコーナー
他のコレクションに比べるとインディーカーもル・マンも「まとめて置いてある」感があります。
イタリア車のコーナー。
手前アルファロメオ、奥はフェラーリ、通路左はマセラティが展示してあります。
ミニカーのコーナー
通路はずっと続きます。
この先に自動車グッズの展示のコーナーもあります。
これだけで小さい博物館が開けそう。
その他いろいろ
初期の乗り合いバス?
消防車(梯子車)
65ft=19.8mの木製のははしごがついています。
5,6階くらいまでは届いたのでは。
"Swan Car"
そのものズバリのネーミングなんですが、これは1910年頃に英国で作らせて当時の植民地であったインドに持ち帰ったものだそうです。「インド人もびっくり」だったとか。
詳しくはこちらをごらんください。
BROOKE 25/30-HP SWAN CAR
トヨタAA型
この車両、バイカル湖畔で発見されたものだそうです。
発見された場所はここ。
Louwman一族はトヨタに特別の思い入れがあるようで、豊田正一郎氏の机まで展示してありました。
ひょっとしたら現在はトヨタの代理店をやっているのかもしれません。
順路の最後にブガッティのコーナー。
やはり別格のようです。
施設の博物館なので、ミュージアムショップにオリジナルの商品が少なく、博物館のガイドも英語版が売り切れでオランダ語版しかなかったのは残念でした。
今回は駆け足だったので、じっくり見る時間がありませんでしたが、機会があればもう一度じっくり見たいと思います。
最初はチューリヒ
外国に行くとピクトグラムのデザインが微妙に違うところが面白いです。
基本、ヨーロッパは路面電車と自転車中心、という街が多いですね。
「コンパクトシティ」などと言う前にもともと中心部に道路拡張の余地が少なかったこともあるのかもしれません。
飛行機まで時間があったのでFIFA本部に寄り道
丘のてっぺんにあります。
「FIFA通り」って、建物がそれしかないので、これについては別に金にあかせて命名権を買ったわけではないと思います。
建物の隣にはサッカーコートがあります。
これは人工芝でしたが、周辺に天然芝のコートも数面ありました。
建物の中は一般人も入れます。
お約束、ワールドカップのレプリカ
歴代の公式球
つぎはアムステルダム。
ここも風情のある街並みです。
でも、ホテルの中庭には電気自動車の急速充電器があります。
オランダは海抜0メートル以下の部分が多いので(飛行機からだととてもよくわかります)、温暖化対策には非常に熱心なようです。
アムステルダム・スキポール空港での、荷物自動チェックイン機
ANAも7/1から導入したようです。
ANA、日本初の自動手荷物預け入れ機「ANA Baggage Drop」を羽田空港国内線に7月1日導入
チェックインが自動端末でできるようになったので荷物も自動で預け入れられれば時間の節約になるだけでなく、航空会社にとっても重量オーバーの人を排除するにはカウンターでゴネられるよりもいいのではないかと思います。
チューリヒに比べてスキポール空港は手荷物検査・身体検査が厳しかったです。
ホールボディスキャンも全員通らされました。
つぎはロンドン
シティ・サイクルのスポンサーはサンタンデール銀行
どこの都市もスポンサーが銀行なのは何か理由があるのでしょうか?
ロンドンは街中の案内表示が親切
現在地からの距離と交通機関がわかりやすく書いてあります。
パリも街角の表示は充実していますが、日本もインバウンド観光客の誘致を図るのであれば、まずは統一したサイン表示や案内板を整備したほうがいいと思います。
無料wifi+案内アプリという手もあるとは思いますが、たとえば都内全域とか京都の観光地全部をwifiでカバーするのはコスト的にも難しいのではないかと。
もっともサインを設置するとなると、道路管理者の道路占用許可や敷地所有者の許可とか権利関係・手続き関係で面倒だったりするのでしょうか。
スパイ映画コメディ。
登場する「善玉」と「悪玉」が政府やテロ組織ではないところが今風。
スパイ映画といえばギミックが大事、というあたりをよく心得ているし、過去の作品へのオマージユも満載で楽しめる(そのためだけに英国を舞台にしたのではないかとも思われ)。
ただ、尺の関係か、クライマックスでのラスボスとの対決が案外簡単に終わってしまったのが残念。
映画『キングスマン』予告編